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1階に店舗が入っている一棟物件を見つけると、「住宅部分の収支は分かるけれど、店舗をどう評価すればよいのか」と迷う方は少なくありません。

現在の賃料が入っているだけで安心してよいのか。退去した後も次のテナントを募集できるのか。金融機関は店舗部分をどう見るのか。住宅投資とは違う確認点があります。

私は全国から店舗不動産の相談を受けるなかで、実際に「1階に営業中の店舗が入る一棟物件を買ってよいか」という相談を受けました。本記事では、その事例をもとに、購入前に確認したい判断ポイントを整理します。

この記事でわかること
  • 入居中の店舗がある物件を判断する4つの視点
  • 退去後の再募集力を確認する方法
  • 既存テナントを契約書と現地で見る理由
  • 物件評価とは別に融資を確認する必要性
この記事がおすすめな人
  • 1階に店舗が入る一棟物件を検討している方
  • 住宅投資の経験はあるものの店舗部分の見方が分からない方
  • 下駄履き物件の融資や出口に不安がある方
  • 現在の賃料だけで購入判断してよいか迷っている方

入居中の店舗がある物件は4つの視点で判断する

結論からいうと、店舗が入居中だから買ってよい、あるいは店舗があるから避ける、という二択では判断できません。少なくとも次の4点を分けて確認します。

山谷:1階に店舗が入っている物件なら、同じように迷う方は多そうですね

くっつー:実際に「店舗が入っているけれど、どう見ればいいですか」という相談は多いです

  1. 現在の賃料が物件条件に見合っているか
  2. 退去後も別のテナントを募集できるか
  3. 既存テナントが継続して営業できそうか
  4. 店舗部分を含めて融資を受けられるか

現在の収入だけでなく、入居者が変わった後と、購入資金を調達できるかまで確認して初めて購入判断ができます。

現在の賃料が物件条件に見合っているか

まずは店舗部分の面積、月額賃料、坪単価を確認します。現在の賃料が周辺の募集条件と比べて極端に高ければ、退去後に同じ収入を維持できない可能性があります。

反対に賃料が低い場合も、すぐに「値上げ余地がある」と考えるのは危険です。現在の契約を維持するケースと、退去後に新しい条件で募集するケースを分けて収支を見ます。

退去後も別のテナントを募集できるか

店舗投資では、現在の入居者がいることよりも、退去した後に次の借り手を見つけられるかが重要です。

立地だけでなく、面積、間口、設備、利用できる業種、駐車場、周辺交通などを確認します。営業中の店舗だけを見ていると、その店に最適化された条件を物件本来の募集力と取り違えやすくなります。

既存テナントが継続して営業できそうか

賃貸借契約書や入金状況に加えて、現地の営業実態を見ます。営業時間に営業しているか、店舗が適切に使われているか、経営者や店長がどのような考えで営業しているかは、書類だけでは分かりません。

店舗部分を含めて融資を受けられるか

物件の収支が合っていても、金融機関の評価が合わなければ購入できません。住宅投資の実績がある方でも、店舗部分が含まれることで審査の見方が変わる場合があります。

買付を入れてから慌てるのではなく、物件概要と店舗部分の条件を金融機関へ伝え、取扱いの可否を先に確認します。

現在の賃料だけでなく退去後の再募集力を見る

今回の相談物件は、千葉県内のロードサイドにある一棟物件でした。1階には営業中の飲食店が入り、店舗部分は約20坪、月額賃料は約10万円、坪単価は約5,000円です。店舗専用の駐車場も5台ありました。

この条件を見たとき、私は現在の賃料収入だけでなく、「もし退去しても次のテナントを募集できるか」を考えました。

山谷:駐車場5台は店舗専用だったんですか?

くっつー:店舗専用です。約20坪で家賃約10万円、坪単価約5,000円、飲食店を募集できるため、退去しても次を付けやすい条件だと判断しました

坪単価と総額を周辺条件から見る

約20坪で月額約10万円なら、事例上の坪単価は約5,000円です。ただし、坪単価だけを切り取って安いと決めるのではなく、同じ地域・規模・用途の募集条件と照合します。

借り手は坪単価だけでなく、毎月支払う総額で判断します。小規模事業者が無理なく支払える賃料か、貸主側が必要な収益を確保できるかの両方を見る必要があります。

飲食可・駐車場など募集力を確認する

この事例では、飲食店として使われており、専用駐車場が5台ありました。ロードサイド店舗では、車で来店できることが業種選定の幅につながります。

一方で、現在が飲食店だからといって、将来もすべての飲食業態を募集できるとは限りません。設備容量、排気、給排水、近隣条件、貸主の募集方針などを確認します。

再募集力は「今の店」ではなく物件条件で見る

営業中の店が繁盛しているかだけでなく、退去後にどの業種へ、どの賃料で、どのように募集できるかを言葉にできる状態にしておきましょう。

下駄履き物件全体のメリットとリスクを整理したい場合は、1階がテナントの物件で確認したい収益性と注意点もあわせて確認してください。

既存テナントは契約書と現地の両方で確認する

店舗付き物件では、建物だけでなく、賃貸借契約と現在の入居者も引き継ぐことになります。書類上の賃料だけで安心せず、契約内容と営業実態を分けて確認します。

契約条件と支払い状況を確認する

購入前には、賃料、契約期間、更新、解約、保証、修繕負担など、判断に必要な契約情報を確認します。あわせて、賃料の支払い状況や過去のトラブル・修繕履歴について、売主や仲介会社から説明を受けます。

確認できない項目がある場合は、都合よく推測して埋めません。不明点として残し、購入価格や見送り判断へ反映します。

経営者・店長と話して営業実態をつかむ

今回の相談者には、可能であれば現地へ行き、店舗の責任者と話すよう勧めました。相談者が実際に店長と話したところ、現在の営業に対する考えや、将来は別店舗も展開したいという意向を確認できました。

もちろん、その会話だけで将来の営業継続を保証できるわけではありません。それでも、賃料表だけでは見えない運営実態と、入居者との意思疎通ができるかを確認する材料になります。

属性ではなく契約と営業実態を確認する

入居者の出身や属性だけでリスクを決めないでください。契約履行、意思疎通、店舗の管理状態、営業継続の意向を個別に確認します。

収支が合っても融資で止まることがある

今回の相談者は物件を前向きに検討しましたが、最終的には購入に至りませんでした。店舗部分を含む物件であることが、金融機関の融資判断へ影響したためです。

山谷:住宅投資の経験がある方でも、店舗が入っていると融資で止まることがあるんですね

くっつー:あります。収支だけでなく、金融機関が店舗部分をどう評価するかも先に確認した方がよいです

これは「店舗付き物件は融資を受けられない」という意味ではありません。購入者の実績、金融機関の方針、物件の構成、担保評価などによって判断は変わります。

店舗付き物件への金融機関の見方を先に聞く

住宅投資で取引がある金融機関でも、店舗付き一棟物件を同じ基準で扱うとは限りません。店舗部分の面積、賃料、契約状況、用途、退去時の募集方針まで説明できる資料を用意します。

物件を買えるかどうかは収支計算だけでなく、金融機関が店舗部分をどう評価するかにも左右されます。

融資条件を確認してから買付へ進む

気になる物件を見つけたら、仲介会社への確認と金融機関への相談を並行して進めます。買付後に初めて店舗部分の取扱いが難しいと分かると、判断できる時間が足りなくなるからです。

不動産投資を始める段階での資金整理や金融機関探しについては、貯金300万円から大家になるまでの実例で詳しく整理しています。

よくある質問

Q
入居中の店舗を現地確認できない場合はどうしますか?

A

売主や仲介会社を通じて、営業状況、契約履行、修繕履歴、退去意向など確認できる項目を整理します。確認できないこと自体も購入リスクです。不明点を楽観的に埋めず、価格へ織り込むか、判断できなければ見送ります。

Q
テナントの売上を見せてもらえない場合はどう判断しますか?

A

売上だけに頼らず、賃料の支払い状況、営業年数、営業実態、店舗の管理状態、経営者の継続意向など、確認可能な情報を組み合わせます。1つの情報だけで営業継続を断定しないことが大切です。

Q
家賃が相場より安い物件は買いですか?

A

安い理由を確認せずに買いとは判断できません。現契約を維持した場合の収支と、退去後に相場条件で募集する場合の空室期間・工事費・募集費を分けて試算します。

Q
店舗付き物件の融資相談はいつ行うべきですか?

A

できるだけ買付前に相談します。物件概要、レントロール、店舗用途、契約状況を伝え、金融機関が店舗付き物件を扱えるか確認してください。

Q
退去後に飲食店以外も募集できますか?

A

物件の用途、設備、周辺環境、貸主の条件によって変わります。現在の業種だけでなく、退去後に募集できる業種候補を不動産会社や必要な専門家と整理しておきましょう。

Q
店舗部分が不安なら物件を見送るべきですか?

A

不安の内容を、調査で解消できるもの、価格へ織り込めるもの、解消できないものに分けます。重要な不明点が残り、自分の経験や協力体制で管理できない場合は、見送る判断も必要です。

入居中の店舗と退去後の両方を見て判断しよう

入居中の店舗がある物件は、現在の賃料が入っている点だけを見れば魅力的に感じます。しかし、購入前に確認したいのは次の4点です。

  1. 現在の賃料が物件条件に見合っているか
  2. 退去後も別のテナントを募集できるか
  3. 既存テナントが継続して営業できそうか
  4. 店舗部分を含めて融資を受けられるか

現在の入居者と退去後の再募集、物件評価と融資評価を分けて確認することが、店舗付き物件で後悔しないための基本です。

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