\ 動画で見たい方はこちら /

こんにちは、テナントの窓口のくっつーです。

飲食店の赤字が続くと、集客施策を増やすことばかり考えがちです。しかし、売上だけを追っても、口コミ対応、低い客単価、人材の不安定さ、資金繰りが崩れていれば利益は残りません。

今回は、ラーメン店を経営した佐々木さんと、赤字の原因を実体験から掘り下げました。

この記事では、立地・固定費などの構造要因とは分けて、営業中に見直せる口コミ・接客、客単価、季節対応、人材、資金繰りの5課題を扱います。

赤字対策で最初に必要なのは、原因を一括りにせず、改善できる項目と期限を決めることです。読み終えると、続ける条件と撤退を検討する条件を整理できます。

この記事でわかること
  • 飲食店の赤字を立て直す5課題と改善順
  • 口コミへ反論する前に確認すべきこと
  • 客単価と回転率を分けて改善する考え方
  • 店長不在・人材不足が店舗品質へ及ぼす影響
  • 資金繰りから改善期限と撤退判断を決める方法
この記事がおすすめな人
  • 売上はあるのに利益が残らない飲食店経営者
  • 口コミや接客クレームへの対応に悩んでいる方
  • 店長が決まらず、経営者が現場を離れられない方
  • 赤字をどこまで耐えるべきか判断できない方

飲食店の赤字は、資金繰りから改善順を決めて立て直す

飲食店の赤字を立て直すときは、最初に資金繰りから改善に使える期限を決めます。その次に店長・責任者、客単価と回転率、口コミ・季節対応の順で検証します。

赤字は、売上が足りないという一言では説明できません。お客様の信用、単価、人員、資金の4つが連動し、少しずつ利益を削ります。

今回整理する5原因は次のとおりです。佐々木さんの経験事実と、そこから飲食店経営へ広げた一般的な判断基準を分けて説明します。

原因店内で起きること最初に見る数字・事実
口コミ・接客トラブル再来店と新規来店が減る口コミ内容、発生日、担当、再発有無
客単価と回転率売上が席数・営業時間の上限に届かない客数、客単価、時間帯別回転数
季節・社会変化への対応夏場の商品や店内対応が需要とずれる月別商品構成、天候、来店者の反応
店長・責任者の不在接客・調理・改善の責任が曖昧になる責任者の担当範囲、教育時間、欠員日数
資金繰りの把握不足改善を待つ間に現金が尽きる現預金、月次資金流出、借入返済

一般に、5つの課題は連動する可能性があります。ただし、すべてが佐々木さんの店で約2,000万円が残った直接原因だと断定できるものではありません。

そこで、問題を「現場」「商品」「人」「資金」に分解し、担当と改善期限を決めます。

原因1.口コミと接客トラブルを放置して信用を失う

佐々木さんの店には、事実と異なると感じる口コミが投稿されたことがありました。店内カメラを確認しても、口コミに書かれた状況が見当たらないケースです。

それでも、感情のまま反論はせず、店側として受け止める返信を選びました。

くっつー:実際には起きていないと思う口コミへ、どのように返信したんですか?

佐々木:反論せず、「ありがとうございます。気をつけます」という形で返していました

口コミ対応で大切なのは、すべて相手が正しいと認めることではありません。公開の場で何を確定でき、何を個別確認へ回すかを分けることです。

まず日時、注文内容、担当者、レジ、予約情報、店内記録を照合します。そのうえで、個人情報やスタッフを傷つける内容を公開返信へ書き込まず、来店者が読んでも冷静さが伝わる文章にします。

一方、本当に接客上の問題があった場合は、返信だけで終わらせてはいけません。忙しい時間帯の声掛け、提供遅れ、温度、騒音など、再現条件を特定します。

口コミ返信を「勝ち負け」にしない

事実と異なる投稿へ反論したくなるのは自然です。しかし、返信は投稿者だけでなく、これから来店する人も読みます。

事実確認、謝意、必要な改善、個別連絡先を短く整理し、スタッフへの共有と再発確認までを1セットにしてください。

原因2.客単価と回転率の限界を同時に見ていない

飲食店の売上は、基本的に客数と客単価の掛け算です。席数と営業時間に上限があるため、客数だけを増やす施策には限界があります。

ラーメン店は比較的回転が速い一方、価格にはお客様が感じる壁があります。原材料費が上がっても、販売価格へ同じ割合で転嫁できるとは限りません。

佐々木さんは、季節商品を投入して客単価を上げる施策を行いました。しかし、ラーメンという業態の中で取れる施策には限界も感じていました。

くっつー:客単価を上げるために、実際にどんな施策をしましたか?

佐々木:季節メニューを入れて単価を上げることはしましたが、できることには限界がありました

単価改善では、単純値上げだけでなく、セット率、追加注文率、商品別粗利、時間帯別注文を見ます。

高単価商品が売れても、仕込みや提供時間が増えて回転率を下げれば、店舗全体の利益は増えないことがあります。

逆に、安い商品を大量に売っても、席が埋まり、追加注文がなく、スタッフ負荷だけが上がる場合もあります。

単価施策は粗利と提供時間で評価する

新商品は「価格が高いか」だけでなく、1食あたり粗利、仕込み時間、提供時間、廃棄、既存商品の注文を奪っていないかで評価します。

客単価と回転率を別々に追い、最後に1席1時間あたりの粗利で比べると判断しやすくなります。

原因3.季節や社会変化に合わせた商品・店内対応が遅れる

暑い時期に熱い商品が中心の店では、夏場の来店理由を作る必要があります。冷たい商品を増やすだけでなく、季節ごとの需要と店舗の強みをどう結びつけるかが課題です。

コロナ禍では、パーテーションの有無など店内対応への感じ方も分かれました。安心感を重視する人がいる一方、窮屈さを感じる人もいます。

正解を一つに決めるより、何を理由に来店が減ったのかを観察することが重要です。

季節施策は、前年同月比だけでなく、天候、営業日数、近隣イベント、商品構成を並べて判断します。単月の売上だけで「施策が失敗した」と決めると、原因を誤ります。

施策を打つ前に、次の仮説を1枚にまとめてください。

  1. 誰の来店が減っているか
  2. 何が来店の障害になっているか
  3. どの商品・体験で戻せるか
  4. 何週間で何を見て継続判断するか

原因4.店長・責任者が不在で店舗改善の軸が定まらない

佐々木さんの店は、長期間にわたり店長が不在でした。仕組みを作り、パートスタッフで営業は回せていましたが、店のレベルを上げる責任者が不足していました。

パートスタッフは比較的長く勤めてくれた一方、入れ替わりがゼロだったわけではありません。採用して教え、辞めればまた最初から教育する負担が生じます。

くっつー:店長不在でも営業できた一方、何が足りなかったと感じますか?

佐々木:仕組みでパートさんだけでも回せましたが、それで店のレベルが十分だったかというと、低かったと思います

店長の仕事を「シフトに入る人」と捉えると、採用判断を誤ります。売上管理、仕入れ、衛生、接客改善、スタッフ面談、緊急対応まで担えるかを分けて確認します。

責任者候補へ全部を一度に渡すのではなく、権限と評価基準を段階的に渡すことも必要です。

また、特定の人に依存しすぎると、その人が退職した瞬間に店舗が止まります。日次・週次・月次の業務を分け、誰が代替できるかを一覧にします。

原因5.損益は見ていても資金が尽きる日を把握していない

赤字店舗で最も危険なのは、「赤字だと分かっているが、まだ戻せるかもしれない」と待ち続けることです。

佐々木さんは出ていくお金をおおむね把握していました。しかし、入ってくる売上を読めず、回復への期待を持ったまま営業を続けました。

佐々木さんは、赤字営業を続けた結果、閉店後に約2,000万円が残ったと説明しています。これは単月の赤字額ではなく、営業終了時点で残った金額です。

この対談だけでは、約2,000万円の内訳までは確認できません。

くっつー:赤字だと分かりながら、なぜ営業を続けたのでしょうか?

佐々木:常に赤字なのは分かっていましたが、何とか復活できるのではないかという期待がありました

損益計算書が赤字か黒字かだけでは、いつ支払いができなくなるかは分かりません。現預金、入金予定、支払予定、借入返済を週単位で並べます。

そのうえで「改善施策を試せる期限」と「閉店準備へ切り替える期限」を分けます。

前年から続くコスト上昇と価格転嫁の構造は、テナント倒産が増える理由も参考にし、自店の数字と一般動向を分けて確認してください。

判断日確認すること基準に届かない場合
毎週現預金と4週間先までの支払い不要支出停止、金融機関・専門家へ相談
毎月売上、粗利、人件費、固定費施策の停止・変更、営業時間見直し
改善期限改善後の粗利と資金流出撤退準備へ移行
解約判断前契約、原状回復、造作の可能性貸主相談と複数案の比較

赤字を立て直す90日計画と、撤退へ切り替える条件

ここからの90日計画は、佐々木さんが実施した方法ではありません。赤字改善を先延ばしにしないために、私が勧める実務上のたたき台です。

改善期間を無期限にすると、判断が先延ばしになります。90日を一例として、最初の30日で原因を測り、次の30日で施策を試し、最後の30日で継続可否を判断します。

ただし、手元資金が90日もたない場合は、この期間を短くします。借入で時間を買う場合も、何が改善すれば返済できるのかを先に決めます。

撤退へ切り替える条件は、感情ではなく数字と人員で置きます。

  • 必要粗利を連続して下回っている
  • 店長・調理責任者を確保できず、安全な営業を維持できない
  • 支払い後の現預金が最低運転資金を下回る
  • 追加投資をしても回収計画が作れない
  • 経営者の健康や他事業まで損なっている
改善と撤退準備は同時に始められる

改善を試している間に、賃貸借契約、解約予告、原状回復、設備所有、造作譲渡の可否を確認しても、閉店を決めたことにはなりません。

造作・設備の売買と、次の利用者が結ぶ賃貸借契約・入居審査は別の手続きです。後継者候補が見つかった段階で、貸主・管理会社へ用途や契約条件を相談します。

内装造作、自己所有設備、リース・貸与品、建物設備を分けて整理してください。原状回復の範囲は、契約書、特約、入居時の状態などで個別に異なります。

貸主の承諾や次の入居者の審査が得られない、または造作譲渡が成立しない場合に備え、契約に基づく解約予告と原状回復の費用・期限も並行して見積もります。

5原因を一度に直さず、資金への影響順に着手する

5つすべてに問題が見つかっても、同時に施策を始めると現場が混乱します。私は、資金への影響が大きく、短期間で検証できる順に並べることを勧めます。

最初に資金繰りを確認し、改善に使える期間を決めます。次に、欠員や接客事故など営業継続を脅かす人材問題を止めます。

その後、客単価と回転率を商品別に見直し、口コミ・季節施策を検証します。

優先論点期限の目安合否の証拠
1資金繰り毎週4〜13週先の支払可否
2人員・品質2〜4週間欠員、クレーム、教育進捗
3客単価・回転率4〜8週間粗利額、席効率、再来店
4口コミ・季節4〜12週間来店経路、月別商品反応

改善会議では、施策を続けたい理由ではなく、止める条件も確認します。

結果が出ていない施策へ追加費用を重ねず、次の判断日までに何を証明するかを1つに絞ります。

口コミ・接客トラブルを改善へ戻す5段階

口コミ返信だけを担当者へ任せても、店舗運営は改善しません。公開対応と社内改善を分け、同じ記録番号でつなぎます。

1.投稿内容を事実と感情に分ける

日時、商品、待ち時間、担当者など確認できる事実と、「感じが悪い」「落ち着かない」など感覚の評価を分けます。

感覚の評価も否定せず、店内温度、音量、声掛けなど再現できる条件を探します。

2.店内記録を確認する

POS、予約、シフト、提供時間、店内記録を確認します。該当客を特定できない場合は、推測でスタッフを責めません。

3.公開返信と個別対応を分ける

公開返信では、個人情報や詳しい反論を書かず、確認・改善の姿勢を短く示します。返金や事故確認が必要なら個別窓口へ移します。

4.改善担当と期限を決める

接客研修、メニュー表示、提供導線など、変える項目を一つにします。次の2週間で同じ問題が起きたかを確認します。

5.再発と売上への影響を見る

口コミ点数だけでなく、同じ指摘の件数、再来店、キャンセル、時間帯別売上を見ます。

「丁寧に返信した」で完了せず、現場の事実が変わったかまで確認してください。

13週資金繰りで改善を待てる最終日を決める

13週資金繰りも、佐々木さんが実施した方法ではなく、私からの実務提案です。

月次試算表が出るころには、次の支払いが迫っています。赤字店舗では、13週間先まで週単位で入出金を並べます。

入金給与・仕入れ家賃・返済等週末残高
1週目POS・売掛入金仕入れ、外注返済計算
2週目現金・決済入金給与光熱費計算
3週目予約・売掛入金仕入れ家賃計算
4週目以降確度別に記載支払日で記載税金等も記載計算

売上は楽観値ではなく、確定、標準、下振れで分けます。造作売却や融資など未確定の入金を、確定欄へ入れません。

週末残高が最低運転資金を下回る週を見つけたら、その日より前に改善判定と撤退準備を置きます。

私は、赤字額だけでなく、最悪ケースでも給与・家賃・退去準備を支払えるかを経営会議の合格基準にします。

よくある質問

最後に、値上げ後の数字をどう読むかという派生疑問へ答えます。

Q
値上げと客数減のどちらを優先して見るべきですか?

A

値上げ後の客数だけでなく、粗利額、注文構成、再来店、時間帯別の席効率を確認します。客数が少し減っても粗利が増え、店内負荷が下がる場合は改善です。

まとめ:赤字原因ごとに担当・数字・期限を決める

今回扱った5つの課題は、複数が重なると赤字を深刻化させる可能性があります。

佐々木さんは、店長不在でも仕組みで営業を続け、赤字を把握しながら回復への期待を持っていたと振り返っています。

改善するなら、何を・誰が・いつまでに変えるかを決め、資金が尽きる日より前に継続判断をしてください。

同時に、契約と退去条件を調べておけば、撤退へ切り替えたときの損失を抑える準備ができます。

赤字原因を自店の数字へ落とし込みたい方には、公式LINEでお渡ししている「黒字経営の教科書|飲食店 赤字10の原因」が最も役立ちます。

改善期限を決めた後、撤退準備には「閉店チェックリスト|完全版」、造作を残せる場合には「居抜き売却で損しないための完全ガイド|造作譲渡料のすべて」も使えます。

このほか「造作譲渡契約書|雛形」「造作譲渡・居抜き 基礎用語50選」を含め、全部で5つの特典を無料でお渡ししています。

赤字をどこまで改善し、どの時点で出口へ切り替えるべきか整理したい方は、記事下の公式LINEからご相談ください。