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こんにちは、テナントの窓口のくっつーです。

赤字の飲食店を続けるか閉めるかは、売上だけでは決められません。「良い店長が来れば戻る」「人流が回復すれば変わる」という期待にも、期限が必要です。

佐々木さんは、横浜のラーメン店を任せられる人を探し、最後の候補へ期待をかけました。しかし、期待した成果に届かず、閉店を決めました。

撤退判断は、資金、人材、改善策、経営者の状態、退去期限の5つを同じ日付で見ることが重要です。

この記事では、追い詰められる前に判断する基準と、閉店決定後に追加損失を抑える順番を整理します。

この記事でわかること
  • 店長候補を待ち続けた実体験
  • 改善期待へ期限を置く方法
  • 撤退判断に使う5つの基準
  • 金融機関へ早めに相談する理由
  • 造作譲渡と原状回復を並行準備する方法
この記事がおすすめな人
  • 赤字店舗を続けるか迷っている経営者
  • 店長不在で現場を任せられない方
  • 借入返済と閉店費用が不安な方
  • もう少し待てば改善すると思い決断できない方

撤退判断を遅らせる最大の要因は「次なら変わる」という期待

佐々木さんは2022年春ごろから、店を任せる人を探し始めました。候補者が見つかったものの、当時の仕事を辞めるかどうかの事情があり、12月ごろまで待ちました。

候補者は実際に店へ入りましたが、営業への姿勢などが期待した水準に届きませんでした。そこで「この人で難しければ閉める」と決めていた基準に沿い、撤退へ進みました。

くっつー:その方が最後の頼みだったということですか?

佐々木:ここで難しければ閉めると決めていました。これ以上探すのも難しいと判断しました

期待を持つこと自体が悪いわけではありません。問題は、何が起きれば改善と判断するのか、いつまで待つのかが決まっていないことです。

候補者を待つなら、着任日、引継ぎ期間、任せる業務、売上・原価・接客の評価日を決めます。採用できたことをゴールにせず、店が安全に継続できる状態をゴールにします。

基準1.手元資金が改善期間と撤退費用の両方を賄えるか

赤字店舗では、改善施策を試す間も家賃、人件費、仕入れ、借入返済が続きます。さらに閉店する場合は、解約予告中の賃料、原状回復、退職精算などが必要です。

改善期間に使える資金と、撤退のために残す資金を分けてください。

資金区分主な内容
営業継続資金仕入れ、人件費、家賃、光熱費
改善投資採用、販促、設備、商品開発
撤退準備資金解約予告中賃料、原状回復、処分、精算
生活・他事業資金経営者の生活、他事業の運転資金

一つの口座残高だけを見ると、撤退費用まで営業で使い切ることがあります。

「あと何か月続けられるか」ではなく、「撤退費用を残すと何か月試せるか」を計算します。

撤退資金まで改善へ投入しない

最後の施策へ全資金を使い、結果が出なかった後に原状回復費が残らない状態は避けるべきです。

造作譲渡が成立する前提にもせず、不成立でも明け渡せる資金と工程を残します。

基準2.店長候補へ任せる業務と評価期限が明確か

「店長がいれば店が戻る」という期待は、店長に何を変えてもらうかが曖昧だと検証できません。

売上を作る、シフトを管理する、原価を抑える、接客を改善する、スタッフを育てるでは、必要な能力が違います。

佐々木さんは、店舗へ常駐して調理を担う運営ではありませんでした。仕組みを作って任せる形だったため、現場責任者の質が継続条件に直結しました。

候補者には、30日・60日・90日で確認する項目を渡します。

  • 日次売上と現金管理を正確に締められる
  • 発注と廃棄を記録し、原価差異を説明できる
  • シフトと人件費を予算内で組める
  • 接客・衛生問題へ自分で初動できる
  • 経営者へ数字と現場課題を報告できる

採用後に合わないと分かった場合、再募集へ戻るのか、閉店へ進むのかも先に決めます。

基準3.改善策に外部環境頼みではない根拠があるか

コロナ禍では、人流回復という店だけでは動かせない要因がありました。外部環境が戻れば売上も戻るという期待を持つのは自然です。

しかし、時期も規模も分からない回復を待つ間、資金は減ります。

改善策は、自店が操作できるものと外部要因を分けます。

自店で動かせる自店では動かせない
商品、価格、営業時間、販促、シフト感染状況、景気、人流、制度変更
接客、衛生、店長権限、仕入れ近隣工事、競合出店、原材料市況

外部環境が戻ることを前提にするなら、戻らなかった場合の期限を置きます。

基準4.経営者の睡眠・健康・他事業を損なっていないか

佐々木さんは、閉店を決める前の時期を「地獄」と表現しました。夜に眠れず、借金を抱えた後に何をするのか見えない恐怖があったと振り返っています。

くっつー:一番苦しかった時期は、どのような状態でしたか?

佐々木:夜に眠れないほど追い詰められ、この先どうなるのかが見えませんでした

経営判断は数字で行うべきですが、判断する本人が眠れず、正常に比較できない状態も経営リスクです。

家族、共同経営者、税理士、金融機関などへ状況を共有し、1人だけで判断を抱えないようにします。

他事業の資金や信用まで赤字店舗へ投入している場合は、店舗単体ではなく会社全体への影響を見ます。

基準5.買い手探しと原状回復に残された時間があるか

閉店を決めてからも、すぐに物件を返せるとは限りません。解約予告、買い手募集、貸主承諾、入居審査、造作契約、原状回復工事に時間が必要です。

決断が遅れるほど、居抜きで引き継ぐ時間が減ります。候補者が見つかっても審査が終わらず、工事へ切り替える期限を失うことがあります。

撤退判断日から逆算し、次の4日を置きます。

  1. 貸主・管理会社へ相談する日
  2. 造作譲渡の募集を打ち切る日
  3. 原状回復工事を発注する最終日
  4. 明け渡し日

退去の連絡時期が貸主側へ与える影響は、閉店1年前の通知を受けた貸主の対応も参考になります。

閉店を決めた後に気持ちが軽くなった理由

佐々木さんは、閉店を決めた後に安堵したと話しました。負債がなくなったからではなく、毎月増える赤字を止める方向が決まったからです。

閉店後も約2,000万円の負債は残りました。それでも、何をいつ終えるかが見えたことで、判断前とは異なる状態になりました。

くっつー:閉店を決めた後は、どんな気持ちでしたか?

佐々木:毎月の赤字を止められると決まり、すっきりしました

撤退は失敗を認めるだけの行為ではありません。損失の増加を止め、返済と次の仕事を設計し直す経営判断です。

金融機関へは返済が止まる前に相談する

佐々木さんは、コロナ期間中に返済条件の変更、いわゆるリスケジュールを経験しています。

返済条件の変更が必ず認められるわけではありません。しかし、支払いができなくなってからではなく、資金繰り表と改善・撤退計画を持って早めに相談することが重要です。

金融機関へは、次を整理して伝えます。

  • 現在の借入先、残高、返済額
  • 直近の試算表と資金繰り表
  • 赤字の原因と実施した改善策
  • 閉店・造作譲渡・原状回復の計画
  • 他事業や今後の返済原資

税理士や認定支援機関などにも相談し、契約や返済条件を自己判断で変更しないでください。

負債と造作譲渡代金を混同しない

造作が売れて現金が入っても、借入債務を買い手が引き受けるわけではありません。

売却代金、回避できる撤去費、閉店後に残る負債を別々に資金表へ置きます。

撤退判断会議で使うチェックリスト

月次の数字が出たら、次の質問へ「はい・いいえ」で答えます。

  • 撤退費用を残しても、改善期間の運転資金があるか
  • 改善策に担当者、数値目標、期限があるか
  • 店長候補が必要業務を担えると確認できたか
  • 外部環境が変わらなくても成立する計画か
  • 経営者の健康と他事業を守れているか
  • 造作譲渡と原状回復の両方に時間が残っているか

「いいえ」が重なったら、追加投資より先に撤退案を具体化します。

撤退準備を始めても、閉店確定ではない

契約確認、原状回復見積、造作査定、金融機関相談は、選択肢を知るための準備です。

改善と並行して出口を調べれば、最後に慌てて条件の悪い処分を選ぶ可能性を下げられます。

継続・縮小・撤退を同じ5項目で比較する

撤退判断が難しいときは、継続か閉店かの二択にしません。営業時間やメニューを縮小して検証期間を作る案も含めます。

私は、3案を同じ評価軸へ並べ、期待だけで継続案を優遇しないことが重要だと考えます。

評価軸継続縮小運営撤退
月次資金流出現状が続く人件費等を下げる余地営業赤字は止まる
売上回復施策次第営業機会が減るなし
必要人員店長・スタッフ最小責任者引継ぎ・精算担当
追加費用改善投資変更・告知費原状回復・精算
期限資金がもつ日検証終了日明け渡し日

縮小で黒字化しても、経営者が現場へ戻らなければ成立しない場合があります。誰が担うかまで含めて比較します。

また、撤退案には造作譲渡が成立する場合と原状回復する場合を置きます。

3案の中で、資金が尽きても実行できる案が一つもない状態を作らないでください。

店長候補を90日で評価する実務表

店長候補へ売上改善だけを求めると、外部環境の影響まで本人の責任になります。役割と権限を段階的に渡します。

期間任せる範囲確認する証拠
1〜30日日次締め、発注、衛生、シフト補助締め差異、欠品、衛生記録
31〜60日人件費、教育、接客改善人時売上、面談、クレーム
61〜90日月次計画、販促、改善提案粗利、予算差、実行結果

権限がないのに結果だけを求めないことも重要です。価格変更、採用、仕入先変更など、経営者承認が必要な項目を決めます。

候補者が条件に届かなければ、延長する理由を証拠で示します。「もう少し見たい」だけで期限を延ばしません。

閉店決定後の30日で止める資金流出

閉店を決めても、仕入れ、広告、サブスク、リース、予約返金などの処理は続きます。

最初の30日で、停止する支出と、明け渡しまで必要な支出を分けます。

  • 長期在庫の追加発注を止める
  • 広告契約の解約期限を確認する
  • リース・レンタル品を一覧化する
  • 予約客、回数券、預り金の対応を決める
  • スタッフへの説明と退職手続きを進める
  • 貸主、金融機関、税理士へ計画を共有する

営業最終日だけを決めても、契約終了日は揃いません。

支出ごとの最終日を決め、閉店後に自動更新や違約金が残らないようにします。

撤退判断の議事録を1枚で残す

撤退は後から「もう少し続けられたのでは」と迷いやすい判断です。決定日に見た数字と条件を残します。

  • 基準日の現預金と13週資金繰り
  • 月次赤字と改善施策の結果
  • 店長候補の評価と代替人員
  • 継続、縮小、撤退の比較
  • 造作譲渡と原状回復の見込み
  • 決定者、決定日、次の確認日

議事録は責任追及のためではなく、前提が変わったときに再判断するために使います。

新しい買い手候補や資金支援が出た場合も、当初の判断表へ追加し、感情だけで撤回しません。

よくある質問

最後に、週次判断の責任者、店長候補の辞退、閉店後の返済原資、従業員への説明、解約通知という5つの判断疑問へ答えます。

Q
改善期限を決めた後、毎週の継続・撤退判断は誰が行いますか?

A

責任者を一人決め、売上、粗利、現預金、人員、撤退準備の更新日を固定します。複数人で確認しても、最終判断者が曖昧だと期限だけが延びます。

週次会議では目標との差と次週の行動を記録し、基準未達時に誰が撤退工程へ切り替えるかまで決めてください。

Q
店長候補が辞退した場合に備えて、どの代替案を用意しますか?

A

営業時間短縮、既存スタッフの責任範囲変更、外部人材、業態縮小、売却・閉店を同じ表で比べます。候補一人の着任だけを前提にしないでください。

各案について開始日、必要費用、必要能力、続けられる期間を決め、辞退が分かった日に次案へ移れる状態にします。

Q
閉店後の返済原資をどう見積もりますか?

A

造作売却、保証金返還、在庫処分、別事業の余剰資金を分け、金額と入金日を保守的に置きます。未確定の売却代金を確定収入へ入れないでください。

返済予定、税金、生活費を同じ月次表へ並べ、返済が難しい月があれば閉店前から金融機関や専門家へ相談します。

Q
従業員や取引先には、閉店をいつ伝えるべきですか?

A

閉店方針と実行日、給与・仕入れ・予約への対応を整理した後、相手の雇用や取引へ影響が出る前に伝えます。情報だけを先に広げず、問い合わせ窓口も決めてください。

雇用契約、解雇や退職の手続、未払金などは個別条件で変わるため、社会保険労務士や弁護士へ確認します。

Q
解約通知は、撤退を決めたらすぐ出すべきですか?

A

まず契約上の予告期間、明渡し日、原状回復工期、造作譲渡の可能性を同じ日程表へ置きます。通知を遅らせるほど家賃負担が増える一方、無計画な通知は買い手探しの時間を失います。

貸主・管理会社へ相談する時点と、正式な解約通知を出す時点を分けて設計してください。

まとめ:期待を捨てるのではなく、期待へ期限を置く

佐々木さんは、店長候補へ最後の期待をかけ、条件に届かなければ閉店すると決めていました。

その判断前は眠れないほど追い詰められましたが、閉店決定後は赤字の増加を止める道筋が見えました。

撤退判断では、手元資金、人材、改善策、経営者の状態、退去期限を並べ、期待が外れた場合の切替日を決めてください。

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