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店舗物件を所有していると、テナントの退去や契約更新を前に「次はいくらで貸せばよいのか」と迷うことがあります。
住居と違い、店舗は同じ建物内で比較できる事例が少なく、立地や面積によって賃料差も大きくなります。近隣に似た物件が見つからず、査定の根拠を作れないことも珍しくありません。
この記事では、公開されている貸店舗情報から坪単価を調べる方法と、比較物件が少ない場合の考え方を解説します。賃料を見直すタイミングも整理するので、空室発生後や契約更新前の判断にお役立てください。
- 店舗物件の賃料相場を調べる2ステップ
- 坪単価を使って募集物件を比較する方法
- ポータルサイトの情報だけでは判断しにくいケース
- 賃料を上げるときに確認したい考え方
- 賃料査定や相談を始めるタイミング
- 所有する店舗物件の適正賃料を知りたい貸主
- テナントの退去後に募集賃料を見直したいオーナー
- 契約更新を前に賃料の査定材料を揃えたい方
- 周辺に比較できる貸店舗が少なく困っている方
店舗物件の賃料査定は「地域相場」と「類似物件」の2段階で行う
店舗物件の賃料を査定するときは、近くにある1件の募集情報だけで金額を決めないことが大切です。
まず同じ地域の坪単価を確認し、そのあとに面積や階数が似た物件を探します。地域相場と類似条件の両方を見ることで、査定の偏りを減らせます。
最近、不動産会社さんやオーナーさんから、賃料査定の依頼が多いんですよ
まず見てほしいのはアットホームです。所有物件の地域で、今募集に出ている貸店舗を確認します
1. 同じ地域の貸店舗から坪単価の目安を出す
最初に、アットホームなどの不動産ポータルサイトで、所有物件と同じ地域にある貸店舗を検索します。
確認したいのは、月額賃料だけではありません。店舗物件は広さが異なるため、坪単価へ換算して比較します。
坪単価は、次の式で計算できます。
月額賃料 ÷ 坪数 = 1坪あたりの賃料
たとえば30坪の店舗を査定する場合、周辺にある複数の貸店舗について、坪単価が8,000円、1万円、1万2,000円のどのあたりに集まっているかを確認します。
1件だけでは、設備や募集事情による例外を相場と誤認する可能性があります。できるだけ複数の物件を比べ、地域のおおまかな水準を把握しましょう。
2. 条件を固定して地域を広げ、似た物件と比較する
同じ地域の相場が分かっても、それだけで査定額を決めるのは早計です。店舗物件は、立地や階数、面積による影響が大きいからです。
次は「1階・30坪」のように条件を固定し、検索範囲を少し広げて似た物件を探します。
- 所有物件と同じ階数か
- 面積が近いか
- 駅からの距離が近いか
- 人通りや道路付けが似ているか
- 店舗としての使われ方が近いか
完全に同じ物件はありません。地域だけが同じ物件と、条件が似ている物件を分けて比較し、両方の結果から妥当な範囲を考えます。
同じ地域の募集だけでは、比較できる物件が少ないこともありますよね
その場合は、1階・30坪など条件を固定して地域を広げます。似た条件の物件が、どのくらいの賃料で出ているかも確認しましょう
相場は1つの数字ではなく、複数の比較から「妥当な範囲」として捉えることが重要です。
ポータルサイトの募集賃料だけでは査定しにくいケースもある
不動産ポータルサイトは、現在募集されている貸店舗を確認する入口として役立ちます。しかし、掲載件数が少ない地域では、十分な比較材料を集められません。
また、掲載されているのは基本的に募集時の条件です。実際にどの条件で契約したか、どのくらいの期間募集しているかまでは分からない場合があります。
募集事例が少ないときは期間を広げたデータが必要
現在掲載されている物件だけで判断できないときは、過去を含む一定期間のデータが必要です。
テナントの窓口グループでは、アットホームの提供データを活用し、1年分の募集情報を整理した賃料レポートを査定に用いています。
公開されている物件だけだと、データ量が足りないこともありますよね
そういうときは、1年分の募集データや平均賃料、駅からの距離による違いをまとめたレポートも使います
このようなレポートでは、現在の掲載物件だけでなく、次のような情報を確認できます。
- エリアごとの募集賃料
- 坪単価の平均
- 駅からの距離による賃料差
- 似た条件の物件が募集された履歴
掲載件数が少ない地域ほど、1時点の情報だけで結論を出さず、対象期間を広げて傾向を見る必要があります。
募集賃料と実際に決まる賃料は同じとは限らない
ポータルサイトで見つかるのは「この金額で貸したい」という募集条件です。掲載価格が、そのまま適正賃料や成約賃料になるとは限りません。
長期間決まっていない物件の賃料を基準にすると、自分の物件も高く査定してしまう可能性があります。
募集価格だけで査定額を決めず、物件条件、掲載期間、周辺の成約状況まで確認できるかを検討しましょう。
賃料を上げるなら「何%上げるか」より根拠を先に揃える
物価や周辺相場が変化していると、これまでの賃料が現在の水準より低くなっている場合があります。
ただし「周りも上がっているから」という理由だけで値上げ幅を決めるのは危険です。比較できるデータと物件条件を揃え、募集期間への影響も含めて判断します。
5〜10%上げて決まった事例
テナントの窓口が扱った事例には、これまでの賃料から5〜10%程度上げて募集し、契約につながったケースがあります。
これは、どの物件でも5〜10%上げられるという意味ではありません。周辺相場や類似物件と比べたとき、従来の賃料が低かったために調整できた事例です。
上げ幅を先に決めるのではなく、現在の賃料が相場のどこにあるかを確認することが先です。
最近は、従来より5〜10%ほど上げて募集し、そのまま決まることもありますよね
あります。ただ、以前約30%上げたときは決まらなかったので、根拠と上げ幅のバランスが必要です
約30%上げて決まらなかった事例
一方で、約30%上げて募集したものの、契約まで進まなかったケースもありました。
賃料を高く設定できれば、契約後の収入は増えます。しかし、高すぎる賃料で空室期間が延びれば、その間の賃料収入を失います。
値上げによる収入増と、空室が長引く損失を分けずに考えることが大切です。
月1万円の差でも10年なら120万円になる
賃料査定では、月額の小さな差も長期で確認します。
月1万円の差でも、10年間では次の金額になります。
1万円 × 12か月 × 10年 = 120万円
適正な範囲で賃料を見直せれば、長期収入へ大きく影響します。ただし、これは空室期間や契約条件を考慮しない単純計算です。
月額賃料だけでなく、契約期間全体の収入と空室リスクを並べて判断しましょう。
賃料査定を始めるタイミングは閉店通知後と更新前
賃料の査定は、空室になってから慌てて始めるものではありません。次の募集や更新までに調査時間を確保できる時点で着手します。
賃料査定を相談するなら、どのタイミングがいいですか?
閉店通知を受けたときか、更新が半年後に来る段階で相談してもらえると動きやすいです
テナントから閉店通知を受けたとき
テナントから閉店や退去の通知を受けたら、次の募集条件を考え始めるタイミングです。
早めに地域相場と類似物件を調べておけば、退去後すぐに募集へ移りやすくなります。査定に必要な情報が足りない場合も、専門家へ調査を依頼する時間を取れます。
契約更新の6か月前
契約更新が近づいている場合は、6か月前を目安に賃料水準を確認します。
更新直前では、比較データを集めたり、条件を整理したりする時間が足りません。早めに現在の賃料と周辺相場を比べ、見直しが必要か検討します。
実際に賃料を変更できるか、どのような手順が必要かは契約内容によって異なります。契約書の条件を確認し、必要に応じて専門家へ相談してください。
自分で調べても判断できない場合は店舗専門家へ相談する
次のような場合は、ポータルサイトの検索だけで適正賃料を決めるのが難しくなります。
- 周辺に貸店舗の募集事例がほとんどない
- 同じ面積や階数の物件が見つからない
- 駅距離や道路付けによる差を判断できない
- 賃料を上げた場合の空室リスクを比較できない
- 更新条件や募集開始時期も含めて整理したい
この場合は、店舗物件を専門に扱う不動産会社へ査定を依頼し、根拠となる比較データも確認しましょう。
前テナントの賃料、階数、設備、業種ごとの違いまで含めた総合的な決め方は、店舗賃料の正しい設定方法をまとめた記事で詳しく整理しています。
店舗物件の賃料査定に関するよくある質問
Q店舗の坪単価はどう計算しますか?
月額賃料を坪数で割って計算します。月額30万円、30坪の店舗なら坪単価は1万円です。共益費や税の扱いが物件ごとに異なるため、比較するときは条件を揃えてください。
Qアットホームの募集賃料をそのまま使えますか?
そのまま査定額にするのは避けましょう。掲載価格は募集条件であり、実際の成約条件と一致するとは限りません。複数件を坪単価で比較し、掲載期間や物件条件も確認します。
Q同じ地域に似た店舗がない場合はどうしますか?
階数や面積などの条件を固定し、検索範囲を少し広げます。地域相場と類似条件物件の結果を分けて整理すると、判断材料を増やせます。
Q賃料は何%まで上げられますか?
一律の割合はありません。5〜10%上げて決まった事例もあれば、約30%上げて決まらなかった事例もあります。現在の賃料、周辺相場、物件条件、空室リスクから判断します。
Q空室になってから査定しても間に合いますか?
査定はできますが、閉店や退去の通知を受けた時点で始める方が、次の募集条件を準備しやすくなります。退去後の空白期間を短くするためにも、早めに動きましょう。
Q更新時に賃料を見直すことはできますか?
まず更新6か月前を目安に相場を調べ、見直しの必要性を確認します。実際の変更可否や手順は契約内容によって異なるため、契約書を確認したうえで専門家へ相談してください。
まとめ:適正賃料は比較データと相談タイミングで決まる
店舗物件の賃料査定では、同じ地域の坪単価を確認したあと、面積や階数が似ている物件まで比較します。
現在の募集情報だけでは事例が足りない場合は、1年分のデータや駅距離による賃料差も確認しましょう。
大切なのは、高く貸すことだけではなく、根拠のある賃料で空室期間を抑えることです。
テナントから閉店通知を受けたときや、契約更新の6か月前は、賃料を見直すよいタイミングです。ご所有物件の比較対象が見つからない方や、募集賃料の判断に迷う方は、店舗物件を専門に扱うテナントの窓口へご相談ください。