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テナント募集をしていると、「この物件は立地が良いのか」「どんな業種なら入るのか」で悩む場面があります。

駅前だから良い、人通りが多いから良い、ロードサイドだから強い。そう考えたくなるものの、店舗の立地はそれだけでは決まりません。

この記事では、物件を貸すにあたって「どういうテナントが入るのか」「どのような企業に貸したら、その物件にとって良いのか」と迷っている貸主・物件オーナーに向けて、立地調査のプロに深掘りして話を聞きました。

大切なのは、そこを使うお客さんにとって便利かどうかです。この記事では、株式会社福徳社 取締役の加藤さんとの対談内容をもとに、貸主・物件オーナーが知っておきたい立地の見方を整理します。

ゲスト紹介

今回のゲストは、株式会社福徳社 取締役の加藤さんです。日本マクドナルドでの意思決定支援や、年間600〜700件の出店レポート実績などを持つ、立地調査・出店判断の専門家です。

この記事でわかること
  • 店舗にとって良い立地の考え方
  • 業種によって立地評価が変わる理由
  • 貸主がテナント候補の「売れる理由」を確認するポイント
  • FCや新興チェーンの出店で注意したいこと
この記事がおすすめな人
  • 空きテナントに何を入れるべきか迷っている方
  • 自分の物件の強みを言語化したいビルオーナー
  • 駅前や人通りだけで立地を判断してよいか不安な方
  • テナント候補の出店判断を貸主側でも理解したい方

良い立地は「誰にとって便利か」で変わる

良い立地は、すべての業種に共通する絶対条件ではありません。

駅前の一等地は魅力的に見えますが、どの店舗にとっても最適とは限りません。カフェや物販のように、通りがかりで利用されやすい業種なら目立つ場所が強みになります。

一方で、整骨院や予約型サービスのように、目的を持って通う業種では見方が変わります。利用者が自宅から来るのか、職場帰りに寄るのか、車で来るのかによって、便利な場所は違うからです。

どんな業種の出店意欲が高いのかを先に把握したい方は、2025年版|テナント出店意欲が高い業種ランキング前編後編も参考になります。業種ごとの動きが分かると、立地を見るときの解像度も上がります。

くっつー:良い立地って、結局どんな場所なんですか?

加藤さん:誰が決めるかが大事です。最終的には、その店を使うお客さんにとって行きやすいかどうかですね。

くっつー:マクドナルドにいた時は、物件取得のような仕事だったんですか?

加藤さん:出店するかどうかを判断するために、立地や商圏を調べて意思決定を支える仕事でした。店舗にとって良い場所かどうかは、感覚ではなく、お客さんの動きから見ていきます。

貸主側も、この視点を持っておく必要があります。自分の物件が良い立地かどうかは、入る業種と利用者の動きまでセットで見て初めて判断できます

貸主がテナントの「ここで売れる理由」を確認する3つのポイント

テナント物件の立地を見るときは、「場所が良いか悪いか」だけで考えると判断が粗くなります。

貸主が確認したいのは、「このテナントは、なぜこの場所で売れると考えているのか」です。立地調査の考え方を貸主側でも持っておくと、出店希望者の説明を聞くときの判断がしやすくなります。

お客さんはどこから来るのか

まず見るべきなのは、その業種のお客さんがどこから来るのかです。

たとえば、仕事帰りに寄る店舗なら駅やオフィスからの動線が重要です。日常的に通うサービスなら、住宅地からの距離や自転車・車での来やすさが効いてきます。目的来店が強い業種であれば、多少奥まった場所でも成立する可能性があります。

くっつー:同じ「店舗」でも、お客さんがどこから来るかで評価が変わるんですね。

加藤さん:そうです。人通りの量だけではなく、その人たちが本当にお客さんになるのかを見ます。

その場所を利用する理由があるか

次に、その場所をわざわざ利用する理由があるかを確認します。

駅前で目立つから強い業種もあれば、予約して行くため視認性より通いやすさが重視される業種もあります。カフェや物販のように通りがかりの利用を取り込む店舗と、整骨院・美容・スクールのように目的を持って来店する店舗では、必要な立地条件が違います。

貸主側は「この物件の前を人が通るか」だけでなく、「その人がこの店舗を使う理由があるか」まで考えておくと、テナント候補との会話が具体的になります。

競合が増えても選ばれるか

最後に、競合が増えたときにも選ばれるかを見ます。

新しい業態や人気業種は、短い期間で近隣に似た店舗が増えることがあります。競合が少ないうちは成り立っていても、選択肢が増えると、利用者はより便利な場所、見つけやすい場所、入りやすい場所へ流れやすくなります。

貸主にとって大切なのは、テナントが「出店したい」と言っている理由を確認することです。なぜこのエリアなのか、どの利用者を想定しているのか、競合が増えたときにどう選ばれるのか。ここまで聞けると、短期的に埋めるだけでなく、長く続くテナントかどうかも見えやすくなります。

物件の評価は「場所単体」で行わない

業種、利用者の動き、競合環境をセットで見ることが重要です。

駅前・人通り・ロードサイドを過信しない

駅前だから強い、人通りが多いから埋まりやすい、ロードサイドだから何でも入る。こうした判断は、分かりやすい反面、危険もあります。

人通りが多い場所は、認知されやすいという意味では強みです。ただし、その人たちが本当にその店舗を利用するかは別問題です。

ロードサイド店舗でも、車で入りやすいか、駐車場が使いやすいか、周辺に目的来店が生まれる施設があるかで評価は変わります。

ロードサイド立地の考え方をもう少し深めたい場合は、ロードサイド物件が選ばれる理由もあわせて確認しておくと、駅前とは違う評価軸をつかみやすくなります。

くっつー:駅前の物件なら、どの業種でも良い立地と言えるんでしょうか?

加藤さん:そうとは限りません。業種によって、お客さんが求める便利さが違います。

貸主としては、物件の強みを一言で決めつけないことが大切です。駅前、人通り、ロードサイドといった条件は、業種との相性を見て初めて武器になります

競合が増えるほど便利な場所が選ばれやすい

新しい業態や流行している業種は、短期間で店舗数が増えることがあります。

競合が少ないうちは、少し不便な場所でも利用者が来てくれるかもしれません。しかし、同じ業種が増えると、利用者は自然と便利な場所を選びます。

24時間フィットネスのように一気に出店が増えた業種では、近くに似た店舗が増えたとき、どの場所が残りやすいかを考える必要があります。

これは貸主にとっても重要です。出店したいと言ってくれるテナントが現れたとしても、その業種がその場所で長く続くかは別問題だからです。

「出店したい」と「長く続く」は別です

短期的にテナントが決まることだけを優先すると、数年後の退店リスクを見落とすことがあります。競合が増えたときに選ばれる場所かどうかも確認しておきましょう。

FCや新興チェーンの出店判断で貸主が見るべきこと

FCや急拡大中のチェーンでは、本部だけでなくFCオーナー側の判断で物件が選ばれることがあります。

その場合、短期的な採算や初期費用の見え方が優先され、チェーン全体としての立地戦略が弱くなることもあります。

貸主側から見ると、出店希望が来ること自体はありがたい話です。ただし、相手がどのような立地基準でその物件を選んでいるのかは確認した方が安心です。

確認したいのは、次のような点です。

  • なぜこのエリアに出したいのか
  • どんな利用者を想定しているのか
  • 競合をどう見ているのか
  • 駐車場、視認性、導線をどう評価しているのか
  • 既存店ではどんな立地で成功しているのか

貸主側も立地の見方を持っておくと、テナント候補との会話が「借りるか借りないか」だけで終わらなくなります

実際にどんな店舗が決まり、開業まで進んでいるかを見ることも、貸主にとっては判断材料になります。募集会社の実績を見る視点は、店舗開店報告から見るテナント募集の実績でも整理しています。

よくある質問

Q
立地調査のプロに相談すると何が分かりますか?

A

駅前・人通り・交通量だけでなく、その業種のお客さんがどこから来て、なぜその場所を利用するのかまで整理しやすくなります。出店意欲が高い業種の動きも合わせて見ると判断しやすいため、詳しくはテナント出店意欲が高い業種ランキング前編後編でも解説しています。

Q
駅前の物件ならどんな業種にも向いていますか?

A

向いているとは限りません。通りがかりで利用される業種には強みになりますが、予約型や目的来店型の業種では、駅前より生活動線や駐車場の方が重要になることもあります。車で来店する業種の考え方は、ロードサイド物件が選ばれる理由でも紹介しています。

Q
貸主はテナント候補に何を確認すればよいですか?

A

「なぜこの場所で出店したいのか」「どんな利用者を想定しているのか」「既存店ではどんな立地で成功しているのか」を確認しておくと安心です。実際の開店事例を見ると質問の解像度が上がるので、詳しくは店舗開店報告から見るテナント募集の実績も参考になります。

Q
FCテナントから申し込みがあれば安心ですか?

A

必ずしも安心とは言えません。FC本部と加盟店側で立地判断の精度が違うことがあります。なぜその物件を選ぶのか、競合や利用者をどう見ているのかを確認しましょう。

Q
空き区画に合う業種はどう考えればよいですか?

A

面積、視認性、導線、周辺人口、競合、駐車場、利用者の目的を整理します。そのうえで、物件条件と業種特性が合うものから優先して検討すると判断しやすくなります。

まとめ:良い立地は業種と利用者から逆算する

良い立地は、駅前や人通りだけで決まるものではありません。

その業種のお客さんがどこから来て、なぜその場所を使い、競合が増えたときにも選び続けるのか。ここまで見ることで、物件の本当の強みが見えやすくなります。

貸主側が立地の見方を持っておくと、テナント募集でも、出店希望者との会話でも、判断の精度が上がります。短期的に埋めるだけでなく、長く続くテナントを選ぶためにも、業種と利用者の動きから逆算して考えてみてください。

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