\ 動画で見たい方はこちら /

「住宅で持っている物件を、店舗として貸せないか?」

商店街の路面に住宅利用の物件を持つオーナー様から、テナントの窓口へよく寄せられるご相談です。今回は、その答えに直結する成約事例として、神楽坂・徒歩1分・築40年のデザイナー邸を、1階2区画のスケルトンのまま2業種同時契約まで持ち込んだ実例を、運営側の目線で整理します。

広告掲載後すぐに問い合わせは8件。最初の1〜2組目で2区画とも決定するという、立地と借主の即断が重なった珍しいパターンでした。そしてその裏側には、未完成物件募集ならではの難所と、建築知識のある不動産会社が間に入る意味が、はっきりと見える現場がありました。

この記事では、住宅から店舗への用途変更を検討しているオーナー様に向けて、私たちが今回の現場で見た判断軸と準備のポイントを共有します。資料作成や情報整理だけでは終わらない、用途変更案件の進め方を整理する内容です。

この記事でわかること
  • 住宅を店舗として転用するときの実務判断(1階を店舗・2階は住宅で残す設計)
  • スケルトン・未完成物件のまま成約まで持っていく流れ
  • 借主からのインフラ系(電気・ガス・水道・動力)質問への答え方
  • 用途変更案件で建築知識のある不動産会社を選ぶ意味
  • 公式LINE・個別相談で何を伝えると話が進みやすいか
この記事がおすすめな人
  • 住宅で持つ物件を店舗として貸せるか検討中の方
  • 商店街の路面に住宅利用の物件を持ち用途切替を考えている方
  • スケルトン・未完成物件の募集に不安がある方
  • 用途変更を不動産会社に相談したい方

神楽坂・徒歩1分の住宅を1階2区画の店舗にした経緯

神楽坂・徒歩1分・築40年のデザイナー邸を、住宅から店舗にどう切り替えたのか。まずは物件の特異性と用途分割の判断から整理します。

今回の物件は、神楽坂駅から徒歩1分の角地に建つ築40年の邸宅です。打ちっぱなしコンクリートでオーナー様自身がデザインした建物で、近所では長らく「あれは誰が住んでいるのだろう」と謎の物件として知られていました。住宅としても、デザイン性の高い邸宅としても、ひと目で印象に残るタイプの物件です。

オーナー様は、店舗コマースの社長くっつーの大学時代の元教授で、建築のプロでもあります。物件の構造、設備、内装の意図まで自分で設計してきた方なので、「ここをこう使えば借り手がつくのではないか」という発想に踏み込みやすい立場の方でした。

設計判断として採用したのは、1階を2区画の店舗として募集し、2階は住宅のまま残す構成です。1階を路面店舗として2区画に分けることで、用途別に家賃を高く取りやすくし、2階の住宅収益と組み合わせて物件全体の収益を最大化する組み立てでした。

沓掛 一貴のアバター
くっつー

近所では本当に「あれ誰が住むんだろう」と思われていた物件でしたよね

及川 栞のアバター
及川

神楽坂・徒歩1分・築40年で、しかも打ちっぱなしコンクリートの邸宅です。住宅としても希少ですし、店舗としても目を引く立地でした

1階を店舗、2階を住宅のまま残す用途分割は、貸主が「家賃を高く取り、空室リスクを分散する」現実解になります。建物全体を一気に店舗化するのではなく、路面性のある1階だけを店舗、上層階は住宅という組み立て方は、商店街路面の住宅オーナーが最初に検討しやすいパターンです。

募集開始から同時契約までの流れ

募集開始から契約までの流れは、立地のチカラと借主側の即断が重なった珍しいパターンでした。問い合わせから契約までの数字を見ていきます。

広告を掲載すると、問い合わせは一気に8件入りました。「もう明日内見したい、今したい」という反応もあり、神楽坂という立地の集客力が反響に直結した形です。

そして驚いたのは、最初の1〜2組目で2区画とも申し込みが入ったことでした。以降も内見は続き5回ほど対応しましたが、あまりに反響が多くなったため途中で募集を止めています。

決まった業種は、1区画がワインバー、もう1区画が和食創作料理屋でした。借主はどちらも個人事業主で、これから法人設立を進めるタイミングです。スケルトン状態での契約に、これから事業を立ち上げる方が応じてくださったケースです。

及川 栞のアバター
及川

広告を出した瞬間に「もう明日内見したい」という連絡が複数入りました。1組目、2組目で2区画とも決まりまして、以降は内見を止めています

沓掛 一貴のアバター
くっつー

スケルトンで、しかも個人事業主の方が和食創作料理屋とワインバーで決まる。これは立地と物件の希少性が重なった結果ですね

契約は4月頭、同日に1時間ずらして2件続けて行いました。両借主とも5月のオープンを目指して内装工事に入っています。

同時契約成立の前提条件

立地のチカラ、物件の希少性、適切な広告タイミングが揃うと、未完成物件でも短期で複数区画が決まるケースがあります。今回は神楽坂・徒歩1分という立地に、デザイナー邸という希少性が乗り、広告掲載のタイミングがちょうど業種側の動き出しと合ったことで成立しました。

スケルトン・未完成物件募集の難所

スケルトンで未完成の物件を募集すると、内見ごとに完成図が変わって借主が混乱します。今回の現場で起きていたリアルを共有します。

スケルトンの状態で募集するということは、内装も完成しておらず、区画の仕切りもこれから決めていく段階で内見をすることになります。今回の現場では、内見に行くたびに新しい穴が開いていたり、後付けでドアが入っていたりという状態でした。借主としては「前に来たときと違う」と感じるのが普通です。

そのうえで、借主から出てくる質問は具体的です。「電気は引いてくれるのか」「ガスは何種類引かれるのか」「動力は引けるのか」といった、インフラの引込み範囲に関する確認が多くありました。完成形が見えないなかで、まず生活と事業の基本である電気・ガス・水道・動力をどこまで引き込んでもらえるかは、借主にとって最重要の確認事項です。

オーナー様と借主のあいだに立つテナントの窓口側は、その都度オーナー様へ確認を取り、借主へ返すという工程が増えます。一般的な物件募集よりも、現場での質問と確認のラリーが多くなるのが特徴です。

及川 栞のアバター
及川

内見に行くたびに「ここに穴開いてる」とか「扉が後付けされている」みたいなことが起きていました。完成図が見えないので、借主からの質問も具体的になります

沓掛 一貴のアバター
くっつー

完成形がないと、借主としてもイメージしづらいですよね。借主側からしたらリスクのある契約だったと思います

それでも借主が前に進む決断をしてくれた背景には、「ゼロから自分の店舗を作り出せる」という未完成物件ならではの魅力もありました。完成済みの物件にはない自由度と、神楽坂の立地が組み合わさったことで、リスクを上回るメリットが借主側に見えたケースです。

未完成物件募集で貸主が押さえるポイント

完成図は内見ごとに更新される前提で進めましょう。借主の不安をやわらげるには、インフラ引込みの範囲を貸主と借主のあいだで明確にし、現時点で借主へ提示できる情報の範囲を不動産会社に整理してもらうことが欠かせません。借主にとって「この情報は確定」「ここはこれから決まる」が区別できる状態を作ることが、未完成物件募集の前提です。

用途変更案件で建築知識のある不動産会社を選ぶ意味

借主の「電気・ガス・動力って引けるのか」という素朴な質問にすぐ答えられるかは、不動産会社の建築知識に依存します。今回の現場でその差が見えました。

未完成物件募集では、借主から出てくる質問の多くが、建築や設備の判断を含みます。電気はどこまで引かれるのか、ガスは都市ガスかプロパンか、動力電源は引けるのか、水道の引込み口はどこにあるのか。こうした質問は、不動産会社側が答えられないと、借主の不安が解消されないまま時間が過ぎていきます。

今回の現場でうまくいった理由のひとつは、オーナー様が建築のプロだったことです。借主からの質問にすぐ答えられる立場の方だったため、内見の場でその場で確認が完結し、借主の判断も早まりました。

関連するテーマとして、【実体験】内装会社トラブルの怖い話|テナント仲介・オーナーが知る工期遅延リスクも合わせて確認しておくと、内装工事会社と連携できる不動産会社を選ぶ意味がより明確になります。

及川 栞のアバター
及川

今回はオーナー様が建築の方だったので、こちらからの確認も早く返ってきました。これが建築に詳しくないオーナー様だったら、借主の質問にすぐ答えるのが難しい場面も出てきたと思います

沓掛 一貴のアバター
くっつー

オーナー様側に建築知識がない案件の場合、不動産会社側に知識がないと、借主の質問で話が止まってしまいますね

逆に言うと、オーナー様側に建築知識がないケースで、不動産会社側にも建築の引き出しがないと、借主の質問で会話が止まり、確認待ちで成約までの時間が伸びてしまうということです。用途変更案件では、建築知識を持った不動産会社と組むこと自体が、成約スピードに直結する条件になります。

テナントの窓口では、店舗向けの内装工事会社との連携体制を取っているため、用途変更案件で借主から出る技術的な質問にも、現場の感覚を持ったまま答えやすい立場です。今回の経験を踏まえて、住宅から店舗への用途変更を含めたリノベーション案件を、ひとつのメニューとして組み立てやすくなったと感じています。

用途変更を相談する不動産会社の選び方
  • 用途変更案件の経験があるか
  • 内装工事会社と連携できる体制があるか
  • 借主の建築系質問(電気・ガス・水道・動力)に即答できるか

住宅から店舗への用途変更を検討する方が今知っておくべきこと

今回の事例から、住宅を店舗として貸したい方が現実的に動くための前提を整理します。1階か2階かの判断と、相談する前の準備チェックです。

まず押さえておきたいのは、住宅から店舗への用途変更が現実的に成立しやすいのは、1階の路面に面した住宅だということです。路面性のある1階であれば、看板や店舗のファサードを通行人に見せやすく、業種選択の幅も広がります。2階のみを店舗化しようとすると、動線確保や看板の見え方の難易度が一気に上がり、業種の幅も狭くなります。

物件タイプ店舗化の現実性押さえるポイント
1階 路面の住宅高い周辺人通り、業種適合、間口広さ
1階+2階 全体中(用途分割で対応)1階店舗・2階住宅などの組み立て
2階のみ低い動線・看板の確保が難しい

商店街の路面で、現状住宅として使っている物件をお持ちのオーナー様は、店舗用途への切替検討の余地が十分にあります。今回の神楽坂事例も、もともと住宅としてオーナー様が住み、または所有していた邸宅を、1階だけ店舗にすることで物件全体の価値を組み直したケースです。

テナントの窓口では、今回の経験を踏まえて、店舗向けの内装工事会社との連携で「住宅から店舗へのリノベーション」をひとつの相談メニューとして組み立てています。物件の状態、用途変更後の家賃見込み、内装の範囲、インフラの引込み状況を整理したうえで、業種別の募集まで一気通貫で相談しやすい体制を目指しています。同時期に、店舗物件のADは必要?相場は何か月?大家が知るべき広告料の本音と決まりやすさのように、募集条件まわりも合わせて整理しておくと、相談時に話が早くなります。

店舗化を進める前のチェックリスト
  • 物件は商店街の路面で1階か
  • 用途変更後の家賃見込みと現状家賃の比較ができているか
  • インフラ(電気・ガス・水道・動力)引込みの現状を把握しているか
  • 内装の範囲(スケルトン渡しか造作付きか)の方針が決まっているか

よくある質問

Q
住宅で持っている物件を店舗として貸すには、どんな改装が必要ですか?

A

1階を店舗用に区画分けする改装と、用途に応じた内装範囲の決定が必要です。スケルトン渡しで募集して借主に内装を任せる方法、貸主が一定の造作までしてから募集する方法のどちらかを、物件と業種に合わせて選びます。今回の神楽坂事例では、スケルトン渡しで借主側の自由度を確保し、貸主側はインフラ範囲の整理を担う組み立てでした。

Q
2階だけを店舗に転用するのは現実的ですか?

A

動線確保や看板の見え方が難しく、現実的ではないことが多いです。階段だけで店舗に上がる動線、路面からの視認性、看板の設置場所がいずれも制約になります。住宅を店舗として貸す検討は、まず1階の路面性がある物件から優先するのが現実的です。

Q
スケルトンの状態のまま募集することはできますか?

A

可能です。今回の神楽坂事例も、内装未完成のまま2区画同時契約まで進みました。ただし、内見ごとに完成図が変わる前提で、インフラ範囲と現時点で提示できる情報を不動産会社に整理してもらうことが前提になります。借主に「ここは確定、ここはこれから決まる」が伝わる状態を作ることが、スケルトン募集の成立条件です。

Q
未完成物件で問い合わせから契約までの平均期間はどのくらいですか?

A

立地と物件特性によって大きく変わりますが、神楽坂の本案件では広告掲載後すぐに8件の問い合わせがあり、最初の1〜2組目で2区画とも決定しました。立地と業種マッチが揃えば、未完成物件でも短期決着になるケースがあります。

Q
用途変更を依頼する不動産会社はどう選べばいいですか?

A

用途変更案件の経験、内装工事会社との連携体制、借主からの建築系質問(電気・ガス・水道・動力)への即答力の3点を確認するのが基本です。住宅から店舗への用途変更は、資料作成だけで終わらず、内装と募集が一気通貫でつながる相談ができる相手を選ぶことが、成約スピードと品質の両面で重要になります。

まとめ:住宅を店舗として貸すなら、判断軸を持って動く

住宅を店舗として貸すという選択は、1階の路面性と2階の住宅併用で物件全体の収益を組み立てる現実解として、商店街路面のオーナー様が検討しやすいパターンです。神楽坂事例のように、立地・物件特性・広告タイミングが揃えば、未完成のまま2区画同時契約という結果まで見える組み立てが可能になります。

スケルトン・未完成物件のまま募集する場合は、完成図が内見ごとに変わる前提で進め、インフラ範囲と提示情報を不動産会社が整理することで、借主側の不安を抑えながら成約までつなげられます。「完成形がない」ことは、必ずしも募集の弱点ではありません。

そして用途変更案件の成否を分けるのは、建築知識と内装連携を持った不動産会社を間に置けるかどうかです。借主の素朴な質問に即答できる体制が、成約スピードに直結します。

  • 1階の路面性と2階の住宅併用で、用途別の収益最大化を組み立てる
  • スケルトン募集はインフラ範囲と完成図を不動産会社が整理することで成立
  • 用途変更は建築知識と内装連携を持つ不動産会社を選ぶことが成約スピードに直結
  • 商店街路面に住宅で持っている方は、店舗用途への切替検討余地が十分にある
  • 判断軸が整ったら、専門家への相談で 業種・面積・契約条件 を具体化する

自分の物件で店舗化が現実的かどうかを判断する材料が整ったら、次は実際の相談に進む段階です。「住宅を店舗として貸せるかどうか分からない」というオーナー様は、相談前メモのまま、テナントの窓口の公式LINEからご相談ください。