今回のテーマは「2025年に出店希望が増えた業種ランキングTOP5」の後編。テナント誘致の現場でリアルに寄せられたデータをもとに、出店トレンドをランキング形式でご紹介します。
後編では、ついに第2位・第1位が明かされるほか、今注目の“番外編”業種も登場。いずれも、今後の出店動向を読むうえで重要なヒントになるはずです。
この記事でわかること
この記事はこんな方におすすめ
出店希望第2位は「買取専門店」!金相場高騰と“実店舗回帰”の影響

近年の物価高騰や金相場の上昇により、街中でよく見かけるようになったのが「買取専門店」です。金・ブランド品・古着などの再販需要が高まるなか、実店舗での買取が改めて注目されています。
今回は、実際の契約事例や出店背景をもとに、そのリアルな動向を探ります。
金・時計・ブランド品……出店が加速する背景とは
くっつー:では第2位、いきましょうか。
やまや:はい、出店希望が多かった業種第2位は「買取専門店」です。
くっつー:ああ、金属とかブランド系や古着の買い取りですね。
やまや:そうですね。最近は都心の駅近にも、ブックオフさんとかセカンドストリートさんが「買取専門」だけの店舗を出していたりしますよね。
くっつー:そうですね。「家に眠るお宝を店舗で売る」っていう流れ、増えてますよね。メルカリじゃなくて、実際に店舗に持ち込むスタイル。
やまや:やっぱり金の価格が高騰している影響も大きいですね。2025年9月末時点で金は過去最高価格を更新していますし。
くっつー:金やロレックスみたいな高級時計も上がってますね。私もロレックス持っているんですけど、買ったときより高くなっている(笑)。
やまや:そういう相場があるからこそ、買い取る金額も高くなって、売りたい人も増える。結果、出店ニーズも伸びるという流れですね。

金や高級時計、ブランド品の相場上昇に伴って「買取専門店」の出店が活発化しています。特に、ロードサイドや駅近での出店が目立ち、リユース市場の拡大に寄与しています。物価高や節約志向の高まりにより、ユーザー側も「売る」ことへの抵抗が減っているのが特徴です
無人古着店の限界とリアル店舗への信頼感
くっつー:あと最近、無人の古着屋さんも増えてますよね。
やまや:そうそう、無人の古着店って一時期話題になりましたけど、実は今年そんなに新規出店がないんですよ。
くっつー:やっぱり「無人バブル」は一度弾けましたよね。2021〜2022年あたりのコロナ禍では増えましたけど、今は人がいないと売上が立たないって現実が出てきている。
やまや:実際、防犯や接客面での不安が残るんですよね。逆に、有人の買取店は強いんですよね。僕もメルカリやりますけど、まとめて売りたいときはやっぱり店舗が楽ですね。
くっつー:そうそう。私も服を整理してトレジャーファクトリーに売りに行ったんですけど、3時間待ちでした(笑)。それだけ売る人が多いってことですよね。

コロナ禍で一時的に注目を集めた「無人店舗」は、運営の難しさや防犯リスクから成長が鈍化しています。一方、有人の買取店は、接客対応や専門査定ができる点で顧客からの信頼を得やすく、出店ニーズも安定しています。特に都市部では買取ニーズが堅調で、店舗数も拡大傾向にあります
番外編|密かに注目される「ガチャガチャ専門店」の可能性

ランキング外ながら、近年じわじわと出店が増えているのが「ガチャガチャ専門店」です。かつてはスーパーの片隅にあった存在が、今では駅前の一等地にまで進出。
大人も楽しめる新業態として、出店者の関心を集めています。
駅近やサブカルエリアで急増中のガチャ業態
くっつー:第1位の前に、ちょっと番外編も話しましょうか。
やまや:はい。ガチャガチャ専門店ですね。これ、地味に増えているんですよ。昔は100円で回す感じでしたけど、今は300円とか500円のものも多いし、センスいいガチャが増えている(笑)。
くっつー:確かに。今って、ガチャガチャ専門で店舗を構えているケースもありますよね。秋葉原とか池袋の駅構内でも見かけます。サブカルチャーの街に多いですよね。秋葉原なんか、路面1階に専門店ありますもんね。
やまや:そういうところはやっぱ強いですね。オタク文化とか、コレクター心をくすぐる立地にフィットしていると思います。

ガチャガチャは従来の「空いたスペースに設置する副収入型業態」から「ガチャ専門の店舗を出店する主力業態」へと進化しています。特に、秋葉原・池袋・心斎橋といったサブカル系の街では、集客力の高いテナントとして注目され、今後も成長が期待されます
1台ごとの販売データがビジネスを進化させる
くっつー:ガチャガチャって無人で運営されているじゃないですか。でも、あれって売上管理どうしているんですかね?
やまや:今って、1台ごとの販売数とか残数がデータで管理できるんですよ。重さとかセンサーで見ているみたいですね。
くっつー:へぇ、それなら中の在庫が減ってきたら補充するだけで済むんですね。無人だけど、裏で人が動いている感じ。
やまや:そうそう。実際、人が定期的に巡回してメンテナンスしているほうが売上も上がるって言ってました。
くっつー:うちの息子もガチャガチャ大好きで、見るたびに吸い寄せられてます(笑)。特にパウパトロールとアンパンマンですね。
やまや:ありますよね。子どもはもちろん、大人の方もガチャガチャにハマってる人、けっこういますよね。
くっつー:そうですね。来年もこの出店は続きそうですね。というわけで、番外編のご紹介でした!

ガチャガチャ業態は「無人運営」と「データ活用」によって、効率的な店舗運営が可能になっています。IoT技術を活用し、在庫状況や人気商品を分析することで、商品ラインナップを最適化。人手を最小限に抑えつつ、高い集客力を維持できる点が魅力です
堂々の第1位は「ピラティス」!今女性に選ばれる理由とは?

2025年、最も出店希望が多かった業種は「ピラティス」スタジオでした。健康志向や美容意識の高まりを背景に、女性を中心に需要が拡大。
商業施設だけでなく、ロードサイドや住宅街でも出店が進んでいます。今回は、その人気の理由や出店しやすさ、そして隠れた課題まで深掘りしていきます。
インストラクター常駐が安心感に繋がる
くっつー:ではいよいよ第1位、いきましょうか。
やまや:第1位は「ピラティス」です!
くっつー:最近すごく聞きますよね、ピラティスってワード。
やまや:そうですね。テナントの窓口でも、今年だけで愛知県で5件契約しています。私も3件担当しました。
くっつー:え、うちゼロなんですけど(笑)。
やまや:いや、それくらい今人気なんですよ。出店数もすごい勢いで増えてます。
くっつー:フィットネスとかシミュレーションゴルフは無人の業態が多いけど、ピラティスって基本的にインストラクター常駐ですもんね。
やまや:そうなんですよ。その “ 無人じゃない安心感 ” がオーナーさんに受けてます。「誰もいないときに何か起きたら……」って心配があるなかで、常に人がいるスタイルは歓迎されやすいんです。
くっつー:うちの妻も通っているんですけど、めちゃくちゃいいって言ってます。何やればいいかわからないフィットネスよりも、インストラクターがいると安心して続けられるって。
やまや:それにピラティスってヨガよりも少人数でやるから、落ち着いて取り組めるって言われてますよね。

ピラティスは「無人ではない」ことが最大の強みのひとつです。インストラクターによる丁寧な指導が受けられるため、安心感を求めるユーザーに支持されています。ヨガやフィットネスと比べても、初心者にとって取り組みやすく、女性専用のスタジオも多いため出店地を選びやすい点も魅力です
初期投資が少なく多様な出店スタイルが可能
やまや:ちなみにピラティスって、初期投資が抑えられるってよく聞きますよね。スケルトン状態の物件でも、ちょっと雰囲気を出すだけで成り立つケースが多いです。無機質な感じが逆にいいって声もありますね。
くっつー:そうですね。あとは、必要な広さにかなり自由がきくのもポイントです。パーソナル指導向けの小型店舗から、大人数が入れるスタジオまで、出店形態を柔軟に選べます。
やまや:ピラティス専用のスタジオだけでなく、フィットネスと併設されているケースも見かけますよね。
くっつー:そうそう。それに、天井や壁の制約も比較的少ないです。ただ、唯一難しいと感じるのが「人材の確保」ですね。
やまや:やっぱりインストラクターの採用が難しいということですか?
くっつー:はい。ピラティスは指導できる専門資格が必要ですので、人材が限られているんです。そこをクリアできれば、収益化しやすい業態ですね。
やまや:なるほど。認知もだいぶ広がってきましたよね。最近では管理会社さんに「ピラティスの店舗を出したい」って言っても、ちゃんと伝わるようになりましたもんね。

ピラティスは物件の条件に柔軟に対応でき、初期費用も比較的安く抑えられるため、出店障壁が低い業態です。ただし、インストラクターの確保が最大の課題であり、採用活動を含めた人材戦略が成功の鍵を握ります。今後もニーズは拡大が見込まれるため、早期参入が有利な分野といえます
この記事から学べる5つのポイント

2025年の出店トレンドを対談形式で深掘りしてきた本記事。最後に、ここで得られた重要な学びを5つの視点から振り返ります。
これから出店を検討する方や、商業施設の活用を考えるオーナーさんにとって、今後の方向性を見極めるヒントとなるはずです。
1. 金やブランド品の高騰で「買取専門店」の出店が急増中
金や時計、ブランドバッグといった高額商品の相場上昇が追い風となり、買取専門店への出店希望が増加。特にロードサイドや駅近の立地にニーズが集まっています。
顧客の「安心して売りたい」というニーズに応える店舗形態が支持されているのが特徴です。
2. 無人古着店の限界から再評価される「有人型店舗」
コロナ禍で注目された無人店舗は、運営の難しさや防犯上の課題から伸び悩み傾向に。
一方、有人店舗の買取専門店は、対面対応と専門査定による信頼感から、安定した出店ニーズを維持しています。都市部では特にその傾向が強く見られます。
3. サブカル文化と相性抜群!「ガチャガチャ専門店」が再ブーム
番外編ながら注目されたガチャガチャ専門店は、秋葉原・池袋などのサブカルエリアで急増中。従来の副業的な存在から、専業型店舗として独立展開されるケースも多く、幅広い年齢層に受け入れられています。
1台ごとの売上データを活用した運営もポイント。
4. 女性支持が鍵!「ピラティス」は安心感と効果の両立が魅力
2025年出店希望1位に輝いたピラティスは、女性の美容・健康ニーズに応える業態として支持を集めています。インストラクターが常駐することで安心して通える点が評価され、特に都市近郊の住宅地やロードサイドでの出店が増加中です。
5. 低コスト & 柔軟な展開が可能な「ピラティス」の強み
ピラティススタジオは、スケルトン物件でも雰囲気を活かせば出店可能。初期投資を抑えられるだけでなく、パーソナル型から多人数型まで、規模やターゲットに応じた柔軟な設計ができます。
最大の課題はインストラクターの確保ですが、それをクリアすれば高収益も見込める業態です。