今回ご紹介するのは「空きテナント活用の新しい形」として注目が集まり始めている“オンラインクレーンゲーム専門倉庫”という業態です。皆さんは「オンラインクレーンゲーム」と聞いて、どんなビジネスを想像しますか?おそらく多くの方が初耳かもしれません。
実は今、空き店舗や元スーパー跡地といった大型物件を活用して、この新業態がひそかに拡大しています。しかもその主なターゲットは、日本国内ではなく海外のアニメファンというから驚きです。
物件を探す立場としても、オーナー様にご提案できる可能性が大きく広がる業態。今回は、実際に我々が現地で内見・商談したリアルな体験をベースに、オンラインクレーンゲームの仕組みや必要な物件条件、そして今後の可能性について、徹底解説していきます。
興味を持った方は、ぜひ最後まで読んでみてください。新しい視点からの空き物件活用法に、きっと驚かれるはずです!
この記事でわかること
この記事はこんな方におすすめ
新業態「オンラインクレーンゲーム」とは?スーパー跡地が人気の理由

最近案内した元スーパーの広大な空きテナントに、これまで見たこともないような珍しい業態の出店希望がありました。正直、最初に聞いたときは「それって本当に成立するの?」という印象でしたが、話を聞くうちに納得。
空き物件の新しい可能性を感じさせる内容でした。
スマホでリアルなクレーンゲームを操作!仕組みを解説
くっつー:やまやさん、こないだすごく珍しい業態の内見に行ったって聞いたんですけど。
やまや:そうなんですよ。あれ、ちょっとおもしろかったです。内見先が元スーパーで、めちゃくちゃ広かったんです。売り場面積は500坪くらいありました。
くっつー:500坪って、かなり広いですね。それで何をやるって話だったんですか?
やまや:オンラインクレーンゲームです。クレーンゲーム自体は知っていると思うんですけど、それをオンラインでやるんですよ。
くっつー:えっ、クレーンゲームをスマホで?それってどういう仕組みなんですか?
やまや:スマホのアプリで操作すると、実際のクレーンゲーム機が遠隔で動くんです。倉庫のようなスペースに複数のクレーンゲーム機が並んでいて、それぞれに3〜4台のカメラが付いてます。ユーザーはアプリ上でその映像を見ながらレバーを操作するんです。
くっつー:へえ、カメラ切り替えて角度も見られるんだ。
やまや:そうそう。で、うまく取れたら景品は実際に自宅に配送されるんですよ。
くっつー:それ、すごい仕組みですね(笑)。お客さんは来店しないわけだから、完全に倉庫みたいな使い方ですよね?
やまや:そうなんです。物件内に人の出入りはないので、いわば「無人店舗」みたいな感じです。

オンラインクレーンゲームとは、スマホアプリを通じて実際のクレーンゲーム機を遠隔操作し、取得した景品を自宅に配送してもらう仕組みのエンタメサービスです。近年は物流システムや通信環境の進化により、国内外で利用者が増加。テナントとしての最大の特徴は「人の出入りがほぼない」点であり、空き倉庫や大型テナントの再活用に適しています
倉庫としてのニーズと物件に求められる条件
くっつー:ってことは、店舗じゃなくて倉庫を借りるってイメージですよね?
やまや:そうですね。でもただの倉庫じゃダメで、けっこう設備が必要なんです。
くっつー:例えば?
やまや:まず、ゲーム機本体を置くスペースが必要ですし、景品の保管場所も必要です。あと、発送作業をするための作業スペースも必要ですので、ワンフロアである程度広さが求められます。
くっつー:なるほど。あと電力もすごく使いそうですね?
やまや:それ、言ってました。高圧電力が必要になるって。だからスーパーの跡地って、そういうインフラが最初から整っててちょうどいいらしいです。
くっつー:確かに普通の倉庫だと、そういう電力は弱いこと多いですもんね。

オンラインクレーンゲーム運営には、クレーン機器の稼働に伴う高圧電力供給が必須です。また、景品管理と発送作業を効率的におこなうため、広いフロアと作業動線が重要になります。元スーパーのような商業施設跡はこれらの条件を満たすため、優良な候補地になります
集客ターゲットは海外ユーザー?想定外のニーズがヒット中

内見の際に特に印象的だったのは、オンラインクレーンゲームの主な利用者が「日本人ではない」という点です。てっきり国内ユーザー向けかと思いきや、実際は海外からのアクセスが多く、日本のアニメグッズを景品にすることで高い需要を獲得しているとのこと。
これは、空きテナントを活かすだけでなく、越境ビジネスとしても可能性を秘めたモデルです。
なぜ海外から人気?日本アニメグッズの需要とは
くっつー:でもさ、オンラインでクレーンゲームって、そんなにやる人いるのかな?正直僕、ゲーセンとかでもあまりやらないタイプなんですけど(笑)。
やまや:わかります(笑)。僕もクレーンゲームが苦手なんで。でもね、ターゲットは日本人じゃないんですって。
くっつー:え、日本人じゃないの?
やまや:そう。海外のユーザーが中心なんですよ。景品が日本のアニメグッズなんです。
くっつー:あー、なるほど。それでか!海外だと日本のアニメキャラってめちゃくちゃ人気ありますもんね。実際にマレーシアに行ったときも、現地の人が「鬼滅の刃」とか「チェンソーマン」とかのアニメのコスプレをしていたりしてましたからね。アニメ文化がしっかり根付いているんですよ。
やまや:そういうニーズにちゃんとハマっているんですね。

日本のアニメグッズは世界的に高い人気があり、特に東南アジア圏や欧米の若年層から根強い支持を受けています。オンラインクレーンゲームの景品をそれらのアイテムに設定することで、海外ユーザーからのアクセスと課金を獲得するモデルが確立されてきました。
スタッフ最少・24時間稼働の効率型運営とは?
くっつー:でも、それだけ機械が動いているなら、多くのスタッフが必要になるんじゃないですか?
やまや:そこもすごく効率化されてました。基本的にトラブル対応だけで、常駐は1人でもいいらしいです。24時間稼働だけど、お客さんが来るわけじゃないんで。
くっつー:なるほど。照明とか清掃とかも最小限で済むわけですね。
やまや:しかも作業の一部は、障がいをお持ちの方の雇用機会として活用されているそうです。景品のピックアップや発送作業を担当してもらっているとのことで、そういう面でも社会的に意義のある事業でした。
くっつー:それは素晴らしいですね。人件費が抑えられて、かつ雇用創出にもなっているって、理想的。

オンラインクレーンゲームの運営は「人の出入りがない」「営業時間に縛られない」「トラブル時のみ対応」という特徴から、非常に人件費効率の良いビジネスです。また、発送作業などを福祉的な雇用枠に割り当てるケースも増えており、企業の社会的責任(CSR)やSDGsにも対応したモデルとして評価されています
大規模物件オーナーに広がるチャンスと今後の展望

今回のオンラインクレーンゲーム業態は、単にユニークというだけでなく「人の出入りがなくても成り立つ」「高収益モデル」「社会的意義がある」など、空きテナント活用においても多くのメリットがありました。
特に、大型テナントの活用に悩むオーナー様にとっては、思わぬ角度から新しい可能性を感じられるはずです。
大きな空きテナントの活用法としての可能性
くっつー:で、その内見した物件って、実際どうなったんですか?
やまや:そこは最終的には条件が合わなかったんですけど「ほかに広いところないですか?」ってすごく前向きに探してました。
くっつー:そういう業態が実際に物件を探しているってことは、オーナーさんにとってもチャンスですよね。
やまや:そうなんです。最近、僕も「広い物件ありますか?」って聞かれることが増えてきて。大きいところって空きやすい反面、活用が難しいじゃないですか。
くっつー:確かに。広すぎて店舗にもできず、そのまま放置されている物件ってよく見ますよね。
やまや:でも、こういう業態が出てくると、逆に「広さ」が強みになるんですよね。まさに逆転の発想です。

商業用大型物件や元スーパーなど、これまでテナント誘致が難しかった広大な空き物件に対しても、オンライン型の業態はマッチしやすくなっています。人の出入りを前提としないビジネスモデルであれば、立地条件や駐車場の有無に関わらず出店が可能です。今後の空きテナント活用における「広さ重視」の新たな潮流と言えるでしょう
「オンラインクレーンゲーム」が生む雇用と社会的価値とは?
くっつー:「オンクレ」って略して言うんですね。流行りそう(笑)。
やまや:そうなんですよ(笑)。今後2026年くらいには一気に伸びるんじゃないかって言われてますし、障がい者雇用にもつながっているのがすごく良いなと感じました。
くっつー:雇用って面から見ても、かなり時代に合ってますよね。省人化と社会貢献が両立できるって強い。
やまや:あとは、アプリ主体の業態だからリスクもあるんです。たとえば、アプリストアのルール変更とかね。でも、それを理解した上で事業として成立させているのはすごいです。
くっつー:テナントとして貸す側としても、理解しておくべきですね。
やまや:そう。派手な看板とかもいらないし、目立たない場所でもできるから、空いている物件の再活用にはぴったりだと思います。

オンラインクレーンゲーム業態は、アプリと物流を組み合わせた効率的なビジネスでありながら、社会的な意義も大きい点が特徴です。特に、障がい者の方々に対する雇用創出や、テナント誘致が難しいエリアでの活用が可能という点で、時代に即した業態と言えるでしょう
この記事から学べる5つのポイント

1. オンラインで成立する新たな無人店舗モデル
スマホアプリを通じてリアルなクレーンゲーム機を遠隔操作できる仕組みにより、ユーザーは自宅から気軽に参加可能。人の出入りを必要としない「無人運営」が可能なため、物件の立地や外観に左右されず導入できる点が大きな強みです。
2. 商業インフラが整った大型物件が狙い目
オンラインクレーンゲームの運営には、高圧電力・広いフロア・景品や作業スペースなどが必須条件。そのため、元スーパーなど商業施設の跡地はインフラが整っており、最適な候補地となります。
3. ターゲットは海外アニメファンという新しい市場
景品に日本のアニメグッズを活用することで、ターゲットは日本人ではなく海外のファン層へ。越境EC的な構造を持ち、国内では埋もれがちな物件でも、グローバルな収益モデルが成立する可能性があります。
4. 少人数運営と社会貢献が両立できる体制
無人で稼働する運営体制により、常駐スタッフは最小限。そのうえで、発送作業などを福祉的な雇用に活用する企業もあり、CSRやSDGs対応の観点からも評価される業態となっています。
5. 空き物件活用の新潮流として注目
従来活用が難しかった「広すぎるテナント」や「目立たない立地」の物件にも、オンライン業態であれば適応可能。空き物件の用途を広げる新たな選択肢として、不動産オーナーにとって大きなチャンスとなるでしょう。