あなたは「農地転用」という手続きの存在を知っていますか?
実は、農地を宅地や事業用地に変えるには法律上の「許可」が必要で、しかもその申請がかなり複雑で時間もかかります。申請のタイミングを逃すと、駐車場に変えるまでに1年近くかかることも……。
今回の記事では「テナントの窓口」のくっつーとやまやが、実際の相談事例をもとに「農地転用(5条許可)」のリアルを徹底解説します。手続きの流れから、見落としがちな税金の話まで、土地活用を考えるオーナー必見の内容です。
土地を有効活用したいと考えている方、すでに農地を持っているけれどどうすればいいかわからない方、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
この記事でわかること
この記事はこんな方におすすめ
農地転用の実体験|5条許可にかかった期間と手続きの流れ

実際に農地を活用しようと考えたとき、どんな手続きが必要で、どれほどの時間がかかるのか。今回は「テナントの窓口」のやまやが体験したリアルな事例を通して、その流れを詳しく見ていきます。
農地を借りたいだけなのに1年近くかかる!?
くっつー:今回は、実際に「農地転用」を検討したときにどんな手続きが必要で、どれくらい時間がかかるのか、やまやさんのリアルな体験を伺いたいと思います。
やまや:はい。埼玉のある市で空き店舗を見つけて出店を考えていたんですが、駐車スペースをもう少し増やしたくて、向かいの畑を借りようとしたんです。
くっつー:なるほど、それが農地だったんですね。
やまや:そうです。で、調べたら「5条許可」が必要で、しかも農業委員会の申請が年2回。ちょうど時期が合わず、最速でも10か月後になるとわかりました。
くっつー:「ちょっと貸してもらう」だけでもそんなにかかるんですね……。

農地を事業用に活用するには「農地転用」が必要で、第三者に貸す場合は「農地法第5条許可」が求められます。市町村によっては年に数回しか申請の機会がないため、タイミング次第では1年近くかかることもあります
5条許可とは?地目変更と賃貸を同時におこなうためのステップ
くっつー:ちなみに「5条許可」っていうのは具体的に何をやるんですか?
やまや:畑を「宅地」に変えて、さらにそれを人に貸すっていう二つの行為を同時におこなう手続きですね。だから「農地法第5条許可」が必要になるんです。
くっつー:つまり、農地の地目を変えるだけじゃなくて、それを貸すことまで含めて審査されるってことですね。
やまや:そうなんです。だから、書類も多いし、確認事項も多い。行政書士に依頼したけど、タイミングや提出物のチェックなどかなり手間がかかりました。

「5条許可」は、農地を宅地などに地目変更し、そのうえで他人に貸す場合に必要な許可です。地目変更と賃貸を一体として審査されるため、ほかの農地転用よりも審査が厳しく、準備する書類も多くなります。スムーズな進行のためには、専門知識と行政とのやり取りのノウハウが欠かせません
農業委員会と行政書士の対応タイムライン
5条許可の取得には、市町村の農業委員会や行政書士との連携が欠かせません。このセクションでは、実際の申請フローと対応スケジュールを具体的にご紹介します。
くっつー:実際、農業委員会とか行政書士さんにはどうやって動いてもらったんですか?
やまや:まず、行政書士の知り合いに連絡をして、土地の登記簿謄本と公図を送ったんですよ。で「この畑を駐車場にして貸したいんですけど、何をしたらいいですか?」って聞いたんです。
くっつー:それが2025年3月末ですよね?
やまや:そうです。そしたら農業委員会のスケジュールを調べてもらって「この市では農振除外申請は4月と10月しか受け付けていません」って言われました。
くっつー:つまり、すぐには無理ってことか……。
やまや:はい。もう4月には間に合わないタイミングだったので、次のチャンスは10月。しかも、10月に申請しても、そこからさらに2か月くらいかかるから、最速で12月10日頃だって言われたんです。
くっつー:それじゃ、駐車場を作れるのは来年じゃないですか(笑)。
やまや:はい。何気ない「ちょっと貸したい」という思いつきでも、準備と申請には本当に時間がかかると痛感しました。

農業委員会は、市町村ごとに設置されており、農地の保護や転用の許可などを担う行政機関です。農地転用の申請は定期的な会議にかけられるため、年に数回しか受付がない自治体もあります。また、行政書士は必要書類の作成や窓口対応を代行してくれるため、転用手続きでは非常に心強い存在です
農地転用にまつわる税金とリスク

農地を転用して活用する場合、手続きだけでなく税金の変化にも注意が必要です。このセクションでは、地目変更に伴う課税額の増加や、生産緑地制度の期限切れがもたらすリスクについて詳しく解説します。
地目変更による税金アップの落とし穴
やまや:それと、やっぱり心配なのが税金ですよね。実際に農地を宅地に変更したら、どれくらい変わるんですか?
くっつー:かなり変わりますよ。もともと畑のときは年間5万円だったのに、宅地に変えた途端に20万円になったってケースもあります。
やまや:えっ、それって駐車場として貸しても、月1万円なら完全に赤字ですね……。
くっつー:そうなんですよ。「駐車場にしたら儲かりそう」って思っても、税金までちゃんと見ておかないと、逆に損しちゃうこともあります。なので、その辺は最初から税理士さんにも相談して、収支をシミュレーションしてもらったほうが安心です。

農地は固定資産税の評価が低いため、地目変更により「宅地」や「雑種地」になると課税評価額が大幅に上昇します。たとえ土地活用で家賃収入が見込めても、税負担がそれを上回る可能性があるため、事前に税理士など専門家と収支のシミュレーションをおこなうことが重要です
生産緑地制度の期限切れと今後の対策
農地に関してもう一つ重要なのが「生産緑地制度」の扱いです。対象地域や期限によっては、想定外の課税や義務が発生することがあります。
くっつー:生産緑地って聞いたことはあるけど、やまやさんは詳しいんですか?
やまや:いえ、正直そこまで詳しくはないんです。ただ、元農地の活用を相談されたときに、生産緑地の指定を受けていると解除にも手続きが必要って知りました。
くっつー:たしかに。20~30年前に「税金安くする代わりに農地として使ってね」って条件で指定された土地が多くて、期限が切れると一気に課税対象になるみたいなんですよ。
やまや:期限が切れた瞬間に一括で税金払わなきゃいけないとか、聞いただけでもゾッとしますね……。

生産緑地とは、都市部の農地に対して税の優遇をおこなう代わりに農業継続を義務付けた制度です。おおむね30年の期限付きで指定され、解除時には税優遇の恩恵がなくなり、場合によっては遡って税金が請求されることもあります。都市部のオーナーにとっては、期限管理と今後の土地活用計画が重要です
テナントの窓口にできるサポートとは

農地転用や土地活用の手続きは複雑で、オーナーさん一人では判断が難しいケースも少なくありません。「テナントの窓口」では、全国の事例をもとに、具体的なトラブル対応や活用のアドバイスを提供しています。
土地活用を考えるなら、相談は早めがカギ
くっつー:こういう話聞いていると、やっぱり「早めに相談する」っていうのが大事ですよね。
やまや:ほんとそうです。例えば今回のケースみたいに「来月から駐車場にしたい」と思っても、実際は10か月かかる可能性があるわけですから。
くっつー:しかもスケジュールだけじゃなくて、税金とか申請ルールとか、考えることが多すぎますからね。
やまや:だからこそ、少しでも「この土地使えそうかも」って思った時点で動いたほうがいいですね。我々みたいな不動産のプロに相談してもらえれば、早めに必要な手を打てますし。

「テナントの窓口」は、全国の不動産ネットワークと連携し、物件選びから契約、活用方法まで幅広くサポートをおこなっています。特に農地転用や土地活用など、初めての方にはわかりづらい分野でも、専門知識をもとに具体的なアドバイスが可能です。相談は無料で、どんな段階でも対応可能です
全国対応のネットワークとノウハウで安心サポート
くっつー:テナントの窓口は全国対応しています。地方の農地でも、都市部の転用相談でも、ネットワークを活かして柔軟に対応できますよ。
やまや:それは心強いですね。やっぱり地域によってルールが違うって聞きますもんね。例えば同じ「農地転用」でも、ある市では2か月で終わるけど、別の市だと1年かかるとかありますし。
くっつー:そうなんです。だから地域ごとの事例やノウハウがしっかり蓄積されているのは、まさに「テナントの窓口」ならではですね。店舗に特化しているからこそ、土地からの活用についてもかなり経験値があります。
やまや:土地のことで「どうしようかな?」って思ったときには、ぜひ気軽に相談してもらいたいですね。

「テナントの窓口」は、全国の空き物件情報や地域の規制情報を常に収集・共有しています。地域に精通したパートナーと連携することで、土地活用の実現性を高め、トラブルの回避にもつなげています。相談はX(旧Twitter)や公式サイトからも可能です
この記事から学べる5つのポイント

1. 農地を使うなら「5条許可」が必要なケースを把握する
農地を第三者に貸して駐車場や店舗などに活用する場合「農地法第5条」の許可が必要です。この手続きでは「畑」を「宅地」に変更する地目変更と、他人に貸す行為の両方が審査対象となります。
2. 農業委員会のスケジュールにより最短でも半年〜1年かかる
市町村によっては農業委員会の審査が年2回のみ。タイミングを逃すと、次の申請チャンスまで数か月待つ必要があります。
さらに許可取得にも2か月以上かかるため、実質的に1年近くかかるケースもあります。
3. 転用後の税金は必ず事前にシミュレーションしておく
農地から宅地へ地目を変更すると、固定資産税が大幅に増える場合があります。思ったほど収益が出ないリスクもあるため、活用前に税理士と相談し、損益計算をしておくことが重要です。
4. 生産緑地の解除は期限と手続きに要注意
都市部では多くの農地が「生産緑地」として登録されています。期限が切れると、税の優遇がなくなり急激に課税額が上がることも。
解除には別途手続きが必要で、放置すると思わぬ負担になる恐れがあります。
5. テナントの窓口なら全国の事例に基づいた安心サポートが受けられる
土地活用に不安がある方は、まず「テナントの窓口」に相談するのがおすすめです。地域の制度や実務に精通したネットワークで、転用から賃貸まで具体的にサポートしてもらえます。
早めの相談が成功のカギになります。