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「現在の賃料が周辺相場より低い」と分かっても、長年入居しているテナントへの値上げは切り出しにくいものです。
- どの資料を用意すればよいのか
- いくらを提示するのか
- テナントの反応にどう応じるのか
私も、購入した金町の区分店舗で、事務所テナントへ賃料改定を提案しました。月額15万円から22万円への改定を切り出し、協議の中で20万円・敷金追加なしまで条件を調整しています。
この記事では、実際に揃えた相場資料、条件の出し方、相手の事情を聞いた後の調整を整理します。なお、動画収録時点で最終回答は出ていません。
- 賃料値上げ交渉の前に揃えたい根拠
- 月額15万円からの改定を提案した実例
- 最初の提示と着地点を分ける考え方
- 長期入居テナントと協議する際の注意点
- 現行賃料が周辺相場より低い物件の貸主
- 契約更新に合わせて賃料改定を検討している方
- 既存テナントとの関係を維持しながら条件を見直したい方
賃料値上げ交渉は「根拠」と「譲歩案」を用意して協議する
結論からいうと、現在の賃料が安いという貸主の感覚だけでなく、周辺相場と比較できる資料を示すことが出発点です。
ただし、相場を示せば希望額で決まるわけではありません。相手の経営状況や移転コストも聞き、「賃料」と「敷金などの付帯条件」を分けて調整します。
本件は動画時点で協議中です。交渉の成功を保証するものではなく、一つの実行例として確認してください。
金町の事務所テナントに賃料改定を提案した実例
対象は、私が購入した東京都葛飾区金町の約18坪の区画です。約8年入居している事務所テナントがあり、現行賃料は月額15万円。坪単価にすると約8,000円でした。
購入後の収支確認で、管理費・修繕積立金や借入負担を差し引くと手残りがほとんど出ないことが分かりました。賃料改定を検討した背景は、前編の「表面利回り8%でも手残りが出なかった実例」で詳しく整理しています。
私は購入日に入居企業へ連絡し、まずは所有者変更のあいさつとして面談を依頼しました。契約更新が近く、相手の入院予定もあったため、日程を調整して入院前に面談しています。
賃料交渉前に準備した3つの材料
私は、希望額だけを伝えるのではなく、次の3つを準備しました。
- 更新時期と現行の契約条件
- 周辺の募集事例・成約事例・賃料レポート
- 最初に提示する条件と、譲歩できる着地点
1. 更新時期と現行の契約条件
賃料改定を検討する場合は、まず契約書で更新時期、賃料、敷金、改定に関する条項を確認します。
更新日直前に初めて切り出すと、相手に検討時間が残りません。賃料の話をする前に、いつまでに何を決める必要があるかを整理してください。
2. 募集事例・成約事例・レポート
私はアットホームの募集情報、不動産業者として確認できるレインズの成約事例、アットホームの賃料レポートなどを調べました。
周辺事例は坪単価1万1,000円から1万7,000円程度で、現行の約8,000円より高い水準でした。面談では、坪単価1万7,000円の事例も印刷して示しています。
比較対象は同じ駅・同じ用途というだけでなく、面積、階数、視認性、設備、契約条件の違いも確認します。相場調査の手順は「店舗物件の賃料査定方法」もあわせて確認してください。
3. 最初の提示条件と、譲歩できる着地点
相場資料を踏まえ、私は月額22万円と敷金の追加預託を提案しました。一方で、賃料は20万円程度まで調整でき、敷金の追加は見送る余地を持っていました。
最初から一つの条件に固定するのではなく、何を優先し、何なら譲歩できるのかを分けておくと、協議の中で調整しやすくなります。
22万円・敷金追加から20万円・追加なしへ調整した理由
テナント側からは、現行15万円から22万円への7万円増加と、敷金の追加を同時に受け入れるのは難しいという反応がありました。
入居企業はその場所で8年経営し、従業員もいます。本店登記もあるため、賃料が上がったらすぐ移転するという状況ではありません。しかし、それは貸主が一方的に強い条件を押し付けてよい理由にもなりません。
私は月額20万円まで賃料を下げ、敷金の追加は要求しない条件へ調整しました。賃料と一時的な追加負担を分け、テナントが検討できる着地点を作ったわけです。
| 項目 | 現行 | 最初の提示 | 協議中の調整案 |
|---|---|---|---|
| 月額賃料 | 15万円 | 22万円 | 20万円 |
| 敷金 | 既存条件 | 追加預託を提案 | 追加なし |
| 回答 | — | 経理と相談 | 動画時点で未確定 |
長期入居テナントとの交渉で貸主が見落としたくないこと
賃料の周辺相場だけでなく、入居期間、移転に必要な時間と費用、従業員への影響、空室になった場合の再募集リスクも見ます。
高い賃料を提示できても、交渉が対立に変わり、安定入居しているテナントとの関係が悪化すれば、貸主の収益改善につながらない場合があります。
また、賃料改定は契約と法律に関わるため、貸主の通知だけで処理しないでください。借地借家法第32条には借賃の増減額請求の規定がありますが、個別の契約条項や手続の判断は専門家の確認が必要です。e-Gov法令検索の借地借家法も参照し、合意内容は書面に残しましょう。
賃料の妥当性を判断する視点は「相場・設備・業種から考える賃料設定」でも整理しています。
よくある質問
Q賃料改定の話は、更新のどれくらい前に切り出せばよいですか?
契約の通知期間と相手の検討時間から逆算します。契約書と個別事情によって異なるため、一律の期間では決めず、資料準備と内部決裁に必要な時間も含めて早めに動きます。
Q募集事例の賃料をそのまま提示してもよいですか?
募集事例は募集価格であり、実際の成約条件と一致するとは限りません。複数の募集事例に加え、確認できる場合は成約事例や専門業者の査定も併用します。
Q値上げの代わりに敷金を増やす方法は有効ですか?
賃料と敷金は目的が異なる条件です。敷金の追加はテナントの一時的な資金負担を増やすため、賃料と別に必要性を判断し、合意内容を書面化してください。
Qテナントが値上げに応じない場合はどうすればよいですか?
すぐに対立的な手段へ進まず、反対理由を確認します。賃料額、改定時期、段階的な増額、付帯条件のうち、調整できる要素を分けて再提案します。法的手続を検討する場合は弁護士等へ相談してください。
Q口頭で合意できれば、契約書はそのままでもよいですか?
後日の認識違いを避けるため、改定額、適用開始日、敷金などの付帯条件を書面に残します。既存契約との整合も確認し、必要に応じて専門家の確認を受けてください。
賃料改定は、相場と相手の事情を数字で擦り合わせる
今回の協議では、月額15万円、坪単価約8,000円の現行条件に対し、周辺の坪単価1万1,000円から1万7,000円程度の事例を根拠として示しました。
最初は22万円と敷金追加を提案し、テナントの負担を聞いた後に20万円・追加なしへ調整しています。結果は未確定ですが、感覚で押し切るのではなく、客観的な根拠と譲歩可能な条件を用意し、相手の事情を聞いて着地点を探ることが重要です。
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