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こんにちは、テナントの窓口のくっつーです。
2026年は、飲食店の倒産増加が相次いで報じられています。食材、光熱費、人件費が上がる一方、値上げで客数が減る不安から価格転嫁できない店舗もあります。
東京商工リサーチは2026年1〜5月の「飲食業」倒産を411件、帝国データバンクは2026年上半期の「飲食店」倒産を473件と発表しました。
411件と473件は矛盾ではなく、期間と集計区分が異なる別調査です。大切なのは件数だけで不安になるのではなく、自店の粗利と資金繰りへ落とすことです。
この記事では、倒産が増える構造と、経営者が今月から確認する数字、撤退を含む出口の考え方を整理します。
- 411件と473件の集計期間・区分の違い
- 人件費・食材・光熱費が利益を削る仕組み
- 原価と人件費が10ポイント上がる影響
- 値上げ・商品・人員を見直す順番
- 改善できない場合に店舗売却を検討する方法
- 物価高と賃上げで利益が残らない飲食店経営者
- 倒産件数のニュースを自店の判断へ使いたい方
- 値上げによる客離れが不安な方
- 赤字改善と撤退の境界を決めたい方
2026年の飲食店倒産は過去最多水準で推移している
先に公表された411件は、東京商工リサーチが集計した2026年1〜5月の「飲食業」倒産です。
同調査は負債1,000万円以上の倒産を対象とし、1997年以降の同期間で最多としています。「人件費高騰」を一因とする倒産が前年同期から6.6倍に増えたことも報じられました。
その後、帝国データバンクは2026年1〜6月の「飲食店」倒産を473件と公表しました。こちらも負債1,000万円以上の法的整理が対象です。
| 調査 | 期間 | 件数 | 主な区分 |
|---|---|---|---|
| 東京商工リサーチ | 2026年1〜5月 | 411件 | 飲食業 |
| 帝国データバンク | 2026年1〜6月 | 473件 | 飲食店 |
東京商工リサーチの2026年1〜5月調査と、帝国データバンクの2026年上半期調査で、定義と期間を確認できます。
倒産件数には、すべての閉店や休廃業が含まれるわけではありません。個人店の自主閉店などは別です。
したがって「半年で閉店した店が473件だけ」という意味でもありません。
倒産統計は、調査会社が定める負債額と法的整理等の条件に基づく集計です。
営業を自主的にやめた店舗、休業、事業譲渡などは別に考えます。自店の撤退判断を統計件数だけで決めないでください。
倒産が増える理由1.人件費上昇が利益率の低い店舗を直撃する
飲食店では、原材料費と人件費が売上の大きな割合を占めます。ここでは、原価30%、人件費30%、その他経費30%、利益10%を収益構造の一つの目安として扱います。
この構造で原価や人件費が合計10ポイント増え、販売価格を変えられなければ、利益10%は消えます。
もちろん、比率は業態・店舗ごとに異なります。しかし、もともとの利益幅が小さいほど、賃上げの影響を吸収しにくい点は共通します。
くっつー:人件費や食材費が上がると、なぜ急に厳しくなるのですか?
佐々木:利益が10%程度の構造なら、原価と人件費が10ポイント上がるだけで利益がなくなるからです
人件費対策を、時給を上げないことだけにしてはいけません。募集しても人が来ず、欠員で営業時間が減れば売上も落ちます。
採用単価、教育時間、離職、欠員による休業まで含めた総人件費を見ます。
倒産が増える理由2.食材・光熱費を価格へ転嫁しきれない
食材費や光熱費が上がれば、価格を上げる必要があります。しかし、ラーメンなど日常的に価格比較される商品では、値上げによる客離れを心配する経営者が多くいます。
値上げを避けて量や品質を維持すると、1食あたり粗利が減ります。客数が同じでも、固定費を賄えなくなります。
一方、単純に全品を同率で値上げすると、来店頻度や注文構成が変わる可能性があります。
値上げ前に、商品を次の4群へ分けます。
- 来店理由になる主力商品
- 粗利を作る商品
- 追加注文を促す商品
- 廃棄・手間が多く利益を削る商品
主力商品の価格を守り、セットや追加商品で粗利を取る方法もあります。逆に、主力商品自体が赤字なら、価格・量・仕入れを見直さなければ継続できません。
値上げ後に客数が減っても、商品別粗利と店舗全体の粗利額が増えていれば改善の場合があります。
再来店、客単価、提供時間、廃棄も合わせて4〜8週間で評価します。
倒産が増える理由3.人手不足で営業機会と店舗品質を失う
人手不足は、人件費が高いという問題だけではありません。営業時間を短縮し、予約を断り、接客・清掃・教育の質が落ちることで売上にも影響します。
佐々木さんがラーメン店を閉めた主な理由の一つも、店舗を任せられる人がいなかったことでした。当時は現在ほど人件費上昇が中心ではなく、責任者不足の問題です。
くっつー:ご自身の閉店理由は、今回の人件費高騰と同じでしたか?
佐々木:当時は人件費高騰より、店を任せられる人がいなかったことが大きな理由でした
同じ人材問題でも、賃金不足、応募不足、店長不足、離職、教育不足を分けてください。
時給を上げれば解決する問題と、権限設計や業務標準化が必要な問題は異なります。
インバウンド需要があっても、すべての店舗が価格を上げられるわけではない
観光地では、訪日客向けの高単価商品が成立することがあります。一方、住宅地や地元客中心の店が同じ価格戦略を取れるとは限りません。
商圏、来店目的、利用頻度が違うためです。
インバウンドが増えているというニュースを根拠にせず、自店の外国人客比率、注文単価、曜日・時間帯を確認します。
需要がある場合でも、外国語メニュー、決済、予約、アレルギー、接客など受入体制が必要です。
今月確認する「利益10%が消える前」の5指標
経営者は、倒産件数より先に自店の次の数字を確認します。
| 指標 | 計算・確認 | 悪化時の最初の対応 |
|---|---|---|
| 商品別粗利 | 売価-原材料費 | 価格、量、仕入れ、廃棄 |
| 人時売上・人時粗利 | 売上・粗利÷実働時間 | シフト、営業時間、作業削減 |
| 固定費回収日 | 月内で固定費を超える日 | 必要売上、赤字幅を再計算 |
| 現金残存月数 | 現預金÷月次資金流出 | 投資停止、資金相談 |
| 撤退可能残高 | 現預金-撤退見込費 | 出口準備、貸主相談 |
現金残存月数が短いときに、長期のブランド改善だけを始めても間に合いません。即効性のある止血と、中期改善を分けます。
改善する順番は「商品・人員・固定費・出口」
改善は、資金への影響が大きく、短期間で検証できる順に進めます。ここでは、商品、人員、固定費、出口の4段階に分けます。
1.赤字商品と時間帯を特定する
売上上位商品が利益上位とは限りません。原価、提供時間、廃棄を含めて商品別粗利を出します。
2.人件費を削る前に作業を減らす
メニュー数、仕込み、発注、会計、清掃の手順を見直します。必要人員を下回る削減でサービスを壊さないようにします。
3.家賃・光熱費・契約を見直す
営業時間、設備運転、プラン、貸主相談などで固定費を確認します。家賃交渉は一方的な減額要求ではなく、根拠と期間を示します。
4.改善期限と撤退案を並行して決める
改善に使える資金が尽きる前に、解約予告、原状回復、造作譲渡の可能性を確認します。
2025年版のテナント倒産要因もあわせて見ると、前年から続く人件費・資材・価格転嫁の問題を比較できます。
店舗売却の査定や原状回復見積を取っても、すぐ閉店する必要はありません。
継続案と撤退案の手残りを同じ表で比較すると、改善へ投入できる資金の上限を決められます。
時給100円上昇を月額へ換算してみる
人件費上昇は、時給だけを見ると小さく感じます。私は、人数と総労働時間へ掛け、月額と年間額へ直すことを勧めます。
たとえば、1日合計24時間分のシフトを組み、月25日営業する店舗では、月間労働時間は600時間です。
時給が100円上がれば、単純な賃金増は月6万円、年間72万円です。深夜割増、社会保険、採用費などは別に増える可能性があります。
600時間 × 100円 = 月6万円
月商300万円、従来利益率3%なら利益は9万円です。この例では、他条件が同じなら時給100円上昇だけで利益の3分の2が消えます。
これは説明用の仮定であり、自店では実働時間、保険加入、深夜帯を使って計算してください。
賃上げ分を何食、いくらの粗利で回収するかまで決めると、値上げ・省力化・営業時間の判断が具体化します。
8週間の緊急改善計画を作る
利益が急減している店では、半年後のブランド戦略だけでは資金がもちません。私は、最初の8週間で止血と検証を行います。
1〜2週目:数字を確定する
商品別粗利、時間帯別人件費、13週資金繰り、借入返済、撤退費用を集めます。
速報値で始め、会計確定後に差を修正します。
3〜4週目:赤字商品と赤字時間帯を変える
廃棄の多い商品、手間の割に粗利が低い商品、来店が少ない時間帯を特定します。
価格、量、提供方法、営業時間を小さく試し、変更前後を比較します。
5〜6週目:人員と作業を組み直す
人を減らす前に、メニュー、仕込み、発注、会計、清掃を簡素化します。
必要人員を下回る削減で、事故やクレームを増やさないようにします。
7〜8週目:継続・追加改善・撤退を決める
粗利額、現金残存月数、店長確保、経営者負担を見ます。基準に届かなければ、解約・造作査定・原状回復の工程へ移ります。
値上げを3パターンで検証する
全品一律値上げだけでなく、主力価格維持、セット再設計、低粗利商品の重点改定を比べます。
| 案 | 利点 | 注意点 |
|---|---|---|
| 全品改定 | 分かりやすい | 客離れが広く起きる可能性 |
| 主力維持 | 来店理由を守る | 他商品で粗利回収が必要 |
| 低粗利重点 | 赤字商品を直接改善 | 注文構成が変わる可能性 |
値上げ後は、客数だけでなく粗利額、再来店、商品構成を見ます。
価格転嫁できないという前提を置かず、顧客が受け入れる価値と幅を小さく検証してください。
粗利率の悪化を早く見つけるため、食材単価、時給、光熱費、廃棄率を週次で更新します。月末の利益が出てから気づくのではなく、仕入単価の改定日に商品別原価を計算し直してください。
主要商品の粗利が基準を下回ったら、価格、量、仕入れ、販売停止のどれを検討するか担当を決めます。
店舗売却はM&Aと同じではない
赤字店舗の出口として「店舗売却」と呼ぶ場合、造作・設備を次の出店者へ譲渡する意味で使われることがあります。
これは、会社の株式や事業全体を譲るM&Aと同じではありません。賃貸借契約、貸主承諾、入居審査も別に必要です。
佐々木さんの知人には、2026年5月末に都内の店舗で造作を約400万円で譲渡し、その資金を他店舗の運転へ回した事例がありました。
これは一個別事例であり、すべての店舗が同額で売れるわけではありません。
造作の状態、需要、賃料、期限を査定し、売れない場合の原状回復も準備します。
よくある質問
最後に、支払条件、値上げ検証、メニュー削減、地域の自主廃業、売却代金の計上という5つの実務疑問へ答えます。
Q仕入先から支払条件の短縮を求められたら、最初に何を確認しますか?
変更後の支払日ごとに必要現金を並べ、給与、家賃、返済と重なる週を確認します。粗利が出ていても、支払いが先行すれば資金不足になります。
条件変更の理由と開始日を確認し、発注量、支払方法、代替仕入先を含む複数案を作ってから交渉してください。
Q値上げ後の検証期間はどれくらいに設定しますか?
一律の日数ではなく、曜日差と来店周期を最低1回ずつ比較できる期間を置きます。資金余力が短い場合は、長期間待たず週次で粗利と再来店を確認します。
開始前の客数、商品構成、粗利、再来店を保存し、同じ営業日数で比較してください。イベントや休業など大きな条件差も記録します。
Qメニュー削減で人員を減らす前に、何を確認しますか?
削る商品の粗利だけでなく、仕込み時間、注文頻度、セット注文、来店理由を確認します。低粗利でも、別商品の注文につながる商品を外すと売上全体が下がることがあります。
試験的な休止期間を設け、待ち時間、客単価、廃棄、必要人数を同じ曜日で比較してから固定シフトを変えてください。
Q倒産統計に出ない自主廃業も含めて、地域の撤退増加をどう確かめますか?
倒産件数だけでなく、商業統計、求人停止、空き店舗、管理会社や仕入先から得られる地域情報を分けて確認します。単一の観察だけで市場縮小とは断定しません。
自店の商圏では、競合の閉店理由、後継テナント、客数変化を同じ期間で記録し、自店の問題と地域需要の変化を分けてください。
Q店舗売却代金は、いつ運転資金の確定入金として扱えますか?
買い手の入居審査、貸主承諾、賃貸借、造作譲渡契約、支払条件がそろうまでは、確定入金として扱わない方が安全です。口頭合意だけで仕入れや返済へ充てないでください。
資金繰り表では入金予定と確定入金を分け、契約不成立や支払遅延が起きても当面の支払いができるかを確認します。
まとめ:倒産件数より、自店の粗利と現金残存月数を見る
2026年1〜5月の飲食業倒産411件、上半期の飲食店倒産473件は、いずれも厳しい経営環境を示しています。
人件費、食材、光熱費の上昇を価格へ転嫁できなければ、薄い利益は短期間で消えます。
商品別粗利、人時粗利、現金残存月数、撤退可能残高を確認し、改善期限を資金が尽きる前に置いてください。
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