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インドの飲食チェーンは、どのような商品と仕組みで店舗数を増やしているのでしょうか。日本で成功したチェーンなら、インドでも同じように広がるのでしょうか。
今回は、私たちがインド・ニューデリー周辺の商業施設を訪れ、現地で知られるBiryani BluesとVaangoを実際に利用しました。あわせて、日本発のCoCo壱番屋のインド展開も比較しています。
現地で見えたのは、飲食チェーンの成長を左右するのは知名度や味だけではないということです。価格、販売チャネル、食文化、立地への適合まで見ると、飲食テナントを判断するときの視点も変わります。
- インドで展開する飲食チェーン3ブランドの特徴
- 現地料理をQSRへ変えるときの考え方
- 日本の飲食チェーンが海外で直面する難しさ
- 貸主が飲食チェーンの出店計画を確認するポイント
- 飲食チェーンをテナント候補として検討している貸主
- 商業施設や店舗物件の業種構成を考えている方
- 海外ブランドや新しい飲食業態の出店戦略に関心がある方
- 店舗数だけではテナントの継続性を判断できないと感じている方
インドの飲食チェーン視察で見えた結論
現地の商業施設は、下層階にアパレルや物販、上層階にフードコートを配置するなど、日本でも見慣れた構成でした。しかし、出店している飲食チェーンの伸び方を見ると、それぞれの戦略には大きな違いがあります。
今回比較した3ブランドを整理すると、次のようになります。
| ブランド | 主な商品 | 店舗展開の特徴 | 現地適合のポイント |
|---|---|---|---|
| Biryani Blues | ビリヤニ | 現地の定番料理を手頃なQSRとして提供 | 日常価格、デリバリー、専門性 |
| Vaango | ドーサなど南インド料理 | ベジタリアン対応の南インド料理を広域展開 | 地域食、宗教・食習慣、商業施設 |
| CoCo壱番屋 | 日本式カレー | 日本のカレーチェーンを合弁で展開 | 日本式の差別化、現地の選択肢との競争 |
インドの事例から見えるのは、飲食チェーンの成長には「何を売るか」だけでなく、「誰が、どの場面で、どう買うか」まで合っている必要があるということです。
貸主がテナント候補を見るときも、ブランド名や既存店数だけでは判断できません。店舗の外にある需要や、物件と販売方法の相性まで確認する必要があります。
Biryani Blues|現地の定番料理を手頃なQSRへ
Biryani Bluesは、インドを代表する炊き込みご飯のビリヤニを扱うチェーンです。私たちが利用した店舗では、本格店より手軽に注文でき、商業施設のフードコートにもなじむ業態になっていました。
公式サイトの掲載情報は、2013年創業、80店舗以上です。現地の定番料理を専門店品質のまま身近な価格帯へ落とし込んだことが、店舗展開の土台になっています。
専門性を残したまま日常価格へ近づける
Biryani Bluesが扱うのは、ハイデラバード式のダム・ビリヤニです。香りの強いバスマティライスやスパイスを使い、専門性のある料理として打ち出しています。
一方で、提供方法はQSRです。高価格の特別食だけにせず、日常的に選びやすい商品へ変えることで、利用頻度を高めています。
専門料理をチェーン展開するときは、特徴を薄めるのではなく、注文しやすさと価格の壁を下げることが重要です。
店内客数だけでは見えないデリバリー型の売上
視察時に確認した情報では、Biryani Bluesの売上の約70%がデリバリー経由でした。比率は時期によって変わる可能性がありますが、店内飲食だけで売上を判断できない業態であることは確かです。
デリバリー比率が高い店舗では、広い客席よりも次の条件が重要になる場合があります。
- 配達員が商品を受け取りやすい動線
- 短時間で商品を準備できる厨房
- 商圏内へ届けやすい立地
- 液漏れや温度低下を防ぐ包装
貸主側も、来店客数だけを見て「繁盛していない」と判断しないことが大切です。売上が店外で発生する業態では、必要な面積や立地条件も変わります。
デリバリー型の飲食店では、通行量や客席数だけでなく、配達員の受け取り動線、駐停車、厨房能力まで物件との相性を確認します。
Vaango|地域の食文化とベジタリアン需要を取り込む
Vaangoは、ドーサをはじめとした南インド料理を提供するベジタリアンQSRです。公式サイトによると、2011年にNoidaで1号店を開き、インド国内で約100店舗を展開しています。
私たちが食べたドーサは、米と豆の発酵生地を薄く焼き、中にスパイスで味付けしたじゃがいもを入れた料理です。大きな生地はパリパリとしており、見た目にも特徴がありました。
南インド料理を北インドの商業施設で売る
インドは広く、地域によって食文化が異なります。北インドでは小麦やカレーが身近である一方、南インドでは米、豆、発酵食品を使った料理が多く見られます。
Vaangoは、南インドの家庭料理を現代的なQSRへ整え、北インドを含む商業施設へ展開しています。地域料理を別地域へ持ち込むときに、専門性を保ちながら利用しやすい業態へ変えている点が特徴です。
商品だけでなく利用できる顧客層を見る
Vaangoはベジタリアン料理を中心にしています。肉を避ける人でも選びやすく、食習慣の違いが大きい市場で利用者を広げやすい設計です。
飲食業態を判断するときは、メニューの人気だけでなく「その商品を選べる顧客がどれだけいるか」を確認する必要があります。
日本の店舗物件でも、アレルギー、宗教、健康志向などへの対応が商圏の選択肢を広げることがあります。ただし、対象顧客を広げるためにメニューを増やしすぎると、厨房や在庫が複雑になります。顧客層とオペレーションはセットで見るべきです。
CoCo壱番屋|日本の成功モデルをそのまま持ち込まない
インドでは、日本発のカレーチェーンであるCoCo壱番屋も展開しています。三井物産と壱番屋は2019年に合弁会社を設立し、2020年にインド1号店を開きました。
日本式カレーは、辛さ、ライス量、トッピングを選べる点に特徴があります。しかし、インドには地域ごとに多様なカレーがあり、手頃でおいしい選択肢も豊富です。日本で確立した仕組みを持ち込むだけでは、現地の日常食の中で選ばれる理由になりません。
合弁でインド市場へ進出
海外出店では、現地企業との連携が、物件探索、採用、調達、法制度への対応を進める助けになります。CoCo壱番屋も三井物産との合弁でインドへ進出しました。
ただし、強いパートナーがいることと、短期間で店舗数が増えることは同じではありません。現地の顧客が日本式カレーを選ぶ場面を作り、継続して来店してもらう必要があります。
店舗数より現地で選ばれる理由を確認する
動画撮影時には、CoCo壱番屋のインド店舗を2店舗と紹介しました。記事化時点のインド公式サイトでは、Gurugram、Saket、Vasant Kunjの3拠点が掲載されています。
店舗数は変動するため、数字だけで成功・失敗を決めることはできません。新規市場では、まず特定エリアで商品、価格、客層、運営方法を検証し、次の出店条件を固める進め方もあります。
貸主が確認したいのは、店舗数の多さではなく、自分の物件へ出店する根拠と、その店舗を続けられる収益モデルです。
貸主が飲食チェーンをテナント候補として見る4つの確認点
3ブランドの違いを貸主の判断へ置き換えると、確認したい項目は4つです。
- 誰の日常食を狙っているか
- 店内・持ち帰り・配達の売上構成
- 物件設備とオペレーションの相性
- 店舗数ではなく出店条件と継続性
1. 誰の日常食を狙っているか
観光客向けの話題店と、地域住民が繰り返し利用する日常店では、必要な立地が違います。ターゲットの年齢、所得、食習慣、利用時間帯を確認しましょう。
Biryani Bluesの手頃さや、Vaangoのベジタリアン対応は、商品説明ではなく顧客層の設計です。テナント候補にも「誰が、いつ、どのくらいの頻度で利用するのか」を説明してもらうと、商圏との相性を判断しやすくなります。
2. 店内・持ち帰り・配達の売上構成
売上の中心が店内飲食なのか、持ち帰りなのか、デリバリーなのかで、必要な面積と動線は変わります。
デリバリー中心なら、駅前一等地の広い客席が必須とは限りません。一方で、配達員の出入りや一時駐車が他のテナントへ影響する可能性があります。売上構成だけでなく、建物全体の運用まで確認が必要です。
3. 物件設備とオペレーションの相性
飲食店では、給排水、電気容量、ガス、排気、グリストラップ、搬入、廃棄物置き場などが営業の前提になります。
メニューが物件に合わない場合、設備工事の負担が増え、開業時期も遅れます。出店意欲だけで契約を急がず、調理方法と必要設備を早い段階で確認してください。
4. 店舗数ではなく出店条件と継続性
店舗数は信用力を見る材料の一つですが、それだけで判断はできません。急拡大中のチェーンでも、出店エリアや業態によって収益性は異なります。
既存店の商圏、標準面積、投資額、損益分岐、撤退条件まで確認すると、今回の物件がそのチェーンの成功パターンに入っているかを見極めやすくなります。
大手チェーンへの物件提案を考えている方は、店舗開発担当者へ情報を届ける方法もあわせて確認してください。ブランド名だけで待つのではなく、出店条件に合う物件情報を必要な担当者へ届けることが重要です。
業態と設備が合わないまま契約すると、追加工事、開業遅延、原状回復範囲をめぐるトラブルにつながります。申込段階で必要容量と工事区分を確認してください。
よくある質問
Q海外の飲食チェーンを日本の物件へ誘致するとき、最初に何を確認しますか?
日本法人または契約主体、国内の出店担当者、既存店、必要な許認可、標準的な店舗面積を確認します。海外本部の知名度だけでなく、日本で誰が賃貸借契約と店舗運営に責任を持つのかを明確にしてください。
Qデリバリー中心の飲食店には広い客席が不要ですか?
客席を小さくできる可能性はありますが、厨房、商品受け渡し、配達員の待機、駐停車スペースが必要です。客席面積だけを減らすのではなく、ピーク時の動線を図面上で確認しましょう。
Qベジタリアンや宗教対応の飲食店では、貸主側に特別な対応が必要ですか?
賃貸借契約自体が特別になるとは限りません。ただし、食材の保管、調理器具の分離、看板表示など、店舗独自の運用条件がある場合は、厨房計画や工事区分に影響しないか確認が必要です。
Q商業施設のフードコートと路面店では、出店判断はどう変わりますか?
フードコートは共用席や施設集客を利用できますが、営業時間、メニュー、販促、売上報告などの施設ルールを受けます。路面店は自由度が高い一方、自店で集客と店内環境を作る必要があります。業態の強みがどちらで発揮されるかを見ます。
立地の考え方を整理したい方は、店舗物件における「好立地」の見極め方も参考にしてください。住宅とは異なる店舗立地の判断軸を確認できます。
Q店舗数が多いチェーンなら、長期入居を期待できますか?
店舗数は判断材料になりますが、長期入居を保証するものではありません。対象店舗の事業計画、契約主体の財務、既存店の実績、撤退条件、保証内容を個別に確認します。
Q飲食チェーンへ物件を提案するとき、どの情報を準備すればよいですか?
所在地、面積、賃料、引き渡し状態、電気・ガス・給排水・排気の容量、看板位置、搬入経路、周辺人口や通行量をまとめます。写真と平面図だけでなく、出店可否を判断できる設備情報までそろえると検討が進みやすくなります。
海外チェーン視察から見えた、飲食テナント選びの本質
インドで見た3ブランドは、同じ飲食チェーンでも伸ばし方が異なりました。
- Biryani Bluesは、現地の定番料理を手頃なQSRにした
- Vaangoは、地域の食文化とベジタリアン需要を広域展開へつなげた
- CoCo壱番屋は、日本式カレーが現地で選ばれる理由を作りながら展開している
飲食テナントを判断するときは、ブランド名や店舗数よりも、顧客、販売チャネル、食文化、物件設備の4点がかみ合っているかを見ることが大切です。
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