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約1年間、すべての区画が空いていた事務所ビル。私たちが管理を引き継いでから約9か月で、最後に残っていた区画の契約がまとまり、満室を迎えることができました。

空室が長引くと、賃料を下げるべきか、募集先を増やすべきか、管理会社を変えるべきかと迷うものです。ただ、今回の事例では、1つの施策だけで状況が変わったわけではありません。

仲介会社との連携、内見時の伝え方、貸主との継続的な相談を重ねた結果、少しずつ成約が積み上がりました。この記事では、満室までの経過と、現場で効果を感じた3つの対応を紹介します。

この記事でわかること
  • 約1年間全空だった事務所ビルが満室になるまでの経過
  • 問い合わせが落ち着いた時期にも募集を続ける考え方
  • 仲介会社や内見者への対応で変えたこと
  • 貸主と管理会社が連携するために必要な報告と提案
この記事がおすすめな人
  • 事務所ビルの空室が長期化している貸主
  • 管理会社へ募集を任せているものの進捗が見えない方
  • テナント募集と建物管理を一体で見直したい方
  • 満室後も安定した管理を続けたいビルオーナー

約1年間全空だった事務所ビルが、管理開始から約9か月で満室に

今回のビルは、完成後約1年間にわたり空室が続いていました。私たちが2025年12月から管理を引き継ぎ、まず1階へ自社で入居。その後、2階、3階、5階と成約が続き、最後に残った4階も契約へ進みました。

及川:最後に残っていた4階も契約書が固まり、あとは押印を待つ段階まで進みました

くっつー:1年間動かなかったビルが、管理を切り替えて約9か月で満室になったのは本当にうれしいですね

今回の事例で大きかったのは、募集条件だけでなく、仲介会社への対応と貸主との連携を一緒に見直したことです

満室までの期間は物件ごとに異なります。立地、賃料、建物の状態、市況が違うため、「9か月なら必ず埋まる」とは言えません。それでも、どのような順序で状況が動いたかを振り返ると、空室対策で確認したい実務が見えてきます。

満室化の成功要因は1つではない

今回の成約は、募集時期、仲介会社の協力、内見対応、貸主との判断共有が重なった結果です。単一施策の効果として一般化せず、自分の物件で止まっている工程を見つける材料にしてください。

満室までの9か月で起きたこと

管理を引き継いだ直後から、すべてが順調だったわけではありません。複数区画が続けて決まった時期がある一方、問い合わせが落ち着く時期もありました。

全体の流れは次の3段階です。

  1. 管理会社が1階へ入り、ビルに人の動きが生まれた
  2. 繁忙期に複数区画が決まり、その後は問い合わせが落ち着いた
  3. 7月ごろに内見が戻り、最後の区画が決まった

1. 管理会社が1階へ入り、ビルに人の動きが生まれた

管理開始時は1階を含めて全空でした。私たち自身が1階へ移転したことで、日常的に人が出入りし、貸主とも顔を合わせやすい環境になりました。

これは、どの空室ビルでも管理会社が入居すればよいという意味ではありません。今回の物件では、現地で建物の状態や内見対応を確認しやすくなったことが、貸主との連携や募集対応を進める土台になりました。

2. 繁忙期に複数区画が決まり、その後は問い合わせが落ち着いた

年明けから2階、3階、5階と成約が続きました。一方、事務所移転の動きが落ち着くと、問い合わせも減少しました。

及川:3月、4月は問い合わせが多かったのですが、その時期を過ぎると動きが落ち着きました

くっつー:事務所も決算や移転の時期によって、動きが強くなるタイミングがありそうですね

一時的に問い合わせが減ったからといって、物件に需要がないとは限りません。問い合わせ件数だけで判断せず、時期による波と内見後の反応を分けて確認することが大切です

3. 7月ごろに内見が戻り、最後の区画が決まった

春以降は動きが落ち着いたものの、7月ごろから再び内見が増え、最後に残った区画も契約へ進みました。

問い合わせが少ない時期には、賃料だけを急いで下げるのではなく、仲介会社へ物件情報が正しく届いているか、内見時に魅力を伝えられているか、貸主と判断材料を共有できているかを確認する必要があります。

成約につながった3つの実務対応

今回の満室は、私たちだけの集客で実現したものではありません。オフィスに強い仲介会社の協力、現地での対応、貸主の判断が重なった結果です。

特に効果を感じたのは、次の3つでした。

  1. オフィスに強い仲介会社と連携した
  2. ビルの良さと管理面の安心感を内見時に伝えた
  3. 貸主と管理会社が報告・提案を重ねた

1. オフィスに強い仲介会社と連携した

事務所を探している企業を現地へ連れてきてくれたのは、オフィス仲介に強い不動産会社の担当者です。管理会社が自社だけで借り手を探すのではなく、適切な仲介会社へ情報を届け、案内しやすい状態を整えることが成約機会につながりました。

及川:今回は、オフィスに強い不動産会社の方々が内見者を連れてきてくださったことが大きく、本当に感謝しています

仲介会社へ依頼した後も、反響や内見結果を受け取り、次の対応へ反映できる関係をつくることが重要です。

2. ビルの良さと管理面の安心感を内見時に伝えた

管理業務を始めた当初は、貸主側として内見者へどう対応すべきか、手探りの部分がありました。そこで、建物の良さを説明するだけでなく、入居後も相談しやすい管理体制だと感じてもらえる対応を意識しました。

及川:ビルの良さをきちんと伝え、安心できる管理会社だと思っていただけるよう対応を変えてから、成約が続くようになりました

入居希望者は、面積や賃料だけを見ているとは限りません。共用部の状態、問い合わせへの返答、入居後の連絡先なども、長く営業できる場所かを判断する材料になります。

内見は区画を見せる時間ではなく、入居後の管理まで含めた安心感を伝える機会です

3. 貸主と管理会社が報告・提案を重ねた

貸主とは日常的に顔を合わせ、毎月の報告書で状況を共有しました。募集結果を伝えるだけでなく、貸主の意向を確認しながら、次に何を変えるかを相談しています。

くっつー:及川さんが貸主の意向をくみ取りながら、「こうしていきませんか」と提案していた二人三脚の進め方が印象的でした

報告で必要なのは、問い合わせ件数の羅列だけではありません。どのような企業から反応があったか、内見後にどこが障壁になったか、条件や見せ方を変える必要があるかまで共有すると、貸主が次の判断をしやすくなります。

貸主と管理会社が同じ情報を持ち、募集条件と現場対応を一緒に調整できる状態が、空室対策を前へ進めます

管理会社を見直す時期や、仲介と管理を一体で任せる利点は、事業用物件の管理会社を選ぶポイントで詳しく整理しています。

月次報告は次の判断までセットにする

反響数だけでなく、内見後に止まった理由と、次に試す対応まで共有できると、貸主は条件変更の要否を判断しやすくなります。

満室は管理のゴールではない

すべての区画が決まったことは大きな節目です。ただし、ビル管理はここで終わりではありません。入居者からの相談、建物の維持、貸主への報告を続け、入居しやすい状態を守る必要があります。

くっつー:満室になって終わりではなく、この後はしっかり管理していく仕事が続きますね

及川:大切な資産をお預かりしているので、これからもきちんと守っていきたいです

満室を維持するには、問題が起きた時だけ動くのではなく、日頃から入居者と貸主の双方へ状況を共有することが欠かせません。

満室後も報告と対応を続ける

入居者対応、建物の維持、貸主への定期報告を継続し、次の退去や設備トラブルへ早く対応できる状態を保ちましょう。

よくある質問

Q
事務所ビルの空室は、どのくらいで埋まりますか?

A

物件ごとに立地、賃料、広さ、設備、市況が異なるため、一律の期間は決められません。今回の事例では管理開始から約9か月でしたが、期間だけを基準にせず、問い合わせ数、内見率、申込に至らない理由を分けて確認してください。

Q
問い合わせが減ったら、すぐ賃料を下げるべきですか?

A

時期による需要の波、仲介会社への情報到達、募集図面、内見時の印象などを確認してから判断します。賃料が相場と大きく離れている場合は見直しが必要ですが、問い合わせ減少の原因を確認せず値下げだけで対応すると、改善点を見落とす可能性があります。

Q
空室対策に強い管理会社はどう選べばよいですか?

A

事業用物件の仲介経験、内見後の報告、募集条件への提案、入居後の管理体制を確認しましょう。管理会社を見直す場面は、相談すべき4つのタイミングと選び方で詳しく解説しています。

Q
貸主は管理会社から何を報告してもらうべきですか?

A

問い合わせ件数だけでなく、問い合わせ元、内見数、検討中止の理由、仲介会社からの意見、次に試す対応まで確認すると判断しやすくなります。数字と現場の声をセットで共有してもらうことが重要です。

Q
管理会社が同じビルへ入居することは空室対策になりますか?

A

今回の物件では、現地対応や貸主との連携がしやすくなる効果がありました。ただし、すべての物件で再現できる方法ではありません。現地に常駐しなくても、内見対応の速さ、定期巡回、報告の仕組みを整えることで同じ目的を目指せます。

Q
テナント募集を相談する前に、何を準備すればよいですか?

A

物件図面、面積、賃料・共益費、引き渡し状態、使用可能な設備、業種制限、入居可能日を整理します。必要な項目は、不動産会社へ募集を依頼する前に準備したい書類と情報で確認できます。

事務所ビルの空室対策は、募集と管理を一体で見直そう

今回の事務所ビルは、約1年間全空だった状態から、管理開始後約9か月で満室になりました。繁忙期の動きだけに頼らず、仲介会社と連携し、内見時に建物と管理の安心感を伝え、貸主と報告・提案を重ねたことが成約につながっています。

空室が長引いているときは、賃料だけでなく、募集情報の届き方、内見対応、貸主と管理会社の情報共有を一緒に見直してください

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