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こんにちは、テナントの窓口のくっつーです。

飲食店の赤字は、毎月の損失が突然大きく見えるとは限りません。協力金や借入で支払いを続けられる間に、最終的な負債が見えにくくなることがあります。

佐々木さんは2020年に横浜でラーメン店を開き、約2年半後に閉店しました。開業、造作取得、修繕、運営を経て、閉店後に残った負債は約2,000万円でした。

この記事で扱う2,000万円は閉店工事費ではなく、営業を終えて支払いを整理した後に残った借入等の負債です。

実体験をもとに、なぜ赤字の全体像が見えにくかったのか、どの数字を先に追うべきだったのかを整理します。

この記事でわかること
  • 約2,000万円の負債が残るまでの経緯
  • 月次赤字と閉店後の負債の違い
  • 時短協力金がある時期の収支の見方
  • 店長不在が撤退判断へ与えた影響
  • 負債が膨らむ前に作る資金管理表
この記事がおすすめな人
  • 飲食店の赤字がどこまで増えているか不安な方
  • 借入を使いながら営業を続けている経営者
  • 現場を店長へ任せ、数字だけを見ている方
  • 閉店後の返済がどうなるか知りたい方

閉店後に残った負債は約2,000万円だった

佐々木さんは2020年にラーメン店を開業し、約2年半営業しました。店はフランチャイズではなく、自身のブランドとして運営していました。

開業時には前の店舗から造作を取得し、修繕して営業を始めています。銀行など複数の金融機関から借入を行い、閉店後も返済する負債が残りました。

項目実体験で確認できたこと
開業2020年、横浜でラーメン店を開業
営業期間約2年半
運営店長・スタッフへ現場を任せる形
借入先日本政策金融公庫、信用金庫など合計3口
閉店2023年2月
閉店後の負債約2,000万円

負債2,000万円を「2年半の営業赤字だけ」と断定はできません。開業資金、造作取得、修繕、運営資金などが含まれた結果です。

また、閉店により借入が一括でなくなるわけではありません。契約どおり月々返済する債務が残ります。

くっつー:2,000万円の負債は、いつ全体像が分かったのですか?

佐々木:店を閉め、支払いを整理した最後の段階で、これだけ残ったと分かりました

なぜ「気づいたら2,000万円」になったのか

佐々木さんは、まったく赤字を知らなかったわけではありません。月々の収支が厳しいことは把握していました。

しかし、現場を店長へ任せ、回復を期待しながら営業を続ける中で、借入残高、口座残高、閉店時費用を一つの表で見ていませんでした。

「月に10万円、20万円の赤字」という感覚と、開業から閉店までに残る負債は別です。

たとえば月次損益が小幅赤字でも、借入元金の返済、設備投資、税金、保証金、閉店費用は損益計算書と現金の動きが一致しないことがあります。

毎月、次の4表をつなげる必要があります。

  1. 月次損益:売上から費用を引いた利益
  2. 資金繰り:実際の入出金と将来の支払予定
  3. 借入一覧:残高、月額返済、金利、完済日
  4. 撤退見積:解約予告賃料、原状回復、精算、売却可能資産
通帳残高だけでは負債の全体像は見えない

口座に現金があっても、翌月以降の家賃、給与、税金、借入返済が控えています。

反対に、損益が黒字でも借入元金や設備支払いで現金が減ることがあります。損益と資金繰りを別々に確認してください。

コロナ禍の協力金が「営業を続けられる状態」を作った

佐々木さんの開業時期は、コロナ禍と重なりました。時短営業の協力金が支給された期間は、店舗収支が一時的に支えられました。

家賃が低かったこともあり、協力金で家賃やスタッフ給与を払い、店舗を維持できた時期があります。

ただし、協力金がある時期の黒字と、通常営業だけで成立する収益力は分けて見る必要があります。

くっつー:協力金があった時期は、店舗自体の収支はどうでしたか?

佐々木:協力金を含めるとプラスの時期もあり、家賃やパートさんの給与を支払って営業を維持していました

制度収入が終了した後、通常売上で固定費を賄えなければ赤字へ戻ります。

補助金、協力金、一時的な大型売上がある月は、通常営業だけの損益を別列で作ります。

表示含めるもの判断できること
会計上の月次損益協力金等を含む収益・費用その月の会計利益
通常営業損益店舗売上と通常費用本業で固定費を賄えるか
資金繰り入出金時期、返済、税金支払いを続けられるか

協力金終了後に表面化した店長不在の問題

時短営業中は、店長を置かず、パートスタッフで店舗を回す時期がありました。営業を限定していたため、責任者採用を急がない判断もできました。

通常営業へ戻す段階で、店長を探し始めます。しかし、応募者がいても、店舗全体を任せられる人材を確保できませんでした。

佐々木さん自身は店へ常駐せず、不動産事業も行っていました。したがって、店長不在は単なる欠員ではなく、事業継続条件そのものです。

くっつー:応募があっても、なぜ店長を決められなかったのですか?

佐々木:応募者は来ても、店舗を任せられるかという基準では決められませんでした

人材計画では「採用人数」ではなく、事業を任せる責任者の代替可能性を確認します。

もし責任者が決まらなければ、経営者が現場へ戻る、営業時間を縮小する、事業譲渡・造作譲渡を検討する、閉店するという代替案が必要です。

閉店を決めると、赤字の増加が止まる道筋が見えた

佐々木さんが閉店を決めたときに安堵したのは、約2,000万円の負債が分かって楽になったという意味ではありません。

「いつ回復するのか」と待ちながら資金が減る状態から、毎月の赤字を止める工程へ移れたためです。

閉店は、損失を確定させるつらい判断です。一方で、営業赤字を無期限に増やさない損切りでもあります。

閉店方法を考える段階では、スケルトン返しと居抜きの判断基準も確認し、貸主側の募集方針と現借主の撤退費用を分けて整理します。

閉店を決める前に、次の3つの日付を置きます。

  • 改善施策の評価日
  • 撤退方針を決める日
  • 貸主へ相談・通知する最終日

評価日に条件を満たさなければ、閉店の準備へ切り替えます。準備を始めても、貸主との協議や造作譲渡の可能性によって、最終方法は変わります。

借入3口を返済する現実と、金融機関への説明

佐々木さんの借入は一つではなく、日本政策金融公庫、信用金庫など3口に分かれていました。

複数借入では、返済日、金利、保証、連帯保証、担保、残高が異なります。合計額だけでは資金繰りを管理できません。

借入台帳には次を記録します。

項目内容
金融機関借入先と担当窓口
契約主体法人・個人、保証人
残高基準日現在の残元金
月額返済元金と利息を分ける
返済日口座と入金期限
条件変更リスケ等の有無

閉店しても返済原資が別事業にある場合は、今後の計画を説明します。返済が難しくなる見込みなら、延滞前に金融機関や専門家へ相談します。

自己破産、法人整理、返済条件変更などは契約・財産・保証関係で異なります。佐々木さんの事例だけから一般化せず、弁護士、税理士、金融機関などへ個別に確認してください。

負債、赤字、閉店費用を分ける

負債は将来返済する義務、赤字は一定期間の収益と費用の差、閉店費用は退去や精算で発生する支出です。

同じ金額欄へまとめず、いつ・誰へ・何のために支払うかを分けます。

負債が見えなくなる前に作る「撤退可能残高」

私は、通常の現預金残高とは別に「撤退可能残高」を毎月出すことを勧めます。

撤退可能残高は、現預金から近い将来の確定支払いと、最低限の撤退費用を引いた金額です。

概念式は次のとおりです。

撤退可能残高 = 現預金 + 確定入金 - 直近支払い - 解約予告中賃料 - 原状回復等の見込額

造作譲渡代金は、契約と入居審査が成立するまで確定入金に入れません。保証金返還も、償却や未払精算後の見込額で置きます。

毎月の撤退可能残高が減り、改善に使える期間が短くなったら、経営会議の議題を「どう売るか」だけから「いつ止めるか」へ変えます。

早い契約確認は閉店決定ではない

解約予告、原状回復、保証金、造作譲渡の条件を調べることは、選択肢の把握です。

営業改善中から出口を把握すれば、決断後に買い手探しや工事準備へ使える時間を確保できます。

月次経営会議で確認する10の質問

赤字を把握しているつもりでも、数字が別々の資料にあると全体像を見失います。私は、毎月同じ10問へ答え、前月との差を残す方法を勧めます。

  1. 通常営業だけの損益はいくらか
  2. 一時収入を除いた粗利はいくらか
  3. 13週先まで支払いできるか
  4. 借入残高は前月からいくら減ったか
  5. 税金・社会保険の未払予定はないか
  6. 店長不在で失った売上・時間はいくらか
  7. 改善施策は期限内に数値を変えたか
  8. 撤退費用を残した現金はいくらか
  9. 造作・設備の売却可能性を確認したか
  10. 来月、継続条件を満たさなければ何へ切り替えるか

会議では、試算表の完成を待ちすぎず、通帳、POS、給与、支払予定から速報値を作ります。その後、会計値との差を修正します。

毎月同じ基準日で負債と撤退可能残高を更新すれば、「閉店した最後に初めて全体が分かる」状態を避けやすくなります。

閉店時に借入残高を確定する手順

複数の借入がある場合、通帳の引落額だけでは残元金を確認できません。金融機関ごとの返済予定表と残高証明を集めます。

  1. 借入契約書と返済予定表を一覧にする
  2. 基準日現在の元金残高を確認する
  3. 利息、保証料、繰上返済条件を確認する
  4. 法人借入と個人借入を分ける
  5. 代表者保証、担保、連帯保証を確認する
  6. 閉店後の返済原資を月ごとに置く

店舗を閉めても法人を続けるのか、他事業があるのかによって、説明する事業計画が変わります。

閉店売却で得る現金は、税金や精算費用を差し引く前に全額返済へ回せるとは限りません。

造作代金、保証金返還、在庫処分などの入金時期と、返済・税金・退去費用の支払時期を月別に並べてください。

他事業と生活資金を赤字店舗から隔離する

佐々木さんには不動産事業があり、閉店後の返済を続ける基盤になりました。しかし、他事業の資金を無制限に赤字店舗へ入れれば、両方が苦しくなります。

法人や口座を分けていても、代表者保証や資金移動で影響がつながることがあります。

経営会議では、店舗へ追加できる上限、他事業で守る最低現金、経営者の生活費を決めます。

家族や共同経営者がいる場合は、借入・保証・追加投資の上限を共有します。

私は、店舗単体の延命より、会社全体と生活を守る判断を優先する基準を先に書面にします。

閉店日には、現金、売掛、在庫、未払、借入残高を同じ基準日で締めます。後日判明した請求は追加し、最終負債の基準日を変えないでください。

数字を確定するまで「約」を付け、見積額と請求額を別欄に残します。

よくある質問

最後に、複数借入の返済、制度収入の返還条件、金融機関への資料、個人保証、閉店資金という5つの疑問へ答えます。

Q
複数の借入がある場合、返済の優先順位を自分で変えてよいですか?

A

契約条件や担保・保証関係があるため、自己判断で特定の返済だけを止めたり優先したりしないでください。各借入の支払日、残高、担保、保証を一覧にします。

資金不足が見込まれる場合は、変更前に各金融機関と専門家へ相談し、合意内容を書面で確認します。

Q
協力金や補助金に返還条件がないか、閉店前に何を確認しますか?

A

交付決定通知、要綱、対象期間、事業継続要件、財産処分の制限を確認します。設備を売却したり事業を早期終了したりすると、報告や返還が必要な制度もあります。

制度名と受給年度をそろえ、申請窓口、税理士、行政書士などへ個別に確認してください。

Q
金融機関へ閉店相談するとき、どの資料を持参しますか?

A

最新の試算表、資金繰り表、借入一覧、返済予定、閉店費用、造作売却や保証金返還の見込みをそろえます。別事業で返済する場合は、その収支も分けて示します。

未確定の売却代金を確定収入にせず、相談したい返済条件と実行予定日を具体化してください。

Q
法人の店を閉めても、個人保証の返済は残りますか?

A

店舗や法人の営業を終えても、借入や個人保証が自動で消えるわけではありません。保証契約、担保、法人と個人の関係によって対応が変わります。

借入契約と保証契約をそろえ、金融機関、弁護士、税理士などへ個別に確認してください。

Q
閉店費用と借入返済は、どちらを先に見積もるべきですか?

A

どちらかを後回しにせず、同じ資金繰り表へ支払日別に並べます。借入残高に加え、家賃、給与、税金、原状回復、解約費用を確認してください。

売却代金や保証金返還は未確定入金として分け、入金が遅れても支払えるかを見ます。

まとめ:月次赤字ではなく、閉店後に何が残るかまで見る

佐々木さんは、約2年半のラーメン店経営を終えた後、約2,000万円の負債が残ったことを確認しました。

協力金で店舗を維持できた時期があり、その後は店長不在と通常営業の厳しさが表面化しました。

毎月の赤字だけでなく、借入残高、資金繰り、撤退費用をつなぎ、閉店後に残る負債を毎月更新してください。

数字が見えれば、改善へ使える資金と、撤退のために残す資金を分けられます。

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