不動産投資やテナント経営に携わる皆さん、あるいはビル管理を委託しているオーナーの方々。「大手だから安心」「管理会社に任せておけば大丈夫」と思っていませんか?
実は、その思い込みが大きなリスクになることもあります。私たちが今回取り上げるのは、東京・水道橋という超好立地にある新築ビル。なんと、管理契約を結んで約1年、1区画も入居が決まらずという信じがたい状況に陥っていたのです。
そこで目をつけたのは、管理実績わずか「1件」の小規模管理会社。にもかかわらず、そこが大手4社を抑えてこのビルの管理を受託することになりました。
なぜそんなことが起きたのか?どんな問題が旧管理会社にあったのか?そして、新しい管理会社がどんな提案をして、どんな逆転劇を描こうとしているのか?このインタビューでは、熱意あふれるリアルな声をそのままお届けします。
この記事でわかること
この記事はこんな方におすすめ
管理会社変更:問題点と改善の全貌

今回ご紹介するのは、水道橋にある5階建ての商業ビルを巡る管理会社の切り替え事例です。実際に管理を引き継いだくっつーが、その背景や経緯を赤裸々にご紹介します。
水道橋駅徒歩3分の超好立地ビルが1年空室のままだった理由
くっつー:実はですね、水道橋駅から徒歩3分の新築ビル、めちゃくちゃ好立地な物件の管理をオーナーさんから任されたんです。ビルは2025年5月に竣工して、もう完成から5か月経っていたんですけど、なんと入居者がゼロだったんですよ。
やまや:え、それってすごい話ですね。5階建て全部空室って……。
くっつー:そう。1階は店舗利用可能で、2階から5階はオフィス仕様。にもかかわらず、1年間も空室のまま。そもそも私はあとから管理を任されたんですけど、前の管理会社は2024年11月からもう管理契約をしていたんです。なのに、1年近く経ってもまったく決まらないって、異常ですよね。
やまや:それ、オーナーさんも信頼を失うわけですね……。
くっつー:そうなんです。報告も遅いし、問い合わせが来て2か月音沙汰なし。さらに「その話なくなりました」って事後報告。そりゃオーナーさんも我慢の限界ですよ。

この事例は、立地や設備の良さだけでは空室が埋まらない典型例です。管理会社の対応力や集客戦略が甘ければ、どんな物件でも入居が決まらないという厳しい現実を示しています
管理実績1件でも勝ち取れた!逆転のコンペ勝利劇
くっつー:僕自身、実は管理実績は1件しかなくて、しかも管理をメインでやっている会社でもない。それでもコンペに参加して、大手4社と競って勝ったんですよ(笑)。
やまや:それはすごい(笑)。どうやって勝てたんですか?
くっつー:オーナーさんとの接点を大事にしたんです。実はそのビルがある水道橋、僕が前に勤務していた場所なんですよ。「この土地に縁があります」って話をしたら、オーナーさんも「それはおもしろい」って言ってくれて。あとは、提案内容ですね。集客方法も5パターン用意して「うちに任せてくれたらこう動きます」って熱意を伝えました。
やまや:信頼って、やっぱり数字より“人”ですね。
くっつー:本当にそう。「あなたに熱意を感じました」と言っていただけたのが嬉しかったです。管理料も安いんですけど、今回は実績作りのために全力でやりたいなと思ってます。

管理会社の選定で“実績数”ばかりが注目されがちですが、実際には「どれだけ物件とオーナーに向き合うか」が評価されることも多いです。特に商業ビルの場合、提案力や営業力の差がそのまま空室率に反映されます
大手管理会社でも安心できない!?驚きのずさん対応

「大手 = 安心」と思いがちですが、実際にはそうとも限りません。ここでは前任の大手管理会社がどれほどずさんだったのか、その実態を深掘りします。
レインズ・アットホーム掲載だけの集客に潜む問題点
くっつー:オーナーさんから聞いた話なんですけど、前の管理会社の集客って、レインズとかアットホームに情報を出しているだけだったみたいなんです。しかも、それが10社くらいでバラバラにネットに出ちゃっている状態。
やまや:それって、いわゆる「出回り物件」状態ですよね?
くっつー:そう。しかも家賃もバラバラで、物件情報も統一感がない。これじゃ問い合わせが来ても混乱しますよ。そもそも、あれはただ出しているだけで、ちゃんと戦略立てて集客しているとは言えないです。
やまや:つまり、物件の魅力を伝える努力がされてなかったってことですよね。
くっつー:そういうことです。新築で駅近なのに、アピールポイントが生かされてなかった。もったいなさすぎですよ。

不動産管理で「情報掲載 = 集客」と思われがちですが、それだけでは物件の魅力は伝わりません。競合物件が多い都市部では、戦略的な差別化がないと埋まりにくくなります。物件の価値を正しく届ける提案力が問われる場面です
一括借り希望の顧客を逃した“致命的な遅延対応”
くっつー:あと、これ一番ヤバいと思ったのが、一括で借りたいっていうお客さんが実はいたんですよ。でも、管理会社の対応が遅くて、2か月も放置されていたらしいです。
やまや:え、それは致命的じゃないですか?
くっつー:ですよね。オーナーさんが「その後どうなった?」って聞いたら「あ、その話なくなりました」って、あとから事後報告されたらしいんですよ。
やまや:うわー、それは信頼できなくなりますよね。
くっつー:実際、それがきっかけで管理契約を打ち切ったんですよ。オーナーさん「担当の遅さでお客さん逃した」って言ってましたから。

一括借りのような大口案件は、商業ビルの収益性を左右する大きなチャンスです。対応スピードや交渉力は、管理会社の最も重要な要素のひとつ。機会損失が信用失墜につながる典型的な失敗例です
小規模管理会社が選ばれた理由と工夫

実績1件の管理会社が、なぜ大手4社を抑えて選ばれたのか?そこには“熱意”と“戦略的な提案”がありました。
物件とオーナーに“ご縁”を感じさせる提案力
くっつー:僕がコンペでプレゼンするときに意識したのは“縁”を感じてもらうことだったんです。その物件がある水道橋って、僕が昔勤めていた場所なんですよ。
やまや:あ、それは確かにご縁を感じますね。
くっつー:しかも、オーナーさんが住んでるエリアも僕の自宅と近くて「これはもうご縁ですね」って(笑)。あとは、やっぱり僕の想いをちゃんと伝えるようにしました。
やまや:地域とのつながりやエピソードって、やっぱり響きますね。
くっつー:ですね。僕も「ここはご縁のある場所だから、気持ちを込めて管理します」って。実績では勝てない分、人間味とストーリーで勝負しました。

管理会社の選定では、必ずしも「実績」や「規模」が決め手になるとは限りません。物件とオーナーに寄り添う姿勢や、地域との関係性を踏まえた“提案力”が評価される場面も多くあります
熱意と柔軟な提案が信頼につながったプレゼン術
くっつー:プレゼンでは「うちに任せてくれたら、こういう方法で集客しますよ」って、5パターンくらい提案したんです。普通の管理会社ってテンプレの提案しかしないことが多いじゃないですか。
やまや:確かに「24時間対応します」とか決まり文句が多いですよね。
くっつー:僕はそれができないからこそ「この物件の魅力をどう出すか」に全振りしました。管理会社の強みより、物件ごとの最適解を提示する。これがすごく刺さったみたいで。
やまや:なるほど。それって、小さい会社だからこそできる柔軟性ですね。
くっつー:はい。「あなたの熱意を感じました」と言っていただいて、管理を任せていただくことになったんです。

大手では対応が画一的になりがちな一方、小規模事業者は柔軟な提案やスピーディーな対応が強みとなります。ビルの空室対策には、物件ごとに最適なプランを打ち出す姿勢が求められます
管理業務の裏側と今後の課題

引き継ぎ後も管理業務は課題が山積み。ここでは現場で直面している課題と、今後の展望について語られています。
PMとしてやるべき業務とBM会社の切り替え対応
くっつー:実際に管理を任されることになったのは11月1日からなんですけど、もう本当にやることが多いんですよ(笑)。
やまや:例えばどんなことがあるんですか?
くっつー:まずはビルメンテナンス会社、つまりBM会社の入れ替えですね。元の管理会社が提携していたBM会社がそのまま残ってて、うちに管理が変わったから一緒に切り替えなきゃいけなくて。
やまや:ああ、それってけっこう大変ですよね。予算の問題もありますし。
くっつー:そうなんです。うちはPMですので、実際の清掃や点検は外注になるんですけど、それでも人脈使って新しいBM会社を探してます。テナントの窓口の加盟店さんにも協力してもらって、なんとか整備しようと動いてます。
やまや:管理って、ただ空室埋めるだけじゃないんですね。
くっつー:まさにそう。むしろ埋まってからのほうが大事なんですよ。

PM(プロパティマネジメント)とBM(ビルマネジメント)は別業務で、PMは主に資産価値の維持と収益最大化、BMは物理的な設備管理を担当します。管理を引き継いだ際はBM会社の見直しが必要になることもあり、人的ネットワークの広さが大きな武器になります
都心ビルの実績を積むチャンスとそれにかける想い
くっつー:この物件、家賃総額で月150万円くらいの規模なんです。まだ全部空室なんで、これからどうやって埋めていくかが最大の課題ですね。
やまや:でも、都心の商業ビルの管理って、実績としてはすごく大きいですよね。
くっつー:そうなんですよ。たとえ管理料は安くても、ここで結果を出せれば「うちは都心ビルの管理もできます」って胸張って言えるようになる。それが今一番のモチベーションですね。
やまや:それが次の仕事につながる可能性もありますしね。
くっつー:そう。管理は数を積まないと収益にならないけど、今は実績作りの時期。しかもこの物件って僕にとっても縁のある場所だから、絶対に成功させたいんです。

管理業務は地道で利益率も決して高くないですが、信頼と実績が次の紹介や案件につながる積み重ねの仕事です。都心物件を管理できるという“実績”は、今後の信用力を大きく高めることになります
この記事から学べる5つのポイント

1. 立地や新築でも「管理の質」が悪ければ空室は埋まらない
どれほど立地条件が良くても、管理会社の対応や集客戦略が適切でなければ入居は決まりません。今回のケースでは、水道橋駅徒歩3分という超好立地にもかかわらず、1年経っても入居ゼロという異常事態が発生しました。
「大手だから安心」という思い込みは危険で、管理の“質”を見極めることがオーナーにとって最重要です。
2. 大手管理会社の「見せかけの安心感」に注意
レインズやアットホームへの掲載だけで集客を終えた気になっているケースが多く見られます。実際には、情報の重複や家賃の不統一によって物件のブランド価値が下がり、結果として空室が長期化します。
管理会社を選ぶ際は「掲載実績」よりも「戦略的な営業と提案力」を重視すべきです。
3. オーナーとの信頼関係を築くのは“実績”ではなく“人間力”
管理実績1件の小規模会社が、大手4社を抑えてコンペに勝利した理由は、数字ではなく“信頼”でした。
地域との縁や誠実なコミュニケーションを軸に、オーナーの心を動かしたのです。
オーナーが求めるのは「寄り添ってくれる管理者」であり、単なる管理機能ではありません。
4. 柔軟な提案力とスピードが選ばれる時代へ
「24時間対応」や「全国ネットワーク」といったテンプレではなく、物件に合わせたオリジナル提案が求められます。小規模だからこそできる柔軟な発想やスピーディーな行動が、結果として信頼を得る鍵になります。
大手に勝つためには、“対応の早さと提案の具体性”が不可欠です。
5. 管理とは「人・仕組み・信頼」を整える総合業務
PM(プロパティマネジメント)とBM(ビルマネジメント)は別物であり、管理を成功させるには両者を機能的に連携させる必要があります。また、都心ビルの管理実績は、今後の信用力を高める大きな財産になります。
管理とは「建物を動かすこと」ではなく「信頼を積み上げる仕事」なのです。