店舗物件を貸し出す際、契約形態を「定期借家契約(定借)」にするか「普通借家契約(普通借)」にするかで悩んでいませんか?
契約期間が満了しても更新が当たり前の普通借か、期間終了後は再契約前提となる定借か——。実はこの選択、あとからトラブルを招くかどうかを左右するほど大切なんです。
今回の動画では、不動産デベロッパーとして全国の物件管理を経験してきた「くっつー」が、実際のデータや事例をもとに、オーナー視点で「どちらで貸すべきか?」を徹底解説!
「更新トラブルを避けたい」「収支計画をしっかり立てたい」「安定した賃貸経営がしたい」そんな方にとって、本当に役立つリアルな情報をお届けします。
この記事でわかること
この記事はこんな方におすすめ
事例から学ぶ!定借と普通借の違いと選び方

店舗物件を貸し出すとき「定期借家契約(定借)」と「普通借家契約(普通借)」のどちらを選べばいいのか、悩むオーナーさんも多いのではないでしょうか?ここでは、両者の基本的な違いや、それぞれの傾向について解説していきます。
店舗物件における契約形態の基本と傾向
やまや:まず基本的な話なんですけど、契約形態って大きく分けて「普通借家契約」と「定期借家契約」がありますよね。
くっつー:そうですね。普通借家契約は、基本的には更新され続けるのが前提の契約です。更新を断るには、オーナー側に「正当事由」が必要です。
やまや:正当事由って、例えば「建物を取り壊す」とか?
くっつー:そうです。ただ、その「取り壊す」っていう理由も、簡単には通らないことが多いんですよ。
やまや:なるほど〜。一方、定期借家契約は?
くっつー:定借は3年、5年、10年など期間を決めて、その期間が終了したら一旦契約も終了です。そのあとに「再契約」という形になります。
やまや:更新じゃなくて、あくまで新たに契約し直すってことですね。
くっつー:そのとおりです。で、今回のチャンネルの視聴者さんって店舗オーナーが多いと思うんですけど、結論から言うと、店舗を貸すなら絶対に定借がいいと思ってます。
やまや:おお、即答ですね(笑)理由を教えてください!
くっつー:期間が終わったら「出ていってください」と言えるからです。普通借だと、それができないですからね。
やまや:確かに。それはオーナーにとって大きなポイントかも。

定期借家契約は、契約期間満了後にオーナーの意向で終了を告げることが可能な制度です。普通借家契約は、更新拒否には正当事由が必要で、トラブルになりやすいケースもあります。特に店舗物件では、将来的な建て替えやテナントの入れ替えを想定すると、定借のほうが自由度が高くなります
オーナー視点でのメリットとデメリット比較
やまや:でも定借って、借り手がつきにくいとか聞くんですけど?
くっつー:それ、よく言われますけど、実際にはそうでもないんです。定借でも借り手は付きますし、実は再契約される割合もかなり高いんですよ。
やまや:へえ、それは意外ですね。
くっつー:あと、定借だと更新料が発生しないんですが、その代わりに安定した契約管理ができます。普通借は更新料で収入があると言われるけど、それは数年に1回ですし、額も家賃1〜2か月分程度なんですよ。
やまや:それなら、更新料の有無よりも、契約をコントロールできるほうが大事ですね。
くっつー:そうなんです。さらに、定借でも契約書に賃料の見直し条項を入れれば、周辺相場に応じて賃料改定も可能です。

定借契約でも、賃料改定は可能です。契約書に「〇年ごとの見直し」などの条項を設けることで、市場の変動に柔軟に対応できます。更新料が不要な代わりに、契約管理の自由度が高まり、オーナーの立場としては収支のコントロールがしやすくなるのが大きなメリットです
実際どうなの?再契約率とトラブル事例から見る現実

定借は「契約終了が前提」ですが、実際にはその後どうなるのかが気になる方も多いはず。
ここでは、定借の再契約の実態や、普通借で起こり得るトラブル事例を具体的に紹介します。オーナーとして、どんなケースに備えておくべきかを考えるヒントになるはずです。
再契約はどれくらいされている?オーナーにとっての安心材料
やまや:定借って一度契約が終わったら出ていかれる印象が強いんですけど、実際の再契約率ってどのくらいなんですか?
くっつー:実は高いんですよ。私の前職は不動産デベロッパーだったんですが、全国で何十万件も施設を管理していて、そのうち定借で70%が再契約されています。
やまや:えっ、そんなに!それはオーナーにとっては安心ですね。
くっつー:そうなんです。定借って聞くと「期間が終わったら終了」と思われがちですけど、実際には儲かっていれば借り手側も出たくないですし、再契約に至るケースが多いんですよ。
やまや:信頼関係があれば再契約って自然な流れなんですね。
くっつー:そう。だから定借にしても「また借りたい」と言われる状況を作ることが大切なんですよね。

定期借家契約でも、信頼関係があれば継続利用されやすく、実際には約70%の契約が再契約に至っています。収益性のあるテナントであれば、双方にとって再契約はメリットがあるため、定借でも長期的な賃貸運用は十分可能です
普通借家で起きた立ち退きトラブルとは
くっつー:実は私、以前にこういう事例を聞いたことがあって。
やまや:どんな事例ですか?
くっつー:あるビルの1階をコンビニに普通借で貸していて、2階以上は事務所に定借で貸していたんです。で、ビルが古くなって立て替えを考えたとき、2階以上の事務所は契約終了でスムーズに退去してもらえたんですけど、1階のコンビニだけが普通借だったせいでトラブルになりました。
やまや:え、それどうなったんですか?
くっつー:結局、コンビニ側から「立ち退くなら違約金払ってください」と言われて、4,000万から5,000万円請求されたそうです。
やまや:それはキツい……。
くっつー:結局、建て替えもできなくなってしまったそうですよ。だから最初に定借にしておけば防げた話なんですよね。
やまや:なるほど、それだけで何千万単位の損が出る可能性があるってことですね。
くっつー:店舗に貸す場合は、本当に定借にしておくべきだと思います。普通借はトラブルの種になりやすいです。

普通借家契約では「正当事由」が必要なため、オーナー側の都合で契約を終了することが難しく、退去交渉時に高額な医薬金を請求されるリスクもあります。定借であれば契約満了により自然に終了できるため、こうしたトラブルを未然に防ぐことができます
契約期間はどう決める?オーナーと借主のバランス感覚

定借にするべきだとわかっても「じゃあ契約期間は何年に設定するのがベストなのか?」という疑問が残りますよね。ここでは、オーナーと借主双方にとってバランスの良い年数設定の考え方をお伝えします。
定借の年数設定は「5年〜10年」が理想的?
やまや:契約期間って具体的にどれくらいがベストなんですか?
くっつー:これ、オーナーさんによる部分もあるんですけど、基本的には5年〜10年がいいと思ってます。
やまや:3年とかはどうですか?
くっつー:3年はちょっと短いですね。物件資料に「3年定借」って書いてあっても、実際に再契約できるのか不安に思われることが多いです。
やまや:確かに、3年だと借りる側も慎重になりますよね。
くっつー:そうなんです。特に店舗の場合、投資回収に3〜5年かかることが多いので、5年〜10年あると安心して事業ができます。
やまや:なるほど。10年だと残りの期間は利益になる計算も立てやすいですね。
くっつー:そうそう。だからオーナーさん側も、収支の見通しが立ちやすくなりますし、借り手側にとってもありがたい期間設定なんですよ。

契約期間は、借主の事業計画とオーナーの資産運用計画のバランスを取ることが重要です。3年だと短すぎて入居がつきづらく、15年以上だと定借の意味が薄れてしまうため、5年〜10年がもっとも現実的かつ実用的な年数と言えます
まとめ:店舗を貸すなら定借が最適解!オーナーにとっての安心と自由を手に入れる方法

ここまで定借と普通借の違いや再契約の実情、トラブル事例、契約期間の目安について解説してきました。最後に、これらの情報をもとに、オーナーとしてどのように契約形態を選ぶべきか、改めて整理してみましょう。
今から物件を貸すなら「定借×5〜10年」でスタートを
やまや:ここまで聞いて思うんですけど、結局オーナーさんが安心して貸すためには「定借一択」ってことですよね?
くっつー:間違いないですね。特に初めて物件を貸す方や、これから募集をかける方には、最初から定借で出すことをおすすめします。
やまや:期間はやっぱり5年〜10年ぐらいがベストと。
くっつー:そうですね。あまりに短すぎると入居者が不安になりますし、長すぎても定借の意味が薄れます。10年なら借り手も安心して投資できて、オーナーも出口戦略が立てやすいです。
やまや:普通借で過去にトラブルになった事例もあったから、これから貸す人には失敗してほしくないですね。
くっつー:そうなんです。せっかくの不動産資産ですから、トラブルなく、安定して収益を得るためにも、定借の仕組みを正しく理解して活用してほしいです。
やまや:ということで、これからテナント募集するなら、ぜひ「定借×10年」で検討してみてください!

今後物件を貸し出す予定のあるオーナーにとって、最も安心かつ合理的な契約形態は「定期借家契約」です。5〜10年の期間設定で契約することで、借主の事業計画とオーナーの資産運用の両立が可能となり、トラブル回避にもつながります
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この記事から学べる5つのポイント

1. 契約形態は「定期借家契約」がオーナーにとって最も有利
普通借家契約では、正当事由がなければ借主に退去を求めることができません。一方、定期借家契約は契約期間満了で終了できるため、建て替えや運用見直し時にもオーナー主導で動ける安心感があります。
2. 定借でも約70%が再契約され、継続利用は十分可能
「期間が切れたら出て行かれるのでは?」という不安は不要です。実際の運用データでは、定借契約の約70%が再契約に至っており、借主との関係性を維持すれば長期利用も可能です。
3. 賃料改定や契約内容の調整も定借なら柔軟に設定できる
契約書に適切な条項を設けることで、定借でも賃料の見直しや条件変更が可能です。更新料収入よりも、契約全体の柔軟性や収支管理のしやすさを重視すべきです。
4. 普通借家契約は立ち退き時に高額な違約金リスクがある
普通借家契約で立ち退きを求めた結果、借主から数千万円の違約金を請求された実例もあります。こうしたトラブルを回避するためにも、最初から定借で契約することが重要です。
5. 定借の契約期間は「5年〜10年」が現実的で効果的
短すぎると借主が不安になり、長すぎると定借の意味が薄れます。5〜10年であれば、借主の投資回収もしやすく、オーナーも収支計画を立てやすいため、最もバランスの良い選択です。