\ 動画で見たい方はこちら /

こんにちは、テナントの窓口のくっつーです。

居抜き店舗は、内装が豪華なら高く売れるわけではありません。次の出店者が工事を減らせて、貸主から借りられる条件がそろって初めて価値になります。

特に、重飲食に必要な設備、使いやすい面積と形、引継ぎ後の賃料、営業実績は、買い手の判断を左右します。

造作の価値は「売主がいくらかけたか」ではなく、「買主が開業費と時間をどれだけ減らせるか」で考えることが重要です。

この記事では、高く売れやすい4条件と、閉店前に価値を落とさない管理方法を解説します。

この記事でわかること
  • 居抜きで評価されやすい4つの条件
  • 重飲食設備が希少になる理由
  • 10〜20坪程度の店舗が使いやすいとされる背景
  • 現在の賃料と次の契約条件を分ける必要性
  • SNS・売上データを査定資料へ使う方法
この記事がおすすめな人
  • 飲食店を居抜きで売却したい経営者
  • ダクトや厨房設備に価値があるか知りたい方
  • 自店の造作譲渡価格を上げる準備をしたい方
  • 解約前に店舗査定の材料を整理したい方

高く売れやすい店舗には「次の人が使える根拠」がある

居抜き売却の買い手は、内装の取得と同時に、その場所で事業を始められるかを見ます。

造作を買えても、貸主の入居審査に通らない、希望業態が認められない、設備容量が不足する場合は開業できません。

高く売れやすい条件は、造作の状態だけでなく、物件と営業実績を含む次の4つです。

条件買い手が感じる価値確認すべきこと
重飲食設備高額工事を減らせるダクト、グリストラップ、ガス等
面積・形レイアウトを作りやすい坪数、間口、柱、動線
賃料条件開業後の固定費を読める次契約の賃料、保証、用途
営業実績商圏と集客の根拠になる売上、客層、口コミ、SNS

条件1.重飲食に必要な設備が使える状態で残っている

油や煙を多く扱う居酒屋、焼肉店、ラーメン店などは、重飲食と呼ばれることがあります。明確な法律上の一律定義ではなく、貸主や不動産会社が建物負荷を説明する実務上の区分です。

重飲食では、排気ダクト、グリストラップ、給排水、ガス・電気容量などの設備が必要です。新設には費用と工期がかかり、建物によっては設置できません。

そのため、必要設備が適切に設置され、次の業態でも使える店舗は希少性があります。

くっつー:重飲食の店舗が高く売れやすいのは、なぜですか?

佐々木:ダクトやグリストラップなど、新たに作ると費用がかかる設備が整っているからです

ただし、「設備がある」と「使用できる」は別です。油で詰まったダクト、容量不足の給排水、故障した冷蔵庫では、買主の修理費が増えます。

設備ごとに次を確認します。

  • 所有者が現借主か、貸主か、リース会社か
  • 型番、年式、能力、メンテナンス履歴
  • 正常に動作するか、不具合があるか
  • 法令、消防、保健所、建物ルールに適合するか
  • 次の業態に必要な容量を満たすか
重飲食可は次の入居者にも自動承継されない

現店舗がラーメン店でも、次の焼肉店が同じ条件で認められるとは限りません。

業態、臭気、営業時間、排気経路などを貸主へ説明し、次の入居者が必要な確認と審査を受けます。

条件2.10〜20坪程度で、柱や凹凸が少なく使いやすい

10〜20坪程度の店舗は、多くの出店者に検討されやすいという実務感があります。これは絶対的な相場ではなく、小規模飲食・物販・サービスが使いやすい一例です。

大きすぎる店舗は家賃と工事費が増え、買い手候補が限られます。小さすぎる店舗は厨房、客席、バックヤードを確保できない場合があります。

同じ15坪でも、間口が狭い、奥が極端に細い、中央に柱がある、L字型などではレイアウトの自由度が下がります。

くっつー:坪数以外に、使いやすさを左右するものは何ですか?

佐々木:長方形や正方形に近く、柱やいびつな形が少ないほうが使いやすいです

売却資料には、専有面積だけでなく寸法入り平面図を付けます。厨房、客席、トイレ、倉庫、入口、排気経路を示すと、買主が改装を検討しやすくなります。

条件3.次の入居者が借りる賃料条件に競争力がある

長期間入居している店舗では、現在の賃料が周辺相場より低いことがあります。その条件を次の入居者も引き継げるなら、造作へ予算を回しやすくなります。

しかし、借主が変わるタイミングで貸主が賃料を見直すこともあります。現借主の賃料を、そのまま売却資料へ確定条件として書いてはいけません。

くっつー:長く借りて賃料が安い店は、その条件も価値になりますか?

佐々木:次の契約でも同じ条件になるか貸主との協議が必要ですが、賃料が低ければ買い手は投資しやすくなります

次の契約で確認する主な項目は次のとおりです。

項目現契約と分けて確認する理由
賃料・共益費新規募集時に変更される可能性
保証金・償却初期費用と返還額に影響
契約期間・更新投資回収期間に影響
用途・営業時間希望業態が営業できるか
原状回復将来の撤退費用に影響

賃料が上がる場合でも、立地や設備に見合えば買い手がつくことはあります。大切なのは、未確定の安い条件で買い手を誘わないことです。

造作査定と賃貸条件は同時に更新する

造作価格だけを決めても、次の賃料が想定より高ければ買い手の総投資額は変わります。

貸主・管理会社へ募集条件を確認し、買い手へ総額を説明できる状態にします。

条件4.売上・常連・SNSなど営業実績を説明できる

店舗に固定客がいる、SNSフォロワーが多い、口コミ評価が高いといった情報は、商圏に需要がある根拠の一つになります。

ただし、造作譲渡だけで顧客やアカウントが自動的に買主へ移るわけではありません。個人情報、アカウント権利、店名、ブランドの扱いを分けます。

フォロワー数や常連客の存在は、物件への需要を示す参考情報として開示できます。

くっつー:営業実績は買い手へ開示したほうがよいですか?

佐々木:プラスになる売上やSNSの数字があれば、店舗の可能性を示す材料として出したほうがよいです

開示するなら、良い月だけを切り取って恒常売上のように見せないでください。対象期間、季節要因、休業、営業時間を添えます。

資料例は次のとおりです。

  • 直近12〜24か月の月別売上
  • 曜日・時間帯別の客数と客単価
  • 主力商品と注文構成
  • SNSフォロワーと投稿反応
  • Google等の口コミ件数と傾向
  • 常連比率、商圏、近隣需要

売却前の清掃とメンテナンスが価格を守る

重飲食店は、油汚れや臭いが蓄積しやすい業態です。設備が揃っていても、床が滑る、ダクトから油が垂れる状態では、買主は修理・清掃・事故リスクを見込みます。

閉店を決めてから一度だけ清掃するより、日常メンテナンス履歴を残すほうが信頼されます。

ダクト清掃、グリストラップ清掃、空調、冷蔵庫、給排水の点検記録を揃えます。故障を隠さず、修理済み・要修理を分けます。

貸主が居抜き募集を選ぶ判断は、店舗閉店後のスケルトン・居抜き比較も参考にし、借主側の希望だけで決めないでください。

居抜き物件の失敗例では、設備が残っていても修理や改装が必要になるリスクを確認できます。買主が負担する追加費用を先に示すことが、後のトラブル防止になります。

自店の価値を査定する7ステップ

査定は設備の見た目だけでなく、契約、貸主意向、賃貸条件、買い手の改修費まで順に確認します。次の7段階で整理します。

  1. 賃貸借契約と解約期限を確認する
  2. 貸主へ居抜き募集の可否を相談する
  3. 造作・設備の所有者と不具合を一覧化する
  4. 寸法入り図面と写真を作る
  5. 次契約の賃料・用途・保証条件を確認する
  6. 営業実績を期間付きで整理する
  7. 買い手が負担する改修費を見込んで価格を決める

造作価格は、売主の投資額から機械的に減価するだけでは決まりません。代替工事費、残存価値と設備状態、需要、期限、賃貸条件を総合して判断します。

「高く売る」と「成立させる」を両立する

希望価格を上げすぎて買い手が決まらず、解約期限直前に無償譲渡や撤去へ変われば、最終手取りは下がります。

募集期限と原状回復への切替日を決め、価格、成立確率、保有中の家賃を一緒に比較してください。

造作・設備の価値台帳を作り、買い手の改修費まで見せる

査定時に「厨房一式」とだけ書くと、何が使えるか判断できません。私は、設備ごとの価値台帳を作ることを勧めます。

項目記録する内容
名称冷蔵庫、フライヤー、ダクト等
所有借主、貸主、リース、貸与
仕様メーカー、型番、能力、寸法
状態動作、故障、修理歴、清掃日
撤去残置可否、搬出経路、費用
買主価値新設費、短縮工期、必要改修

たとえば大型冷蔵庫が正常でも、入口から搬出できず、次のレイアウトで不要なら価値は下がります。

反対に、建物を貫通するダクトやグリストラップは、新設できる経路が限られるため、状態が良ければ重要な価値になります。

買主が使わない設備は、売却対象から外すか、撤去費を価格へ反映します。

設備単体の中古価格ではなく、「その物件で開業する総費用をいくら減らすか」で説明してください。

買い手の総開業費から造作価格の上限を逆算する

買い手は、造作代金だけでなく、保証金、仲介費、前家賃、改修、許認可、運転資金を用意します。

たとえば総予算1,500万円で、賃貸初期費用400万円、改修300万円、運転資金500万円が必要なら、造作へ使える上限は300万円です。

資金用途仮定額
賃貸初期費用400万円
改修・修理300万円
運転資金500万円
造作取得300万円
合計1,500万円

設備状態が良く改修費を100万円減らせれば、その一部を造作価格へ回せる可能性があります。

反対に、次の業態で大規模な排気工事が必要なら、買い手の造作予算は下がります。

この計算例は価格保証ではありません。買い手の資金計画を理解するための考え方です。

売却資料を買い手の確認順に並べる

資料は設備写真から始めず、次の順にします。

  1. 所在、面積、現在業態、希望引渡し時期
  2. 次契約の賃料・保証・用途の確認状況
  3. 図面、間口、席数、厨房・排気・給排水
  4. 造作・設備の価値台帳
  5. 修理・清掃・不具合の記録
  6. 売上・客数・商圏の参考情報
  7. 希望価格と含まれる対象物
  8. 貸主承諾・入居審査が必要なこと

物件を借りられる見込み、使える設備、必要な追加費用の順に示すと、買い手が総投資を判断しやすくなります。

写真と動画で設備状態を再現できるようにする

内見できる時間が限られる買い手には、写真だけでなく短い動作動画も役立ちます。

全景、厨房、客席、入口、バックヤードを同じ方向から撮り、図面上の位置と対応させます。

冷蔵庫の温度表示、製氷、給湯、換気、照明などは、撮影日が分かる形で動作を記録します。

ただし、動画は専門点検の代わりではありません。異音、漏れ、温度不良があれば、現状を記載します。

写真を加工して汚れや傷を消すと、内見時の信頼を失います。明るさ調整にとどめ、実物と異なる印象を作りません。

買い手が現地で再確認できる資料にし、資料だけで設備保証をした扱いにならないよう契約条件も揃えます。

よくある質問

最後に、排気能力の証明、賃料未定時の価格、SNS、リース品、古い厨房機器という5つの査定疑問へ答えます。

Q
排気設備の能力を買い手へどう証明しますか?

A

型番、仕様書、ダクト径と経路、清掃・点検記録、稼働時の写真や動画をそろえます。設備があるという説明だけでは、次業態に必要な能力を証明できません。

買い手の調理内容と必要換気量を確認し、改修が必要な場合は専門業者の確認結果や見積も提示してください。

Q
次の賃料が未定のまま、造作価格を提示してよいですか?

A

参考価格は提示できますが、買い手の総負担が決まらないため、確定価格として扱わない方が安全です。新しい賃料や保証条件は貸主が判断します。

賃料未定、貸主承諾前という前提を明記し、賃貸条件の提示後に造作価格を再確認する手順を候補者と共有してください。

Q
SNSアカウントも造作と一緒に売れますか?

A

造作とは別の権利・契約です。プラットフォーム規約、個人情報、ブランド、対価を確認し、勝手に引き継がないでください。

Q
リース品や貸与品も造作譲渡の対象にできますか?

A

所有者が売主ではないため、契約先や所有者の承諾なく譲渡対象へ入れられません。厨房機器、看板、POS、通信機器を所有・リース・貸与に分けます。

買い手へ渡す価値台帳には所有者、契約番号、残債、返却条件を記載し、譲渡契約から除外する品も明示してください。

Q
古い厨房機器は、修理してから売った方が高くなりますか?

A

修理費がそのまま売却価格へ上乗せされるとは限りません。買い手が使う設備か、交換予定か、残りの募集期間があるかで判断します。

動作確認日、故障履歴、修理見積を開示し、修理する案と現状渡しの案を比べてください。

まとめ:設備、使いやすさ、賃料、実績を買い手目線で揃える

高く売れやすい居抜き店舗には、重飲食設備、使いやすい面積と形、競争力のある賃料条件、説明できる営業実績があります。

ただし、現借主が使えていることと、次の入居者が同じ条件で使えることは別です。

貸主承諾と次契約の条件を確認し、買い手が開業費と時間を減らせる根拠を資料で示してください。

自店の造作価値と価格の考え方を整理したい方には、公式LINEでお渡ししている「居抜き売却で損しないための完全ガイド|造作譲渡料のすべて」が最も役立ちます。

対象物と契約条件の整理には「造作譲渡契約書|雛形」、用語の確認には「造作譲渡・居抜き 基礎用語50選」も使えます。

このほか「閉店チェックリスト|完全版」「黒字経営の教科書|飲食店 赤字10の原因」を含め、全部で5つの特典を無料でお渡ししています。

自店の設備が次の出店者にとってどれだけ価値を持つか確認したい方は、記事下の公式LINEからご相談ください。