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こんにちは、テナントの窓口のくっつーです。

飲食店の赤字が続くと、広告が足りない、商品が悪いと考えがちです。しかし、立地と固定費の設計が合っていなければ、販促を増やしても利益は残りません。

今回は、横浜でラーメン店を約2年半経営した佐々木さんに、赤字となった原因を振り返ってもらいました。

出店場所、固定費、FLコスト、コンセプト、販促の5項目を数字で点検することが、赤字の原因を特定する近道です。

この記事を読むと、出店前に戻せない判断と、営業中でも変えられる判断を分けて見直せます。

この記事でわかること
  • 飲食店が赤字になる5つの構造的な原因
  • 駅からの距離だけでは決まらない立地の見方
  • 家賃・人件費・光熱費を売上へ換算する方法
  • FLコストを粗利と固定費へつなげる考え方
  • コンセプトと販促を検証する順番
この記事がおすすめな人
  • 飲食店の赤字原因を特定したい経営者
  • 出店候補の家賃が妥当か判断したい方
  • 原価と人件費を見ているのに利益が残らない方
  • 集客施策を増やす前に経営構造を見直したい方

赤字の原因は「戻せない判断」と「変えられる運営」に分ける

飲食店経営では、契約後に簡単には変えられないものがあります。立地、面積、家賃、厨房の容量、契約期間などです。

一方、商品構成、シフト、仕入れ、販促、営業時間は、営業を続けながら改善できます。

最初にこの2つを分けないと、変えられない立地の弱さを広告費で埋め続けたり、変えられる原価を放置して移転だけを考えたりします。

区分主な項目判断のタイミング
戻しにくい立地、面積、家賃、契約、設備容量出店前・更新前
変えられるメニュー、価格、仕入れ、シフト、販促毎週・毎月
条件付きで変える営業時間、業態、店長、移転資金と契約を見て判断

佐々木さんの店舗で起きたこと

今回の5つの原因は、佐々木さんが横浜で約2年半経営したラーメン店の実体験から整理しています。

項目実体験として確認できること
営業期間横浜でラーメン店を約2年半経営
立地横浜市営地下鉄の吉野町駅と阪東橋駅の中間付近
店舗条件約10坪、月額家賃は税込10万円未満だったという記憶
費用ガス代について月10万〜15万円ほどだったという記憶。光熱費の内訳は未確定
損益分岐1日約4万円だったという記憶。本人も正確でない可能性を明言
コンセプト家系ラーメンが多い横浜で、豚骨ラーメンを選択
外部環境外国人需要と英語対応の券売機を準備したが、コロナ禍で想定した需要を取り込めなかった

原因1.家賃の安さを優先し、来店動線を読み違える

佐々木さんのラーメン店は、横浜市営地下鉄の吉野町駅と阪東橋駅の中間付近にありました。

佐々木さんの記憶では、店舗は約10坪で、月額家賃は税込10万円未満でした。近隣に競合ラーメン店も少なかったため、出店時には可能性を感じました。

しかし、競合がいないことは、必ずしも需要があることを意味しません。人が歩かない、目的来店が必要、商圏に求める商品がないという可能性もあります。

くっつー:競合が少なく家賃も安い場所を選んだ判断を、今はどう見ていますか?

佐々木:自分としては良い場所だと思っていましたが、結果を見ると選択を誤ったのかもしれません

立地調査では、駅距離や通行量の総数だけでなく、誰が何時にどちらへ歩くかを見ます。

平日昼、平日夜、休日で現地を観察し、視認性、道路の横断、駐輪、競合の入店数、周辺勤務者・住民の構成を記録します。

店舗は駅に近ければ必ず成立するわけでもありません。道路からの入り方や周辺店舗の利用状況も、来店動線を考える材料です。

「競合がいない」を需要の証明にしない

競合ゼロには、未開拓市場と需要不足の両方があります。

候補地では、似た価格帯の商品を誰がどこで買っているかまで確認し、自店だけの通行量調査で終わらせないでください。

原因2.固定費を月額ではなく必要客数へ換算していない

家賃が安くても、人件費と光熱費が重ければ固定的な支出は膨らみます。

人件費や光熱費には、最低限の営業体制として固定的に発生する部分と、営業時間・客数・設備稼働に応じて変動する部分があります。

「FL」は費目による分け方、「固定費・変動費」は売上に対する動き方の分け方です。同じ人件費を二重に加算しないようにしてください。

佐々木さんは、当時のガス代について月10万〜15万円ほどだったと記憶しています。光熱費全体の内訳までは確定していないため、この金額は概算として扱います。

人件費も周辺相場に合わせなければ応募が集まりません。最低賃金だけで予算を組んでも、実際に採用できる時給との差によって人件費は膨らみます。

佐々木さんは、当時の損益分岐売上を1日約4万円と記憶しています。月30日なら約120万円ですが、本人も記憶上の数字であり正確でない可能性を断っています。

大切なのは、月額固定費を見て「払えそう」と判断せず、必要客数へ換算することです。

たとえば、客単価1,000円でも1杯すべてが利益ではありません。原材料費、人件費、決済手数料などを差し引いた1客あたり限界利益から、必要客数を計算します。

くっつー:固定費を賄うために、当時は1日いくら売る必要があると見ていましたか?

佐々木:記憶では、1日4万円ほどが損益分岐だったと思います

原因3.FLコストの目安を実績へ落とし込めていない

FLコストは、Foodの原材料費とLaborの人件費を合計したものです。飲食店の収益構造を把握する代表的な指標ですが、業態や運営形態で適正値は変わります。

ここでは、原価30%、人件費30%でFL比率60%、最終利益10%程度を目指す考え方を一つの目安として扱います。

これは個別店舗の保証値ではありません。家賃や光熱費など残る経費の内訳と比率も業態によって異なります。

日本政策金融公庫も、決算データをもとに業種別の小企業の経営指標調査を公開しています。自店はラーメン、居酒屋、カフェなど業態が近い指標と比べます。

FL比率だけを下げようとしても、量を減らして顧客満足が落ちたり、人員を削って回転率が落ちたりすれば逆効果です。

見る順番は次のとおりです。

  1. 商品別の売価と原材料費を出す
  2. 時間帯別の売上と実働人件費を出す
  3. 廃棄、値引き、まかないを含める
  4. FLコスト後の粗利で家賃・光熱費等を払えるか確認する
  5. 借入元金や税金を含む資金繰りも別に確認する
FL比率だけで合否を決めない

比率が同じでも、売上規模が小さければ固定費を賄えません。反対に、高原価の商品が集客を担い、追加注文で全体粗利が増える場合もあります。

商品別と店舗全体の両方で、最終的にいくら現金が残るかを確認します。

原因4.コンセプトが商圏と外部環境に合っていない

佐々木さんは、家系ラーメンが多い横浜で、あえて異なる豚骨ラーメンを出しました。固定客はついたものの、結果として赤字が残りました。

当初は外国人観光客の需要も想定し、英語対応の券売機などを準備していました。しかし、開業時期がコロナ禍と重なり、インバウンド需要を取り込めませんでした。

コンセプトの失敗を、商品が悪かったと単純化はできません。商圏、来店目的、価格、外部環境の組み合わせで検証します。

くっつー:横浜で家系ではない豚骨ラーメンを選んだ戦略は、どう振り返りますか?

佐々木:固定のお客様はいましたが、結果としては市場とのずれがあったのかもしれません

コンセプト検証では「好きな人がいるか」だけでなく、必要客数を継続して集められるかを見ます。

毎日来る少数の常連だけで損益分岐を超えられないなら、周辺勤務者、家族、観光客など別の需要をどう取るかが必要です。

原因5.販促の目的と測定期間が曖昧なまま続ける

佐々木さんの店では、Instagramで季節商品などを発信しました。しかし、どの施策が売上へ効いたか、明確な手応えは得られませんでした。

コロナ禍で人流自体が少ない時期だったため、投稿内容だけを原因にすることもできません。

販促は、フォロワー数を増やす施策、初回来店を増やす施策、再来店を増やす施策を分けます。

SNS、地図検索、グルメサイト、店頭看板では役割が異なります。1つの投稿へすべてを期待しないことが重要です。

施策ごとに、対象、訴求商品、来店期限、計測方法を固定します。会計時の簡単な質問、クーポンコード、予約経路など、店舗で続けられる方法を選びます。

5原因を月次経営会議へ落とし込む

赤字原因は、月次の報告書で終わらせず、次の行動へつなげます。

論点月次で確認するもの次月の決定
立地時間帯別来店、商圏、視認性営業時間、看板、移転検討
支出構造家賃、人件費、光熱費シフト、契約、設備運用
FL商品別原価、実働人件費価格、仕入れ、商品構成
コンセプト新規・再来店、商品別注文ターゲット、主力商品
販促経路別来店、獲得費継続・停止・予算変更

数値が悪い項目をすべて同時に変えると、何が効いたか分からなくなります。資金への影響が大きい順に、仮説と期限を決めて試します。

出店後でも「撤退条件」は決められる

立地や契約をすぐ変えられなくても、赤字を耐える上限は決められます。

手元資金、改善後の必要売上、店長確保、契約更新を並べ、条件に届かなければ移転・譲渡・閉店を比較してください。

損益分岐売上を「必要客数」と「必要席回転」へ直す

月の損益分岐売上だけでは、現場が何を変えるべきか分かりません。私は、必要売上を営業日、客単価、席数へ分解することを勧めます。

たとえば、月120万円の売上が必要で、月25日営業なら1日4万8,000円です。客単価1,200円なら1日40人の来店が必要です。

20席なら、単純計算で1日2回転です。ただし、昼と夜の席稼働、テイクアウト、休席、滞在時間を加えると必要な現場行動が見えます。

項目仮定計算結果
月間必要売上120万円120万円
営業日25日1日4.8万円
客単価1,200円1日40人
席数20席1日2回転

この数字が商圏の通行量、営業時間、提供能力で実現できるかを確認します。

必要客数が物理的に無理なら、販促量を増やす前に、価格・商品・営業時間・固定費・立地のどこを変えるか判断します。

なお、ここでの金額は計算例です。自店では商品別粗利から必要売上を出してください。

出店前の立地調査を3日・3時間帯で行う

立地は契約後に変えにくいため、候補物件を1回見ただけで決めません。私は、平日、休日、天候が悪い日の3日をひとつの基準として調査することを勧めます。

時間帯は、開店前、主力となるピーク、閉店前を見ます。通行人数だけでなく、歩行方向、滞在、周辺店への入店を記録します。

観察項目確認すること
人流年齢、単独・家族、勤務者・住民、移動方向
視認性何メートル手前から看板が見えるか
到達性横断歩道、駐車・駐輪、段差、入口
競合客数、価格、待ち、回転、閉店時間
周辺需要住宅、事務所、学校、病院、宿泊
制約臭気、騒音、看板、営業時間、搬入

候補地で想定する1日40人が、どの時間帯から来るのかを仮説にします。

通行量が多くても、自店の価格帯や商品と合わない人ばかりなら必要客数へ届きません。

競合店がない理由を2通りで検証する

未開拓市場かを確かめるには、似た需要が別業態へ流れている手掛かりを探します。

需要不足が疑われる場合は、近隣の昼夜人口や既存店の撤退履歴に手掛かりがないか確認します。

不動産会社、近隣事業者、現地観察の3方向から確認し、一つの説明だけで決めません。

FLコスト改善は「削る」前に商品と時間帯を分ける

原価が高い商品を削ると、来店理由まで失うことがあります。人件費を削ると、提供が遅れて回転率が下がることもあります。

そこで、商品別粗利と時間帯別人時粗利を組み合わせます。

  1. 粗利が高く、提供も早い商品は伸ばす
  2. 粗利は低いが集客する商品は追加注文と組み合わせる
  3. 粗利が低く手間も多い商品は価格・量・継続を見直す
  4. 売上の少ない時間帯は営業時間と仕込み配置を見直す

FL比率を一律に下げるのではなく、顧客価値を残して1時間あたりの粗利を増やします。

改善前後で、客数、客単価、提供時間、廃棄、クレームを比較します。

改善期限を超えたら、移転・造作譲渡・閉店を分けて考える

改善期限までに必要売上へ届かない場合は、移転、造作譲渡、閉店を同じ手続きとして扱わず、契約と資金の両方から比較します。

造作譲渡を検討する場合も、内装・什器・設備の売買と、後継者の賃貸借契約や入居審査は別です。貸主・管理会社へ用途と承諾手順を確認します。

譲渡対象は、自己所有の内装造作、厨房機器、什器と、リース・貸与品、建物設備を分けて整理します。所有権がないものは、店舗にあっても自由に売却できません。

原状回復の範囲は、賃貸借契約、特約、入居時の状態などによって異なります。後継者の許認可も造作と自動的に承継されるわけではありません。

後継者の業態に必要な許認可と手続は、所管の保健所・消防・行政窓口へ確認します。

譲渡が成立しない場合に備え、解約予告期間、原状回復費用、退去期限も並行して確認してください。

よくある質問

最後に、家賃比率、シフト削減、移転、オーナー労働、分析期間という5つの判断疑問へ答えます。

Q
家賃比率は何%なら安全ですか?

A

業態、席数、営業時間、客単価で変わるため、一律の比率だけでは判断できません。家賃を払った後に、人件費・原材料費・光熱費・借入返済まで賄えるかを見ます。

Q
FL改善のためシフトを削る前に、サービス低下をどう検証しますか?

A

時間帯別の客数、提供時間、待ち時間、注文取消、清掃・衛生作業を確認します。人件費を削って売上や再来店が落ちた場合、FL比率だけでは改善を判断できません。

人件費額、FL比率、粗利額、提供時間、苦情を同じ期間で比較します。一部時間帯で試してから固定シフトへ反映してください。

Q
立地が赤字原因なら、すぐ移転すべきですか?

A

移転費、現店舗の閉店費用、新店舗の初期費用、休業期間を含めても回収できる根拠がある場合に検討します。

現在地で来店動線を改善できる余地と、新立地で需要を再現できる証拠を比べ、手元資金が両方を支えられるか確認してください。

Q
店長給与とオーナーの現場労働を、人件費へどう反映しますか?

A

実際に支払った給与だけでなく、オーナーが代替した勤務時間も別欄で記録します。無給の長時間労働で黒字に見える店舗は、第三者へ任せたときの採算が変わります。

店長を雇う場合の想定給与と法定福利費を試算し、現在の利益で責任者を置けるか確認してください。

Q
赤字原因を見極めるには、どの期間のデータが必要ですか?

A

まず曜日、時間帯、商品別を比較できる期間を確保し、急な資金悪化は週次で確認します。季節要因が大きい業態は、前年同月や天候、営業日数も並べます。

長期間のデータがそろうまで待つのではなく、資金が尽きる日を先に出し、その範囲で検証期間を決めてください。

まとめ:赤字原因は、変えられる順に数字で検証する

今回扱った立地、固定費、FLコスト、コンセプト、販促は、複数が重なると赤字を深刻化させる可能性があります。

佐々木さんの店は、安い家賃と競合の少なさに可能性を見いだしましたが、駅間の動線や外部環境が想定どおりに働きませんでした。

立地の問題を販促だけで埋めず、固定費とFLコストから必要客数を計算してください。

改善策に期限を置き、届かなければ次の選択肢を調べます。閉店を決める前でも、原状回復や居抜き譲渡の条件を確認することはできます。

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