テナント経営をしていると、こんな疑問を持ったことはありませんか?「毎月の家賃以外に、もっと安定的に収益を増やす方法ってないの?」そんなオーナーの悩みに応えるべく、今回の対談では実際に店舗不動産を扱う「くっつー」と「やまや」が、賃料以外の収益源についてリアルな実例とともに語ります。

この記事を読むことで、今すぐ実践できる「+αの稼ぎ方」を知ることができるはずです。
看板料、駐車場代、初期費用から造作譲渡まで知らなきゃ損する収益のヒントをお見逃しなく。

この記事でわかること

  • 賃料以外の収益アイデアと実例
  • 看板料・駐車場代・造作譲渡などの具体的金額感
  • オーナーとしての利益とテナント負担のバランスの取り方

この記事はこんな方におすすめ

  • 空きテナントがあり、収益化に悩んでいるオーナー
  • 賃料以外のキャッシュポイントを知りたい不動産所有者
  • 今後テナント経営を始めたいと考えている方

オーナーが賃料以外で収益を得るアイデアとは?

テナントオーナーとして家賃収入は当然ですが、それだけでは収益の限界もあります。ここでは、オーナー目線で見逃しがちな「+αの稼ぎ方」を紹介します。

共益費だけでは利益にならない理由

やまや:オーナーさんって、家賃以外で何か収益ってあるのかな?って、よく聞かれますよね。実際、賃料と共益費くらいしかないって思われがちで。

くっつー:そうですね。共益費は本来建物管理のための費用であり、利益にはなりにくいです。管理費が少額でも、差額を利益とするのは不適切ですからね。

やまや:そうですよね。あくまで「建物を維持管理するため」の費用という位置づけなので、それをあてにしすぎると本末転倒になりますね。

くっつー

共益費は「利益」ではなく「維持管理費」。もらった金額が多くても、その分建物の清掃や修繕に回すのが本来の目的です。共益費を収益源にしようとすると、テナントからの信頼も損なわれやすく、長期運用には向きません

この章のまとめ
  • 共益費は管理目的であり、利益としてカウントしづらい
  • 実質的なインカムにはなりにくい
  • 共益費を収益と捉えるとテナント満足度に影響が出る

看板料で月額5千円〜1万円の追加収益に

収益化の第一歩として、意外と見落としがちなのが「看板料」です。
実はテナントの広告需要を活かせば、オーナーにとっても立派な収益源になります

くっつー:でも、実はオーナーさんにとって嬉しい“プラスの収益”っていくつかあるんですよね。たとえば看板料。これはかなり現実的ですね。テナントさんから「ここに看板を出したい」って話になると、そのスペース使用料として月1万円とか設定できるんですよ。

やまや:しかも、テナントにとっても納得感ありますよね。「自分の会社のためだけの広告スペース」として考えれば、高くないですから。

くっつー:建物の設計段階から「ここに看板が出せるよ」って計画しておくと、提案しやすいですしね。

くっつー

看板料は、月額5千円〜1万円の安定した副収入として有効。特にロードサイドや視認性の高い立地ではテナント側のニーズも強い。オーナー側が主体的に設計・提案すれば、テナントにとっても魅力的なオプションになります。看板制作業者との提携で付加価値を高める事例も

この章のまとめ
  • 月5千円〜1万円の看板料は現実的な追加収益
  • テナントも広告目的で設置したいニーズがある
  • 看板設置を前提に建物設計や業者提携すると効果的

駐車場・敷地使用料の有効活用術

建物に併設された駐車場や敷地スペースは、使い方次第で思わぬ収益源になることもあります。
特に駅前の物件を所有しているオーナーにとっては見逃せないポイントです。

駅前物件なら1台月1万円も可能な駐車場収入

くっつー:もともと駐車場の多い店舗には難しいですが、駅前など駐車場が少ない立地なら「ここしかない」と借りる需要があります。実際に1台1万円で企業に貸し出し、月2万円の収入があったこともあります。

やまや:駐車場代は賃料に含めて設定するのと、別に設定するのではどちらがいいですか?

くっつー:オーナーさん目線であれば私は別のほうがいいと思います。駐車場代を賃料に含めるよりも、別料金のほうが感覚的に払いやすいっていうのもありますね。基本プランにオプションをつけていく感じ。結果的に高くなっても、納得してもらいやすいです。

くっつー

駅前や都心部では駐車場需要が高いため、1台あたり月1万円以上で貸し出すことも可能です。賃料に含めるより、オプション的に分けるほうが心理的なハードルが低く、契約がスムーズに進むケースが多くあります。周辺の相場を調べて価格設定するのがポイントです

この章のまとめ
  • 駅前立地の駐車場は1台1万円以上で収益化可能
  • 駐車場代を賃料とは別に設定すると収益が見えやすい
  • テナント側の納得感も得られやすい仕組み

店舗前スペースの「全面使用料」も設定できる

駐車場だけでなく、店舗前の敷地も工夫次第で活用できます。「全面使用料」として別途料金を設定する事例もあるんです。

くっつー:これちょっとレアケースで、1階の路面店に限った話ですが「前面使用料」をとれたケースがありますね。3階建のビル前面の、店舗と道路の間の敷地部分の使用料でとれたことがあります。

やまや:そこは何をするんですか?

くっつー:何かディスプレイをするんですよ。ここは普通無料ですることがおおいですが、使用料をとっていたオーナーもいます。あまり良くはないですが……。

やまや:それだけの価値がある土地だったら納得感はありますね。

くっつー:そういう意味なら、それもありですね。

くっつー

「全面使用料」とは、建物の前面スペースをテナントが自由に使うための料金。看板設置や商品のディスプレイなど用途はさまざま。特に視認性の高い立地では、広告効果があるためテナント側も納得しやすく、オーナーにとっても手堅い副収入になります

この章のまとめ
  • 路面店舗では店舗前スペースも収益化できる
  • 「広告価値」がある場所として使用料を設定する例も
  • 通常無料と思われがちなスペースでも、工夫次第で活用可能

初期費用・契約時の収益チャンスとは?

ランニングでの収益だけでなく、テナント入居時の初期契約でも収益を得られる場面は意外と多いです。礼金や保証会社との提携、造作譲渡といった収益ポイントについて見ていきましょう。

礼金・保証会社の紹介料もキャッシュポイントに

やまや:やっぱり一番最初の入居の段階って、一番キャッシュポイントがある気がしますよね。

くっつー:そうですね。礼金1か月とか2か月っていうのがまずありますし。オーナーさんの手元にしっかり入る収入です。仲介会社との分配の話はありますが、基本的に1か月分はオーナーが確保できますよね。

やまや:あと、家賃の保証会社ですかね?

くっつー:そうですね。店舗の不動産の仲介会社が、紹介料をいただくケースが多いですね。保証会社を使ったときに一部紹介料が入るケースもあります。

くっつー

礼金はテナントからオーナーへ支払われる契約時の一時金で、実質的な利益になります。また、保証会社を通すことで、オーナーが紹介料を受け取られるケースもあります。初期契約の設計次第で、一度に数十万円の収益化も可能です

この章のまとめ
  • 礼金はオーナーにとって確実な初期収入
  • 保証会社の紹介料で数万円の追加収益も期待できる
  • 契約設計を工夫することでまとまった収益が得られる

造作譲渡で設備価値を利益に変える方法

テナントの入れ替え時、店舗設備をそのまま次の入居者に引き継ぐことで、収益につながる場合があります。これが「造作譲渡」です。

やまや:造作譲渡って、今のテナントさんが残した設備を、次のテナントさんに買ってもらう仕組みですよね?

くっつー:そうですね。例えば厨房機器やカウンター什器とか、100万円相当の設備がそのまま残っていて、それを20〜30万円で買い取ってもらうような形です。

やまや:今までは居抜きで借りた人が払うのが一般的だったけど、オーナーさんが設備の所有権を持っているなら、それも利益にできますよね。

くっつー:そうなんです。造作譲渡っていうと、前のテナントと次のテナントの間でやることが多いんですが、オーナーが主体でも構わないんです。

やまや:無償で設備を残して貸してあげるって人も多いですけど、これも工夫次第ではお金になるんですね。

くっつー

造作譲渡とは、前テナントが残した内装や設備を次のテナントに引き継ぐことで、オーナーまたは前テナントがその対価を受け取る仕組みです。オーナーが所有している場合、それを適正価格で譲渡すれば、一時的な収益源となります。特に飲食や美容系テナントで需要があります

この章のまとめ
  • 内装や什器備品を引き継ぐ造作譲渡は収益化できる
  • オーナー所有なら直接収入を得ることも可能
  • 飲食・美容業種でニーズが高く、適正価格設定がカギ

収益拡大のために大切な「バランス感覚」

収益源を増やすことはオーナーにとって魅力的ですが、それと同じくらい大切なのが「テナントとの関係性の維持」です。強引な収益化は、長期契約や満室経営に悪影響を与えることも。収益と信頼のバランスを考えることが成功のカギです。

テナント側の負担増は早期退去のリスクも

くっつー:こうして色々な収益源の話をしてきましたけど、やりすぎると逆効果ってこともありますよね。

やまや:そうなんです。例えば駐車場代・看板料・全面使用料すべてにお金を取っていたら、テナントさんからすると「結局家賃以外に色々かかっているじゃん……」ってなるんですよね。

くっつー:その結果、せっかく契約しても1年とか2年で撤退されちゃうこともある。早期退去は本当に痛いです。

やまや:だから、多少の収益化は大事なんですけど、やりすぎないのがポイント「このくらいなら納得してもらえるな」ってラインを見極める力が必要です。

くっつー

短期的な収益を優先しすぎると、テナントの満足度が下がり、空室率の上昇や退去リスクにつながる恐れがあります。収益と顧客満足の両立を意識し「継続的に契約してもらえる物件づくり」が重要です

この章のまとめ
  • 収益源の増加はテナント負担と紙一重
  • 短期的利益よりも長期的信頼を優先すべき
  • バランス感覚がオーナー経営の成否を分ける

無理なく収益を伸ばすためにできること

くっつー:だから結局、オーナーとして一番いいのは「無理なく、でもしっかり稼げる仕組み」を作ることなんですよね。

やまや:そうですね。今お話ししたような看板料や駐車場、礼金や造作譲渡といったものを「自然に組み込める形」で活用していくのがベストです。

くっつー:逆に、広告費とか集客支援みたいな部分は、あんまりオーナー側が介入しすぎるのは良くないと思います。

やまや:はい。店舗運営や集客は基本的にテナントの仕事ですからね。オーナー側は、安定して長く使ってもらえる環境整備が役割だと考えます。

くっつー:収入源を増やす視点に悩んでるオーナーさんがいらっしゃれば、僕らのところにご相談ください。

やまや:本当に。無理せず収益を伸ばす視点、大事です!

くっつー

収益を増やす際は「自然に受け入れられる仕組みづくり」が肝心です。テナントの業務に踏み込みすぎず、あくまで設備やスペースに関する部分での付加価値提供が好まれます。無理のない設計で、長期的な信頼と利益を両立させましょう

この章のまとめ
  • 収益源は「自然に受け入れられる仕組み」にする
  • テナントの本業には介入しないのが基本姿勢
  • 安定した契約継続を第一に設計することが大切

ご相談はお気軽に。

もし、現在空きテナントがあって「どう収益化すればいいかわからない」という方がいらっしゃいましたら、ぜひ私たちにご相談ください。バランスの取れた収益設計や、物件に合った活用アイデアをご提案いたします。

お問い合わせは、下記の概要欄からどうぞ。本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。次回の対談もお楽しみに。

この記事から学べる5つのポイント

テナントオーナーとして収益を最大化するには、日々の賃料収入だけに頼らず、物件の特性や契約設計を活かした多角的な視点が欠かせません。以下の5つのポイントを押さえておくことで、安定的かつ持続可能な運用が可能になります。

1. 共益費は管理費であり、安易な収益源としないこと

共益費は建物の維持管理を目的とした費用です。収益目的で設定しすぎると、テナントとの信頼関係を損なう恐れがあるため、原則として利益化は狙わず適正に活用しましょう。

2. 看板料や前面使用料はテナントの広告ニーズと結びつける

視認性の高い立地では、看板スペースや敷地前面の使用を価値ある広告として位置づけることで、月額5千円〜1万円の安定収益が期待できます。設計段階から活用前提で準備するのが効果的です。

3. 駐車場代はオプションとして分けて設定する

駐車場が希少な立地では1台1万円以上の収益化も可能です。賃料と一括で提示するより、オプション料金として提示するほうが納得されやすく、心理的な負担も少なくなります。

4. 初期費用の設計で礼金・保証料・造作譲渡を収益化

契約時には礼金、保証会社の紹介料、そして内装や設備を引き継ぐ造作譲渡など、複数のキャッシュポイントがあります。これらを契約内容に自然に組み込むことが収益化のコツです。

5. 長期的な信頼を重視し、収益とのバランスを保つ

いくら収益を増やせても、テナントが早期退去すれば本末転倒です。負担がかかりすぎない設計を意識し、オーナーとテナント双方にとって納得できる関係構築が最も重要です。