今回は、クリニックや薬局などの医療系テナントをあなたの物件に誘致したいと考えている不動産オーナーの方向けに、リアルな誘致のコツを赤裸々にお伝えします。「医療系テナントは綺麗に使ってもらえるからいい」と聞く反面、実際には誘致が難しくてあきらめてしまったという声も少なくありません。
でも、ちょっとした視点の切り替えと、正しい相談ルートを押さえるだけで、取りこぼしていたチャンスがグッと近づきます。
この記事でわかること
この記事はこんな方におすすめ
医療系テナント誘致のリアルな実情と失敗談

まずは「クリニックや薬局を誘致したい」と考えるオーナーが増えている背景や、不動産会社に相談してもうまくいかない理由について語ります。
表面的には魅力的に見える医療系テナントですが、実際の誘致は一筋縄ではいきません。その理由を対談形式で掘り下げていきます。
なぜ医療テナント誘致は難しいのか?不動産会社の限界
やまや:最近なんか医療系テナント、クリニックや薬局を誘致したいっていう相談増えてないですか?
くっつー:はい、増えてますね。特にオーナーさんから「薬局を入れたい」「クリニックに来てほしい」という依頼が目立ちます。やっぱり物件を綺麗に使ってくれるし、長期的に入ってくれるイメージがありますもんね。
やまや:そうなんですよ。しかも医療系って目的性があるから、エリアに合えば出店の計画が立てやすいんです。
くっつー:でもそのわりに、こっちからクリニックの先生に直接声をかけて「ここに出ませんか?」っていうのは難しいんですよね。
やまや:それが一番のネックですね。僕らみたいな不動産会社が、医療系の先生と直接繋がるって、なかなか難しいんです。

医療系テナントは確かに物件オーナーにとって理想的な入居者ですが、誘致の難易度は高いです。特に不動産会社が医師と直接つながるルートが少ないため、オーナーが期待するような「紹介してくれる業者」ではないことが多いのが現実です
ネット掲載では反響ゼロ!?現場で起きたリアルな事例
くっつー:以前、薬局さんから「この区画、ネットで募集してくれませんか?」って頼まれたことあったじゃないですか。あのときネットに出したんですよ。でも反響ゼロでした(笑)。
やまや:あれはいい物件でしたけどね。
くっつー:そうなんですよね。だけどそのとき思ったのは、僕らが使っているような不動産募集サイトって、開業を考えている先生方は見てないんですよ。
やまや:つまり、間違った場所にアプローチしていたってことですよね。
くっつー:はい。だから最近はクリニック単体での募集は基本断っているんです。薬局が絡んでないと正直厳しいです。

一般的な不動産ポータルサイトでは、開業希望の医師には届かないのが現実です。医療系テナントの募集には、医師専用の流通経路やポータルを活用する必要があります。対象となる閲覧層が異なるため、通常の不動産集客とはまったく別物と考えるべきです
医療系テナントを誘致するための正しい相談先とは?

では実際に、医療系テナントを誘致するにはどこへ相談すればよいのか?
不動産オーナーとして成功するためには“誰に相談するか”がすべてを左右します。このパートでは、くっつーとやまやが実際に現場で得た知見をもとに、成果の出やすい具体的な相談先を紹介します。
クリニック誘致は「調剤薬局」が鍵を握る
やまや:まず一つ目は、やっぱり調剤薬局ですね。
くっつー:そうですね。調剤薬局さんって、クリニックの近くにあることで処方箋を受け取れるから、点数が入るんですよね。
やまや:だから「自分たちの隣にクリニックを入れたい」っていう強い動機があるんです。しかも調剤薬局さんは医師と繋がっているケースが多いんですよ。
くっつー:なるほど。実際に「このエリアで開業したいっていう先生がいるから、物件があれば紹介できる」みたいなケースもあるんですね。
やまや:はい。だから、自分のビルの1階や周辺に調剤薬局があるなら、まずはそこに相談してみるのが一番早いです。

調剤薬局は、医師とのネットワークを持ちやすく、クリニックの誘致に積極的です。不動産オーナーにとっては、調剤薬局が持つ医師ネットワークを活用することで、効率よくテナント誘致が実現できます。調剤薬局は物件の収益化のパートナーにもなり得る存在です
もう一つのルートは「医療系ポータルサイト」と「コンサル」
くっつー:もうひとつ、意外と見落とされがちなのが、医療系に特化したポータルサイトの存在ですね。
やまや:はい。実は「クリニック開業専門」の不動産ポータルサイトって、多くあるんです。
くっつー:「アットクリニック」とか「クリニック開業物件ナビ」とかですね。掲載ナンバーワンをうたっているとこもあります。
やまや:あと、クリニック専門のコンサルもいます。特に歯科のコンサルは多いですね。
くっつー:歯科って出店数が多いからコンサル業が成り立つんですよね。そこから横展開でほかの診療科も支援しているところもあります。
やまや:ですので、我々みたいな一般の不動産会社ではなく、専門性の高いポータルやコンサルに載せるほうが効果的なんです。

医療系ポータルサイトは、開業を考えているドクターが物件を探すために日常的にチェックしている媒体です。不動産オーナーが自ら情報を掲載することで、確度の高い問い合わせにつながります。また、医療系コンサルはエリアと診療科に応じたマッチングもしてくれるため、ピンポイントで誘致が可能です
今後の可能性と「テナントの窓口」が目指す方向性

ここまで、医療系テナントの誘致には「調剤薬局」や「専門ポータルサイト」「医療コンサル」が有効だという話をしてきました。
では、今後「テナントの窓口」は医療誘致の分野でどのような可能性を広げていくのか?くっつーとやまやが、今後の展望について本音で語ります。
クリニックポータルとの連携で開く未来の可能性
くっつー:ここまで話してて思ったんですけど、逆に今後って、僕らもポータルサイトと連携したらおもしろいですよね。
やまや:確かに。クリニックポータルと提携して「この物件、医療向けに出せますよ」って情報を渡せば、運営側が客付けしてくれる可能性ありますよね。
くっつー:それで僕らが元付けで、先方が客付けしてくれるとか情報掲載するとか、意外と現実的な気がします。
やまや:医療系ポータルって「クリニック向けの物件が欲しい」と思っている先生が見ているわけだから、マッチングしやすいですしね。
くっつー:これは、うまく仕組み作れば、僕らでも医療系誘致に一歩踏み込めるかもしれないですね。

「テナントの窓口」が今後医療系テナント分野に進出する可能性として、専門ポータルとの業務提携や、医療不動産ネットワークへの参入が考えられます。元付け業者として物件情報を提供し、集客は外部の専門チャネルに任せることで、両者にとって効率の良いスキームが成り立ちます
将来的に「テナントの窓口」で医療誘致も可能に?
やまや:とはいえ、現時点では僕らにクリニックの先生を直接紹介する力はまだ弱いです。
くっつー:そうですね。今は勉強中というか、これから知識を深めていくフェーズですね。
やまや:でも今日話した内容がベースになって、いずれは「テナントの窓口」に相談してくれたら、クリニックの先生とマッチングできますよ、っていうところまで行けたら理想ですね。
くっつー:そうなったら、もっと多くの物件オーナーさんの役に立てますよね。可能性はあるなって改めて思いました。
やまや:まずは、今ある相談ルートを整理して、紹介できるネットワークを広げていきたいですね。

現時点で「テナントの窓口」は医療誘致を専門としていませんが、今後の展開次第では、医療系不動産の分野にも十分進出可能です。知識・提携先・専門ルートを整備することで、医師とのマッチングまで支援できる体制が整う可能性があります
この記事から学べる5つのポイント

1. 医療テナントは理想的だが、誘致の難易度は高い
クリニックや薬局は物件を丁寧に使い、長期入居が見込める理想的なテナントです。しかし不動産会社が医師と直接つながるのは困難であり、誘致には工夫が必要です。
2. 一般的な不動産サイトでは反響が得られにくい
不動産ポータルサイトに医療物件を掲載しても、開業希望の医師には届かず、反響がゼロになることも。掲載先の選定が極めて重要です。
3. 調剤薬局はクリニック誘致の有力な相談先
調剤薬局は医師とつながりがあることが多く、クリニックの出店を望む動機も強いため、最短ルートとして非常に有効です。物件の近隣に薬局がある場合は、真っ先に相談しましょう。
4. 医療系ポータルサイトと専門コンサルが誘致成功のカギ
「アットクリニック」などの医療専門ポータルや、開業支援に強いコンサルタントは、的確なマッチングを可能にします。オーナー自身が掲載や相談を通じて能動的に関わる姿勢が求められます。
5. 「テナントの窓口」も今後は医療分野への進出を視野に
現時点では医療誘致の専門ではないものの、ポータルサイトとの提携やコンサルネットワークの拡充により「テナントの窓口」が医療系テナントの仲介にも対応可能な体制へと進化していく可能性があります。