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こんにちは、テナントの窓口のくっつーです。

居抜き売却で高値を目指すこと自体は悪くありません。しかし、退去期限がある店舗では、希望額を守る間の家賃と、買い手が離れるリスクを同時に見なければなりません。

実際に、渋谷の居酒屋が4月に造作1,000万円で募集し、約10日後の500万円・400万円の提案を見送った事例があります。その後も価格を下げましたが、翌年1月の契約終了までに買い手が決まらず、スケルトン返しになりました。

売却価格は希望額だけで決めず、現在の提案を逃した場合の家賃・工事費・不成立リスクを含む最終手取りで決める必要があります。

この記事の「最終手取り」は、税引前の比較概算です。税金や借入返済後に実際に残る現金とは別に計算します。

この記事でわかること
  • 失敗の時系列:早期提案を断り、同額へ戻した時には候補者がいなかった
  • 借入残高は売主の必要額であり、買い手の価値ではない
  • 提案は金額だけでなく、成立確度と期限で比べる
  • 売却打切り日を原状回復発注から逆算する
  • 実行判断表
この記事がおすすめな人
  • 高額な造作価格で募集している方
  • 買い手の減額提案を断るか迷う方
  • 退去期限まで半年未満の方
  • 借入返済額を価格根拠にしている方

1,000万円の希望より、500万円提案を逃す機会損失が大きかった

この事例では、募集直後の500万円と400万円を断り、9月ごろ700万円で再募集して、別候補の500万円も見送りました。12月に500万円へ下げて以前の候補者へ連絡しても、契約には至りませんでした。

最初の500万円を受ければ必ず正解だったとは断定できません。ただし、提案を断る時点で、次の提案が来ない場合の家賃と原状回復を数値化する必要がありました。

確認項目確認できた事実実務上の扱い
募集開始渋谷の居酒屋を4月に1,000万円で募集希望価格は個別事例
初回提案約10日後に500万円・400万円資力・条件を含め評価
値下げ9月ごろ700万円、12月500万円候補者は待ち続けない
結果翌年1月に買い手不成立でスケルトン返し工事実額は未確認

失敗の時系列:早期提案を断り、同額へ戻した時には候補者がいなかった

募集直後の反響が多いと、さらに高い提案が来ると期待しやすくなります。

本事例は4月に1,000万円で開始し、約10日後の500万円・400万円を見送りました。

9月ごろ700万円へ下げても、別候補の500万円を見送ります。12月に500万円へ下げましたが、今度は候補者が現れませんでした。

募集日、各提案日、回答期限、価格変更日、契約終了日を一枚の時系列にします。

渋谷なら常に買い手が多いとは限らず、業態、賃料、内装、時期、資金調達で需要は変わります。

くっつー:12月に500万円へ下げた時、以前の候補者へ声をかけたんですか?

佐々木:声はかけましたが、その時には振り向いてもらえませんでした

待つ期間の家賃と営業損失を、週単位で比較する

提案を保留するなら、次の判断日までの家賃、人件費、光熱費、営業損失を計算します。希望額との差だけでなく、待つ間に減る手取りを見ます。

一週間と一か月では、再募集や審査に使える期間が変わります。明渡し日から原状回復発注日を逆算し、待てる最終日を決めてください。

比較額は税引前の概算です。税金、仲介費、借入返済後に残る現金とは別なので、税理士や金融機関と確認します。

借入残高は売主の必要額であり、買い手の価値ではない

売主が借入を返すため1,000万円を必要としても、買い手は開業費と設備価値から支払額を判断します。

売主には、借入を返すために高く売りたい事情がありました。その気持ちは自然ですが、返済必要額と買い手の条件は同じ数字ではありません。

必要返済額と市場提案を分け、差額は別の返済計画・撤退資金として検討します。

価格比較では税引前の概算を使い、税額と借入返済後残額は別表にします。税務処理は税理士へ確認してください。

買い手の提案額だけで設備価値が確定するわけではなく、賃貸条件や追加工事も含めて比較します。

くっつー:売主が1,000万円にこだわったのは、借入を返したい事情があったからですか?

佐々木:そうです。負債を返済できる金額で売りたい事情がありました

成立確度は、価格とは別の列で確認する

高い提案でも、資金、貸主審査、用途、契約日が未確定なら成立確度は上がりません。提案額と条件充足の進捗を別々に記録します。

候補者の資金確認や審査は関係者が判断します。売主が経験だけで『通る』と決めず、不動産担当から確認可能な事実を受け取ります。

複数提案がある場合は、金額、回答期限、条件、引渡し可能日を同じ表で比べます。低い提案が必ず有利とも断定しません。

提案は金額だけでなく、成立確度と期限で比べる

500万円の提案でも、資金確認、入居審査、契約条件、引渡し日が整わなければ成立しません。

一方、確度のある提案を見送れば、同じ候補者が数か月後も待っているとは限りません。

提案額、資金確認、入居審査の準備、条件、契約予定日、手取りを同じ表で比較します。

高い口頭意向より、条件を満たせる低い書面提案の方が安全な場合があります。

回答期限と売主側の確認日は、候補者の希望日、貸主確認、入居審査に必要な日数から設定します。

価格見直し日と売却打切り日を、別の日に置く

価格見直し日は反響を基に条件を変える日です。売却打切り日は、原状回復へ切り替えなければ明渡しに間に合わない日です。

二つを同日にすると、値下げしても買い手の検討と審査が間に合いません。複数回の見直し日を、打切り日の前へ置きます。

価格交渉では、回答期限と社内決裁日を先に置くと機会損失を比較しやすくなります。候補者との合意状況も確認し、期限だけで一方的に進めないでください。

売却打切り日を原状回復発注から逆算する

居抜き募集を契約終了直前まで続けると、買い手不成立時に原状回復工事が間に合わないおそれがあります。

本事例では最終的に買い手が決まらずスケルトン返しとなりました。

原状回復約500万円という数字は、くっつーが店舗の造作費から置いた仮定です。見積書、請求書、実支払額で確認された数字ではありません。

貸主仕様、見積、施工日数、発注期限から、値下げ・無償譲渡・工事切替日を決めます。

工事費だけでなく、募集を続ける家賃と、工期遅延時の責任も下振れへ含めます。

原状回復費は、事例の仮定と自店の見積を分ける

事例で使った約500万円の原状回復費は、比較のための仮定であり、自店の実額ではありません。貸主の返還仕様を確認し、同じ範囲で見積を取ります。

見積は解体、搬出、廃棄、設備撤去、復旧、諸経費へ分けます。追加費用の条件と工期も確認してください。

売却不成立案では、造作代金を0円に戻し、待機家賃と工事費を計上します。最高提案だけでなく、提案を逃した後の下振れを比較します。

造作譲渡料の決め方も確認し、買い手の総開業費と自店の期限から価格を組み立ててください。

提案額・成立確度・税引前手取りを同じ表で比べる

現在の提案を受けるか待つかは、売却額だけでなく、時間と不成立時支出を同じ基準日で比べます。

判断項目確認する証拠次の行動
現在の提案申込書、金額、条件、資金確認、審査準備契約に進める条件と未確認事項を分ける
待機支出家賃、共益費、固定費、募集関連費1週間・1か月待つ支出を算出する
不成立時支出貸主返還仕様、工事見積、残り家賃概算と上振れ幅を置く
残り時間契約終了日、審査期間、工期、発注期限価格見直し日と売却打切り日を決める
最終手取り(税引前比較概算)造作代金、手数料、修理・撤去、待機支出同じ基準日で複数案を比較する

希望価格と借入残高は別欄に置きます。必要返済額だけで、買い手の提案を受ける基準を作らないためです。

提案を待つ1週間・1か月の支出を比較する

高い提案を待つ判断には、時間の費用があります。家賃だけでなく、共益費、人件費、光熱、保険、リース、保管等の継続支出を確認します。

営業を続ける場合は、売上と追加損失を分けます。営業赤字を待機費用から外すと、待つほど手取りが減る状況を見落とします。

現在の提案を受ける案は、造作代金から手数料、修理、撤去、決済までの支出を引きます。

1か月待つ案は、想定する売却代金から1か月分の継続支出と追加費用を引きます。高値が必ず来るとは置かず、来ない場合も作ります。

不成立案は、造作代金を0円として、原状回復、残り家賃、明渡し遅延のリスクを置きます。

3案の基準日をそろえれば、500万円と1,000万円という表面価格だけの比較を避けられます。

借入返済額が足りない場合は、差額を別の返済・資金繰り課題として扱います。税引前の比較概算を、税金・借入返済後残額と取り違えません。

成立確度は金額と別に確認する

500万円という提案があっても、買い手の資金、貸主承諾、入居審査、契約条件が整うまでは成立確定ではありません。

提案ごとに、申込書、自己資金・融資状況、希望業態、審査資料、希望引渡日、条件を確認します。

口頭で高い金額を示した候補と、低くても資料がそろった候補を、金額だけで並べないことが重要です。

回答期限を設ける場合は、候補者の希望日、貸主確認、審査に必要な期間を共有します。短い期限で受諾を迫ることが目的ではありません。

売主側は、誰が最終判断し、どの資料がそろえば回答できるかを決めます。売主側の確認日と、候補者へ示す回答期限は別に管理します。

価格見直し日と売却打切り日を分ける

価格見直し日は、反響と提案条件を見て募集価格を変更する日です。売却打切り日は、居抜き募集をやめて原状回復へ切り替える最終日です。

二つの日を同じにすると、値下げした直後に工事へ移ることになり、買い手が検討する時間を取れません。

価格見直し日は、問い合わせ数、内見数、申込数、提示額、見送り理由を一定間隔で確認して決めます。

売却打切り日は、貸主の返還仕様、工事見積、施工日数、発注期限、明渡し日から逆算します。

本事例では12月に500万円へ下げた後、翌年1月の契約終了までに成立しませんでした。遅い値下げでは、以前の候補者が戻るとは限りません。

以前の候補者が別物件で契約したという説明は、佐々木さんの推測を含みます。確認できる事実は、再連絡しても契約に至らなかったことです。

原状回復費は仮定と見積を分ける

原状回復約500万円という数字は、くっつーが立派な内装の造作費から置いた仮定でした。実際の見積・請求・支払額ではありません。

自店の判断では、貸主と返還仕様を確認し、同じ範囲・条件で施工会社から見積を取ります。

未確定の段階では、低位・基準・上振れの幅を置きます。未確認だから0円として現在の提案と比較しないでください。

工事費以外に、残置物撤去、廃棄、設備停止、届出、工期中の家賃が発生する可能性も確認します。

見積が変わったら、最低売却価格と売却打切り日も更新します。古い見積を使い続けないことが重要です。

募集履歴を次の価格判断へ使う

募集履歴には、掲載価格、問い合わせ日、内見日、提案額、条件、回答、見送り理由、再連絡結果を残します。

高い希望額で問い合わせが止まったのか、賃料や業態条件が障害だったのかを分けて確認します。

本事例の500万円・400万円は、渋谷の居酒屋全体の相場ではありません。一つの物件に対する、その時点の提案です。

私は、提案額そのものより、同じ条件で何件の反響があり、残り期間がどれだけあるかを価格見直しの材料にします。

よくある質問

審査中の候補切替、提案比較の資料、最低価格の決裁者、価格見直し日、断った候補が戻らない場合という五つを確認します。

Q
貸主審査中に、別の提案へ切り替えてもよいですか?

A

候補者との合意、独占交渉、申込状態を確認します。二重契約にならないよう、不動産担当と専門家へ切替可否と通知方法を確認してください。

Q
提案比較に必要な資料は何ですか?

A

提案書、資金確認、貸主条件、引渡し希望日、待機費用、原状回復見積をそろえます。税・手数料・借入返済は別に計算します。

Q
最低売却価格は誰が決めますか?

A

経営者が最終決裁し、税理士に税・費用、不動産担当に反響・審査、金融機関に返済条件を確認します。買い手価値と売主事情を分けて判断します。

Q
価格見直し日はいつ設定しますか?

A

問い合わせ、内見、申込みの判定日を分け、売却打切り日の前に複数回置きます。値下げ後の審査・契約期間も残してください。

Q
提案を断った後に候補者が戻らない場合、どうしますか?

A

現在の反響と残り期限で再募集を判断し、以前の候補へ戻れる前提にしません。打切り日を超えるなら、原状回復発注と明渡し準備へ進みます。

まとめ:希望額ではなく、提案を逃した後の最終手取りで決める

渋谷の事例では、1,000万円へ固執して500万円の提案を逃し、最終的にスケルトン返しとなりました。提案額、成立確度、待機費用、不成立時の工事費を税引前で比較してください。

希望価格を下げるか待つか迷う方には、造作価格と不成立時の損失を比較できる資料が役立ちます。

居抜き売却で損しないための完全ガイド|造作譲渡料のすべてでは、造作譲渡料の考え方と、最終手取りを減らす待機費用を確認できます。

「黒字経営の教科書|飲食店 赤字10の原因」は、高値を待つ間の営業赤字を分解し、待機余力を見直す時に使えます。

「閉店チェックリスト|完全版」は、価格見直し日と原状回復への切替期限を並べる時に役立ちます。

「造作譲渡契約書|雛形」は、候補者との合意や不成立時の返金条件を整える時に使えます。

「造作譲渡・居抜き 基礎用語50選」は、査定、造作譲渡、最終手取りに関する用語を確認する時に役立ちます。

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