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「表面利回りは悪くないのに、なぜか手元にお金が残らない」

不動産投資では、家賃と購入価格から出した表面利回りが魅力的に見えても、保有中の費用と借入条件によって手残りがほとんど消えることがあります。

私も東京都内の区分店舗を2,000万円強で購入し、表面利回り約8%を見て「まずまずの条件」と判断しました。ところが、管理費・修繕積立金や借入金利を差し引くと、実際の収支はほぼトントン。状況によっては赤字です。

この記事では、私の失敗例をもとに、表面利回りの数字だけでは見えない費用と、店舗物件の購入前に確かめたい数字を整理します。

この記事でわかること
  • 表面利回り8%でも手残りが出なかった理由
  • 管理費・修繕積立金と借入金利の影響
  • 店舗不動産の購入前に確かめたい4つの確認項目
  • 購入後に賃料改定や売却を考える順序
この記事がおすすめな人
  • 区分店舗や事業用不動産の購入を検討している方
  • 表面利回りと実際の手残りの差を知りたい方
  • 管理費や借入金利で収益が伸びない方
  • 賃料の見直しと将来の売却を検討している方
目次
  1. 表面利回り8%でも、費用を引くと手残りは消える
  2. 買いだと判断した金町の区分店舗
    1. 1. 資料では微妙に見えたが、現地で評価が変わった
    2. 2. 都内・1階・道路沿いという条件を評価した
    3. 3. 賃料の改定余地を見込んだ
  3. 収支を圧迫したのは、表面利回りに出ない費用
    1. 1. 管理費・修繕積立金が家賃の約3分の1を占めた
    2. 2. 3.7%の借入金利が毎月のキャッシュフローを削った
    3. 3. 税金・保険・突発費用まで入れて初めて手残りが見える
  4. 店舗不動産の購入前に確かめたい4つの確認項目
    1. 1. 現行賃料で月次・年次の手残りを出す
    2. 2. 固定費と将来の修繕負担を分ける
    3. 3. 自己資金だけでなく借入条件をストレステストする
    4. 4. 賃料改定前の収支で保有可能性を確かめる
  5. 購入後は「賃料を上げれば解決」と決めつけない
    1. 先に周辺相場と現行契約を確かめる
    2. 保有継続と売却の両方で出口を比べる
  6. よくある質問
    1. Q区分店舗の管理費・修繕積立金は、購入前に何を見ればよいですか?
    2. Q管理費・修繕積立金が重い物件は、すべて避けるべきですか?
    3. Q融資条件は、金利以外に何を比較すべきですか?
    4. Q不動産所得の経費は、支払った費用をすべて同じように扱えますか?
    5. Q管理費と「管理会社へ支払う管理委託費」は同じですか?
  7. 表面利回りで止まらず、手残りと出口から逆算する

表面利回り8%でも、費用を引くと手残りは消える

結論からいうと、表面利回りが良く見えても、それだけで「儲かる物件」とは判断できません

表面利回りは、おもに年間賃料収入と物件価格の関係を見る指標です。一方、実際の手残りを見るには、保有中の費用や融資の返済負担も反映させる必要があります。

確認する数字分かること
年間賃料収入 ÷ 購入価格表面上の利回り
賃料収入 – 管理費・修繕費・税金・保険料など物件自体が生む実質的な収益
さらに借入返済を反映所有者の手元に残るキャッシュフロー

国土交通省の不動産証券化に関する資料でも、NOIは年間賃料収入から公租公課、管理費、修繕維持費、火災保険料などを差し引いた利益と整理されています。

同じ物件を購入した時点の判断理由や現地確認については、前回の記事「表面利回りだけでなく実質収支まで確かめる区分店舗の購入判断」で紹介しています。今回は、その後に分かった保有コストと借入負担に焦点を当てます。

買いだと判断した金町の区分店舗

今回私が購入したのは、東京都葛飾区金町にある区分店舗です。駅から徒歩10分ほど、5階建てマンションの1階にある約18坪の区画で、すでに事務所テナントが入居していました。

価格は2,000万円強。自己資金は約20%にあたる約400万円を入れ、残りは融資を利用しました。

1. 資料では微妙に見えたが、現地で評価が変わった

最初に物件資料を見たときは、駅徒歩10分という条件もあり「難しいだろう」と感じました。

しかし、他の候補とあわせて現地を視察すると印象が変わります。周辺の店舗を挙げたところ、山谷から「地元の方が使う店が並ぶ立地」という見方が出ました。私自身も現地で通りの様子を確認し、道路沿いにある点を含めて可能性を感じたのです。

2. 都内・1階・道路沿いという条件を評価した

私は駅距離だけでなく、都内にあること、1階の区画であること、道路沿いであることを評価しました。

資料上の数字が弱く見える物件でも、現地で確認すると別の強みが見えることがあります。この現地確認自体は、購入判断に役立ちました。

3. 賃料の改定余地を見込んだ

入居中のテナントは約8年前から入っており、私は現行賃料に見直しの余地があると考えました。現在の表面利回りが約8%でも、賃料が上がれば利回りは改善します。

ただし、賃料改定は「これから実現する予定」であり、購入時点の確定収入ではありません。購入判断では、現行賃料による収支と、改定後の想定収支を分けて扱う必要があります。

収支を圧迫したのは、表面利回りに出ない費用

購入前は、表面利回り約8%あれば、毎月一定の利益が残ると考えていました。実際に収支を確かめると、主に次の負担が手残りを圧迫しています。

  • 管理費・修繕積立金
  • 借入金利
  • 税金・保険料などの保有コスト

1. 管理費・修繕積立金が家賃の約3分の1を占めた

今回の物件では、管理費と修繕積立金をあわせた負担が、賃料の約3分の1に相当しました。家賃が入った瞬間に、その約3分の1が消える計算です。

区分所有物件では、家賃だけでなく、毎月強制的に支出する金額の比率を先に確かめる必要があります

さらに突発的な修繕まで重なると、キャッシュフローはいっそう厳しくなります。購入後の修繕リスクは、店舗物件で実際に起きた修繕トラブルの例からも確認できます。

2. 3.7%の借入金利が毎月のキャッシュフローを削った

私が今回利用した融資の金利は3.7%でした。これはあくまで私の個別条件であり、一般的な融資相場として示す数字ではありません。

ただ、物件の利回りに比べて借入コストが重い場合、賃料収入があっても手元に利益が残りにくくなります。

自己資金をいくら入れるかだけでなく、借入額、金利、返済期間、毎月の返済額をセットで確認することが大切です。

3. 税金・保険・突発費用まで入れて初めて手残りが見える

不動産を持てば、税金や火災保険料なども発生します。月々の管理費と借入返済だけを見ていると、年単位で支払う費用を見落としがちです。

税務上の扱いは所有形態や使用状況で異なるため、実際の判断は税理士等へ確認してください。不動産所得の必要経費の基本的な考え方は、国税庁の案内で確認できます。

店舗不動産の購入前に確かめたい4つの確認項目

今回の事例と関連資料を踏まえると、購入前の確認項目は次の4つに整理できます。

  1. 現行賃料で月次・年次の手残りを出す
  2. 固定費と将来の修繕負担を分ける
  3. 自己資金だけでなく借入条件をストレステストする
  4. 賃料改定前の収支で保有可能性を確かめる

1. 現行賃料で月次・年次の手残りを出す

賃料を上げられた場合の収支ではなく、まずは現行賃料で試算します。今回のように管理費・修繕積立金が賃料の約3分の1を占める場合、その負担を入れた時点で手残りがどこまで減るかを確認します。

管理費・修繕積立金、税金、保険料、借入返済を月次または年次へ揃え、同じ期間で比較してください。

2. 固定費と将来の修繕負担を分ける

毎月必ず出ていく費用と、突発的に生じる費用は分けて整理します。

将来の修繕額を正確に予測するのは難しくても、修繕積立金の改定履歴や管理組合の資料を確認し、追加負担が生じた場合に耐えられるかを見ておきます。現状ですでに収支がトントン、条件次第で赤字なら、追加負担を吸収できる余地は小さくなります。

3. 自己資金だけでなく借入条件をストレステストする

融資を利用する場合は、提示された条件で支払えるかだけでなく、空室、修繕、金利や費用の変動が重なっても保有を続けられるかを確かめます。今回の金利3.7%という個別条件でも手残りが削られたため、金利だけでなく返済期間や毎月の返済額まで含めた比較が必要です。

個別物件だけでなく、保有資産全体の借入負担や売却判断については、不動産ポートフォリオを組むときの5つの判断軸も参考になります。

4. 賃料改定前の収支で保有可能性を確かめる

賃料を上げられれば収支は改善します。しかし、契約条件、テナントとの協議、周辺相場によっては、想定通りに進まない可能性もあります。

賃料改定をしない状態でも保有できるかを確かめ、改定で得られる収益は上振れ候補として分けて考えることが重要です

購入後は「賃料を上げれば解決」と決めつけない

私は今後、この物件の賃料改定を検討し、利回りを高めたうえで将来の売却を目指す予定です。

これは現時点で成功した方法ではありません。賃料改定ができるのか、売却時にどの程度の価格になるのかを、今後の過程で検証していきます。

先に周辺相場と現行契約を確かめる

賃料改定を検討するときは、「安いと感じる」という理由だけで進めず、周辺の募集事例や物件の条件を比較します。

店舗物件の賃料を査定する手順と見直し時期を参考に、契約内容と相場の根拠を揃えてから協議に入ることが大切です。

保有継続と売却の両方で出口を比べる

山谷と話して改めて感じたのは、不動産は株式のように、すぐ売って損切りすることが難しい資産だということです。

購入後の選択肢を考える際は、賃料改定後の収益だけで売却価格を決めつけず、現状の収支で保有を続ける場合と、現時点で売却する場合を比較する必要があります。売却に必要な期間と費用も含めて、出口を数字で比較する必要があります

よくある質問

Q
区分店舗の管理費・修繕積立金は、購入前に何を見ればよいですか?

A

現在の月額だけでなく、過去の改定、管理組合の収支、長期修繕計画、一時金の予定などを確認します。取得できる資料は物件によって異なるため、仲介会社へ資料の有無を確かめてください。

Q
管理費・修繕積立金が重い物件は、すべて避けるべきですか?

A

一律に避けるべきとは限りません。管理費等を差し引いた後の手残り、物件固有の強み、将来の修繕負担、売却時の見通しを合わせて判断します。費用の比率だけで決めず、追加負担が発生しても保有できるかまで試算してください。

Q
融資条件は、金利以外に何を比較すべきですか?

A

借入額、返済期間、返済方法、融資手数料、毎月の返済額を比較します。空室や修繕が重なった場合の資金余力も確認してください。融資条件は金融機関や申込者によって異なるため、個別条件は各金融機関へ確認が必要です。

Q
不動産所得の経費は、支払った費用をすべて同じように扱えますか?

A

すべてを同じように扱えるとは限りません。費用の内容や用途によって税務上の扱いが異なるため、国税庁の案内を確認し、個別の計上方法は税理士等へ相談してください。

Q
管理費と「管理会社へ支払う管理委託費」は同じですか?

A

必ずしも同じではありません。区分所有建物の管理組合へ支払う管理費と、賃貸管理業務を外部へ委託する費用は、契約先や対象業務が異なる場合があります。費用の名称だけでなく、請求元と業務範囲を確かめてください。

賃貸管理の業務範囲は、自主管理と管理会社を比較した解説で詳しく整理しています。

表面利回りで止まらず、手残りと出口から逆算する

今回の物件は、表面利回り約8%、都内の1階区画、既存テナントが入居中という条件がありました。それでも、管理費・修繕積立金、借入金利、税金、保険料を反映させると、手残りはほとんど出ませんでした。

購入判断で大切なのは、いま見えている表面利回りではなく、保有中の費用と借入負担を引いた後にどれだけ残るかです

さらに、賃料改定が実現しない場合、費用が増えた場合、売却に時間がかかる場合でも保有できるかを確かめてください。

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