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こんにちは、テナントの窓口のくっつーです。
店舗を閉店するとき、保証金が戻るから費用を賄えると思っていないでしょうか。解約予告中の家賃、保証金償却、解体・原状回復費を引くと、返還金だけでは足りないことがあります。
一方、造作を次の入居者へ有償で譲渡できれば、売却代金を得ながら、撤去費や退去までの家賃を抑えられる場合があります。
今回の仮定では、スケルトン返しが100万円の持ち出し、居抜き売却が470万円の受取となり、差は約570万円です。
これは相場や保証額ではなく、条件を置いたシミュレーションです。何が差を生み、どこを自店の数字へ置き換えるべきか解説します。
- 店舗閉店時に発生する主な費用
- スケルトン返しが100万円持ち出しになる計算
- 居抜き売却で470万円受け取る仮定
- 約570万円差が生まれる4つの条件
- 自店用の閉店資金表を作る方法
- 閉店費用と保証金返還を計算したい方
- 居抜き売却と原状回復を比べたい経営者
- 造作譲渡価格だけで判断している方
- 解約通知を出す前に手残りを試算したい方
仮定の店舗では、閉店方法で約570万円の差が出る
この試算で置いた前提は、家賃20万円、10坪、保証金8か月です。保証金は160万円預けている計算になります。
保証金のうち2か月分40万円が償却され、解約予告は6か月、スケルトン解体は坪10万円と仮定しました。
| 前提 | 仮定額 |
|---|---|
| 月額賃料 | 20万円 |
| 面積 | 10坪 |
| 保証金 | 160万円(8か月) |
| 保証金償却 | 40万円(2か月) |
| 解約予告期間 | 6か月 |
| 予告期間中賃料 | 120万円 |
| 解体費 | 100万円(坪10万円) |
| 造作譲渡代金 | 350万円 |
この数字は説明用であり、実際の工事単価、保証金、償却、予告期間を示すものではありません。
スケルトン返しでは100万円の持ち出しになる試算
スケルトン返しの仮定では、保証金160万円がそのまま手元へ戻るわけではありません。
保証金償却40万円、解体費100万円、6か月分の賃料120万円を差し引きます。
160万円 - 40万円 - 100万円 - 120万円 = -100万円
したがって、保証金を充当しても100万円の持ち出しです。
くっつー:保証金が160万円あっても、閉店すると持ち出しになるのですか?
佐々木:償却、解体費、解約予告中の賃料を引くと、この仮定では100万円不足します
実際には、未払賃料、光熱費精算、廃棄物処分、看板撤去、指定業者、工事管理費などが加わる場合があります。
反対に、工事範囲が小さい、予告期間中も営業する、貸主と一部残置で合意する場合は、支出が変わります。
保証金から何を差し引くかは契約によります。償却、未払債務、原状回復費などを精算した後の返還見込額を使ってください。
満額返還を前提に工事を発注しないことが重要です。
居抜き売却では470万円を受け取る試算
居抜き売却の仮定では、造作を350万円で譲渡し、保証金160万円から償却40万円を差し引きます。
この試算では、次の入居者へ切れ目なく引き継げる前提で、解体費100万円と6か月分賃料120万円を計上していません。
350万円 + 160万円 - 40万円 = 470万円
結果は470万円の受取です。
くっつー:スケルトン返しと比べて、どこで差が出るのですか?
佐々木:造作が売れることに加え、解体費と解約予告中の賃料を抑えられる前提で大きな差になります
ここで注意したいのは、造作が売れれば必ず予告期間中賃料がゼロになるわけではないことです。
現借主の契約終了日、次の借主の契約開始日、貸主との精算条件によって、家賃負担は変わります。
差額は「約500万円」ではなく、前提上は570万円
概算では「約500万円の差」と丸められます。計算上は、470万円の受取と100万円の持ち出しの差なので570万円です。
470万円 -(-100万円)= 570万円
これは造作譲渡で570万円儲かるという意味ではありません。
内訳は、造作代金350万円、解体費回避100万円、予告期間中賃料回避120万円の合計570万円です。各項目が実際に成立したときだけ差になります。
| 差の要因 | 仮定額 | 成立条件 |
|---|---|---|
| 造作譲渡代金 | 350万円 | 買主と売買が成立する |
| 解体費の回避 | 100万円 | 貸主が残置を承諾する |
| 予告期間中賃料の回避 | 120万円 | 契約・精算上、現借主負担が減る |
| 合計差 | 570万円 | 3条件がすべて成立する |
売却代金は受取、解体費と家賃は回避支出です。会計・税務上の扱いも同じとは限りません。
誰が受け取り、誰が負担し、いつ確定するかを別々に管理します。
居抜き売却の試算が成立する4つの条件
570万円差の試算は、造作価格だけで成立するものではありません。貸主承諾、入居審査、価格、家賃負担の4条件を確認します。
1.貸主が居抜き引継ぎを承諾する
契約がスケルトン返しなら、現借主だけで内装を残せません。次の業態、残す設備、将来の返還状態を貸主と合意します。
2.次の入居者が審査に通る
造作の買い手が、物件の借主になれるとは限りません。賃料、保証、信用、用途などの審査が必要です。
3.350万円の造作価値を買主が認める
造作価格は売主の希望では決まりません。設備状態、代替工事費、改修費、需要、期限から交渉します。
4.現借主の家賃負担が本当に減る
次の契約開始までの空白や、解約予告義務の扱いを確認します。買主が早く見つかっても、契約上の賃料が残る場合があります。
佐々木さんの実例は150万円の造作譲渡だった
シミュレーションとは別に、佐々木さん自身は横浜のラーメン店を閉じる際、造作・設備を約150万円で次の利用者へ譲渡しました。
譲渡後も約2,000万円の負債が残っています。150万円で負債をすべて解消した事例ではありません。
個別事例を自店へ当てはめる前に、スケルトン返しと居抜きの判断基準も確認し、貸主側の募集条件と借主側の費用を分けてください。
個別事例と仮定の試算を混ぜると、「自店も350万円で売れる」「必ず500万円以上得をする」という誤解が生まれます。
自店の閉店資金表を作る方法
最初に、閉店方法にかかわらず発生する項目を洗い出します。
入ってくる可能性があるお金
- 保証金・敷金の返還見込
- 造作・設備の売却代金
- 在庫や車両等の売却代金
- 売掛金の回収
出ていく可能性があるお金
- 解約予告中の賃料・共益費
- 保証金償却
- 原状回復・解体・看板撤去
- 廃棄物、在庫、リース解約
- 給与、退職、税金、専門家費用
A案としてスケルトン返し、B案として居抜き売却を作り、月ごとの確定時期も入れます。
居抜き売却案には、買い手が決まらなかった場合の確率を掛けるのではなく、不成立時の切替日と工事案を別に置きます。
解約通知後に残り期間が短いと、買い手募集、審査、契約、工事切替を同時に進めることになります。
閉店を迷っている段階から試算し、貸主相談と査定を始める日を決めてください。
条件が1つ崩れた場合の感度分析を行う
570万円差は、3つの条件がすべて成立する最大ケースです。私は、造作価格、家賃負担、解体費が変わった場合を別々に試算することを勧めます。
| ケース | 造作代金 | 回避家賃 | 回避解体費 | スケルトン返しとの差 |
|---|---|---|---|---|
| 基本仮定 | 350万円 | 120万円 | 100万円 | 570万円 |
| 造作が200万円 | 200万円 | 120万円 | 100万円 | 420万円 |
| 家賃60万円が残る | 350万円 | 60万円 | 100万円 | 510万円 |
| 解体50万円のみ回避 | 350万円 | 120万円 | 50万円 | 520万円 |
| 造作200万円・家賃60万円残る | 200万円 | 60万円 | 100万円 | 360万円 |
表の差額は、基本仮定から各項目だけを変えた説明用の計算です。税金、仲介費、承諾条件、設備修理などは含めていません。
さらに、買い手を待つ1か月ごとに家賃と維持費が増えます。希望価格を維持するために3か月待ち、追加費用が価格差を上回れば意味がありません。
最高額の1案ではなく、成立しやすい価格と待てる期限を組み合わせて最終手取りを比較します。
閉店費用で見落としやすい12項目
解体費と家賃だけで見積もると、最後の精算で不足が出ます。私は、次の項目を契約・見積・請求予定へ分けます。
- 解約予告中の賃料・共益費
- 保証金・敷金の償却
- 原状回復・解体・養生
- 看板、サイン、外部ダクトの撤去
- 産業廃棄物、在庫、残置物処分
- 指定業者、工事管理、夜間工事
- リース・レンタルの解約や買取
- 電気、ガス、水道、通信の精算
- 給与、退職、社会保険
- 回数券、予約金、顧客返金
- 仲介、契約、専門家費用
- 売却・廃棄・閉店に伴う税務
各項目へ、見積、概算、未確認の区分を付けます。未確認を0円として合計しません。
月別キャッシュフローで入金と支出のずれを見る
造作代金350万円の契約ができても、入金が引渡し日なら、それまでの家賃と給与を払う現金が必要です。
保証金返還も、明け渡しと精算後になることがあります。
| 月 | 主な入金 | 主な支出 |
|---|---|---|
| 閉店決定月 | 営業売上 | 仕入れ、給与、家賃 |
| 募集月 | 営業売上 | 家賃、査定、修理 |
| 契約月 | 手付等があれば記載 | 契約費、残務、家賃 |
| 引渡し月 | 造作代金 | 精算、撤去、給与 |
| 明渡し後 | 保証金返還見込 | 税金、未払、返金 |
最終手取りがプラスでも、途中で現金が不足すれば工程は止まります。
資金繰り表には入金日を保守的に置き、未確定入金へ頼らない予備資金を確保します。
原状回復見積は同じ条件で比較する
工事会社ごとに見積範囲が違うと、最安値を正しく選べません。貸主・管理会社へ返還仕様を確認し、同じ明細で複数社へ依頼します。
| 見積項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 解体範囲 | 床、壁、天井、間仕切り、厨房 |
| 設備撤去 | ガス、給排水、空調、ダクト |
| 外部 | 看板、室外機、外部配管 |
| 搬出 | 階段、エレベーター、道路使用 |
| 廃棄 | 種類、数量、処分証明 |
| 復旧 | 電気、配管、補修、清掃 |
| 諸経費 | 養生、管理、夜間、申請 |
見積に「一式」が多い場合は、追加費用になる条件を質問します。
最安見積でも、工期が明け渡しに間に合わなければ遅延賃料等のリスクが増えます。
保証金返還と税務を手残りへ反映する
保証金は、償却、未払、原状回復精算を経て返還額が決まる場合があります。返還日も契約終了と同日とは限りません。
造作売却には消費税や帳簿上の損益が関係することがあります。個別の課税関係は税理士へ確認します。
税引前の受取額と、実際に次の事業へ使える手残りを分けてください。
金融機関の担保やリース会社の所有権がある設備は、売却前に契約を確認します。
閉店資金表は3つの時点で更新する
最初の試算を作って終わりにすると、買主候補の条件や工事見積が変わったときに資金不足を見落とします。
私は、閉店方針を決めた日、買主候補の条件が出た日、貸主との返還条件が固まった日の3回は、同じ様式で資金表を更新します。
1回目は契約書と概算を使い、居抜き売却とスケルトン返しの両案を残します。2回目は造作価格、引渡し日、修理負担、入金日を候補者の提示条件へ置き換えます。
3回目は貸主承諾、次の賃貸借開始日、保証金精算、原状回復の残存範囲を反映し、確定していない項目には支払側へ余裕を持たせます。
比較するのは造作の提示価格ではなく、閉店完了までの総支出と入金時期を反映した最終手取りです。
高い提示額でも、引渡しが遅れて家賃が増える、修理負担が売主に残る、入金が明け渡し後になるなら、低い提示額より手残りが減ることがあります。
よくある質問
最後に、試算外費用、造作代金の決済、買い手辞退、指定業者、資金不足という5つの費用疑問へ答えます。
Q570万円差の試算に、仲介手数料や契約費用は含まれていますか?
含まれていません。記事の570万円は、造作代金、解体回避額、解約予告中の賃料を置いた比較であり、仲介、契約、専門家、運搬などの費用は別です。
実際の手残り表では、各事業者の見積と支払日を追加し、税込・税別もそろえてください。
Q造作譲渡代金は、いつ受け取る契約にしますか?
入居審査、貸主承諾、新しい賃貸借、引渡しの成立条件に合わせて支払時点を定めます。造作だけ引き渡したのに賃貸借が成立しない状態を避けてください。
手付金を設ける場合も、解除条件、返還条件、残代金日、鍵と設備の引渡し日を契約書でそろえます。
Q買い手が明渡し直前に辞退した場合、何を準備しておきますか?
原状回復の見積、発注期限、工期、貸主確認日をあらかじめ確保します。買い手候補がいても、不成立時の工事日程を消さないことが重要です。
契約前の候補と契約済みの買い手を分け、契約済みの場合は解除・違約・費用負担を契約書に沿って確認してください。
Q貸主指定業者しか使えない場合、原状回復費をどう検証しますか?
指定理由と工事範囲を確認し、数量、単価、廃棄、諸経費の内訳を求めます。他社施工ができなくても、同じ仕様の参考見積は比較材料になります。
工事範囲や費用負担に疑問がある場合は、契約書、特約、入居時資料をそろえ、貸主・管理会社や専門家へ確認してください。
Q閉店費用が足りないと分かったら、どこへ先に相談しますか?
まず支払日別の不足額を出し、貸主・管理会社、金融機関、税理士へ早めに相談します。返済不能や法的整理の可能性がある場合は、延滞や無断退去の前に弁護士へ相談してください。
造作売却代金や保証金返還を未確定入金として分け、入金がなくても必要な給与、税金、家賃、工事費を確認します。
まとめ:閉店費用は「返還・売却・回避支出」を分けて比べる
今回の仮定では、スケルトン返しは100万円の持ち出し、居抜き売却は470万円の受取でした。計算上の差は約570万円です。
この差は、造作350万円で売れる、解体費100万円を回避できる、予告期間中賃料120万円を減らせるという前提で成り立ちます。
自店の判断では、保証金返還・造作代金・回避支出を分け、契約で確定した数字へ置き換えてください。
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