今回は、ロードサイド物件でよくある「駐車場が足りない!」という悩みにフォーカスします。物件を探しているテナント側から「駐車台数が少ないと出店できない」と言われた経験はありませんか?
私たちも現場でよく直面する課題ですが、実は「少ない駐車場」でも工夫と視点を変えることで成約につなげることができます。「駐車場がネックで話が進まない……」「物件は良いのに、台数不足で断られる……」そんな悩みを抱えるオーナーさんにとって、この記事はきっと役立つはずです。
テナント誘致を成功に導くために必要な考え方や、現場で実践している交渉術などをたっぷり紹介します!
この記事でわかること
この記事はこんな方におすすめ
テナント誘致における「駐車場数」の重要性とは?

まずは、なぜ駐車場の台数がテナント選定に直結するのかについてお話しします。実際の相談例をもとに、ロードサイドでよく起きる課題とその背景に迫ります。
駐車場が足りないとテナントが決まらない?
やまや:最近、特にロードサイド物件でよく聞かれるのが「駐車場、足りないよね」って声なんですよ。
くっつー:わかります。テナントを紹介するときに「駐車場が5台しかない」ってなると、それだけで話が進まなくなるケースもありますよね。
やまや:そうそう。実際、お客さんのほとんどが車で来る業態だったりすると、駐車場の台数って本当に死活問題になりますから。
くっつー:しかも、それで「近くに空いている土地とかないの?」って聞かれるんですけど、オーナーさんから「ここなら使えるよ」って情報が出てくることって意外と少ないですよね。
やまや:それ、もったいないと思うんですよ。実際オーナーさんのご近所の知り合いが空き地を持っているとか、裏手に親族の土地があるとか、そういう情報があれば交渉も進めやすいですからね。

ロードサイド物件は「駐車場ありき」で成り立つケースが多く、テナント側は台数に非常に敏感です。特に飲食やドラッグストア、クリニックなどは「車社会」を前提に出店を考えるため、駐車場の不足は直接的にNG要素となります。オーナーが自分の敷地だけにとらわれず、周辺環境にも目を向けることが重要です
周辺の土地も駐車場候補に?オーナーができる + αの工夫
くっつー:なかには自分の持っている敷地のほかに、隣が空き地で知り合いが所有しているってケースもありますよね。
やまや:ありますね。そういう情報って、もしオーナーさんが把握してくれていたら、こちらからも「駐車場として使えるかも」って提案できるんですよ。
くっつー:実際「建物の規模のわりに駐車場が少ないよね」って言われること、あるじゃないですか。
やまや:あります。それが理由で話が進まないとしたら、オーナー側で「ここも使えるかも」って提案できるだけでだいぶ違いますよね。
くっつー:はい。裏手に空き地があるとか親戚の土地を交渉すれば借りられるとか、そういう + αの視点を持っているだけで、成約率って上がると思うんですよね。
やまや:これって仲介側からはなかなか気づけない部分ですので、オーナーさんが情報を持っているだけでもめちゃくちゃありがたいです。

駐車場問題を解決するうえで、オーナーが「自分の敷地以外にも目を向ける」ことは非常に効果的です。たとえば、知り合いや親族が所有している土地、使っていない農地、空き地なども、交渉次第で臨時駐車場として活用できる可能性があります。こうした情報は、不動産会社や仲介業者が把握できないため、オーナーからの積極的な共有が重要です
駐車場の「適正台数」はどう決める?

ここでは、テナント誘致時によく出てくる「駐車場って何台必要なんですか?」という疑問について掘り下げます。実は、建物の広さや席数だけでは判断できないポイントがいくつかあるんです。
建物面積から算出する計算方法とは?
やまや:ちなみに、駐車場ってどれくらいの台数があれば妥当なんですかね?
くっつー:以前デベロッパーの仕事をしていたときは、敷地面積からおおよその台数をイメージするようにしていましたね。たとえば「駐車1台につき7坪くらい」を目安にすると、敷地と建物のバランスを考えやすいんです。
やまや:なるほど。じゃあ、店舗が100坪で、残りが400坪だったら、50台くらいが目安って感じですね。
くっつー:そうですね。実際は建物の形や導線、地域の基準にもよるので、現地での設計確認が必要ですが、全体感をつかむ目安としては使えます。

駐車場の適正台数は、敷地全体の面積から建物部分を引いた「残りのスペース」をもとにおおよその目安を立てる考え方があります。たとえば、1台あたり約7坪を目安にすると、全体的なバランスをイメージしやすくなります。これは厳密な計算式ではなく、ロードサイド型店舗の設計や出店計画でよく用いられる“実務的な感覚値”の一つです。実際の配置や台数を決める際は、現地の条件や自治体の基準を踏まえた設計確認が必要です
「テーブル数 = 駐車台数」は本当に正しい?
くっつー:でもたまに「席数に対して駐車場が足りない」って言われることもありますよね。
やまや:はい。たとえば30席の飲食店で、30台分ないとダメみたいな。でも実際って、1テーブルに4人来たら車1台とは限らないですよね。2台、下手したら4台とか。
くっつー:そこが難しいところですね。家族連れなら1台で済むけど、友人同士とか仕事関係だと別々で来ることも多い。
やまや:結局「席数 = 台数」は目安にはなるけど、あくまで参考でしかないってことですよね。
くっつー:そのとおりです。特にロードサイドでは、余裕を持った駐車スペースの提案が大事です。
やまや:そう考えると、オーナーさんが柔軟に考えてくれるだけで全然違いますね。

飲食店やサービス業では、席数 = 駐車場台数と単純に割り切れないケースが多いです。業態や来店スタイルによって1グループあたりの車台数は変動するため、少し多めに確保しておくのが無難です。特にピークタイムに駐車場不足でお客様を逃すリスクを考えると、余裕を持った設計が理想です
成約率を上げるためにオーナーが知っておくべきこと

ここでは、テナント誘致を成功させるために、不動産オーナーとしてどのような情報や視点を持っておくと良いかをお話しします。実は「駐車場が足りない」問題を解決するヒントは、オーナーさん自身がすでに持っていることも多いんです。
知り合いの土地・空き地もチャンスに変える
やまや:たとえば、今交渉中の案件なんですけど、物件には22台しか駐車場がないんですよ。でも、その裏手に空いている土地があって、そこを持っているのが知り合いらしくて。話ができれば、そこも駐車場にできるかもっていう状況で。
くっつー:そういう話が最初から共有されていると、我々仲介としても「実は追加できます」って提案ができるので、めちゃくちゃありがたいですよね。
やまや:あと、ちょっと離れた場所だけど、畑をやめて放置されている土地があるとか。オーナーさんがそれを把握しているだけで全然違いますよね。
くっつー:仲介側だけでは絶対にわからない情報ですので、地元ネットワークが強いオーナーさんは本当に頼りになります。

近隣の知り合いが所有する空き地や、農地として使われなくなった土地などは、交渉次第で臨時の駐車場として活用できる可能性があります。オーナーが地元とのつながりを活かして、周辺の土地情報を把握しておくことで、成約に結びつく提案がしやすくなります
裏手の駐車場や臨時借地の活用アイデア
くっつー:たとえば、50台分の駐車場がある物件を預かったとして「駐車場は狭いほうだな」と思ってそのまま提案していたんですよ。
やまや:でもあとから「もっと駐車台数ありませんか?」って問い合わせが来たことはありませんでした?
くっつー:ありましたね。でもそのときは「追加の情報はないです」と答えるしかなくて。最初から「この裏手の土地も使えるかもしれません」って話があれば、確認して提案できたのに。
やまや:そうなんですよ。仮にその土地がまだ確定してなくても「このエリアも使える予定です」といった可能性を伝えるだけでも、テナントの印象は全然違いますからね。
くっつー:オーナーさんが、そういった情報を最初から持っていてくれるだけで、テナント誘致の幅は一気に広がりますよね。
やまや:しかもその土地を臨時借地として使えば、必要な期間だけ駐車場として確保するような、柔軟な使い方もできますしね。

物件の裏手や少し離れた場所にある土地も、条件によっては立派な駐車場になります。オーナーが「この土地は期間限定で借りられる」「知人に相談できる」といった情報を持っておくことで、柔軟な提案が可能になります。臨時借地は短期的な契約にも対応できるため、テナントの要望に応じた提案がしやすくなります
実際に駐車場不足を乗り越えた事例

ここでは実際に「駐車場が少なくてテナント誘致が進まなかった」ケースから、どうやってその課題をクリアしたのか、具体的な事例をご紹介します。現場で起きたリアルな経験だからこそ、オーナーさんにも再現できるヒントが詰まっています。
最初から情報を集めておけばもっと早く進んだ
やまや:前にも少し話しましたが、農地転用の話、覚えてます?
くっつー:はい。駐車場を増やすために、農地を転用しようとしたケースですよね。
やまや:あれ、実はもっと早い段階でその情報を共有してもらえていたら、テナント決まるのも早かったかもしれないんですよ。
くっつー:確かに。最初の時点では「駐車場22台です」ってだけの情報だったので、それで「ちょっと厳しいかも」って判断しかけたこともありましたね。
やまや:でも、あとから「裏に農地がある」「知り合いが所有していて使ってない」って話が出てきて、印象が一気に変わったんですよね。
くっつー:だからやっぱり、オーナーさんが最初からそういった情報を持っていてくれると、我々も提案の幅が広がりますし、テナントにも前向きな形で伝えられます。
やまや:そうですね。本当に、ちょっとした情報の差で、話が進むスピードが全然違ってくるなと実感しました。
くっつー:我々もさまざまな知見を持っているので「敷地が少し狭いですね」となったときにも「では臨時駐車場を確保できないか一緒に検討しましょうか」といった柔軟な提案ができるんですよね。

テナントに物件を提案する際「追加で駐車場が確保できそう」といったプラス材料があるだけで印象が大きく変わります。物件の詳細情報に加え、オーナーが把握している周辺土地の活用可能性も含めて伝えることで、より現実的で前向きな提案につながります
この記事から学べる5つのポイント

1. 駐車場台数は出店判断の最重要項目になる
テナント候補がまず確認するのは、物件の広さよりも駐車場の台数。ロードサイド物件においては「駐車できるかどうか」が利用者の来店動機に直結します。
たった数台の差で契約が流れることもあるため、駐車場の重要性を軽視せず、必ず数字で把握しておきましょう。
2. 敷地外の土地も「駐車場候補」として積極活用する
オーナーが所有する敷地だけではなく、周辺にある空き地や知人・親族が所有する土地も含めて「駐車場として活用できるか?」という視点を持つことが大切です。こうした情報はオーナーにしかわからないことが多く、事前に共有してもらえると仲介やテナントの選択肢が広がります。
3. 駐車場台数の目安は「敷地面積÷7坪」で算出できる
実務的な目安として、建物以外の敷地面積を7坪で割ると駐車可能な台数が見えてきます。もちろんこれはあくまで基準値ですが、建物の用途や導線を加味したうえで、ある程度の予測が可能です。
提案時の根拠としても活用できる計算方法です。
4. 席数や規模にとらわれず「余裕を持った設計」が信頼を生む
飲食店やサービス業では、1テーブル = 1台とは限りません。1グループで2〜4台来ることもあり得ます。そのため、物件ごとの想定来客数を踏まえて、多少余裕を持った駐車場設計が求められます。
「不足が出たときの補完案」を用意しておくことも成約率を高める鍵です。
5. 情報の厚みとスピード感が成約に直結する
実際に物件の裏手に農地があったことで、あとから駐車場として転用できた事例もあります。ただし、これも最初から情報が共有されていればもっと早く進められたはずです。
「まだ確定じゃない情報でもいいので、可能性として話してもらえるかどうか」が、テナント提案の質に大きく影響します。